知ってるようで知らない!?【身体障害者手帳とは】交付申請のやり方や受けられるサービスまとめ

こんにちは。ライターのこずえです。
今回は、きっと一度は耳にしたことのある「身体障害者手帳」についてです。

一般に「障害者手帳」と呼ばれるものには、

  • 身体障害者手帳(からだの障がい)
  • 精神障害者保健福祉手帳(こころの障がい)
  • 療育手帳(知的障がい)

の3種類があり、これらを総称して障害者手帳と呼びます。

今回は、そのうちの「身体障害者手帳」についての解説です。

「身体障害者手帳」、という言葉の強さから、手帳を持つことに抵抗がある方も少なくありません。

そのためか、存在は知っていても、その中身について詳しく知らないことも多いようです。そんな「障害者手帳」について詳しく&わかりやすく説明していきます!

身体障害者手帳とは?

身体障害者福祉法に基づいて、身体障害がある人が申請すると交付されるものです。

身体障害がある人というと、例えば足が不自由で車椅子に乗っているというような、手足の不自由な人をイメージすることが多いかもしれません。

でも、ここでいう身体障害がある人とは、下の表のように、視覚障害、聴覚障害、内部障害(内臓の疾患、心臓疾患や呼吸器疾患、がんなど)の人も含みます。

視覚障害
聴覚障害・平衡機能障害
音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
肢体不自由(上肢、下肢、体幹、乳幼児期以前の非進行性の脳病変による運動機能障害)

内部障害(心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸機能障害、ぼうこう又は直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害)

そして、障害の等級によって1級(重度)から7級(軽度)まで分かれており、受けられるサービスなどが異なります。

申請すると交付される、とあるように、あくまでも本人(15歳未満は保護者)が申請しないと交付されません。

このため、知らずに申請が遅れる、ということもあります。
日本の福祉サービスは自己申請するものが多いので、やはり情報を得るということは重要ですね。

子どもが身体障害者手帳をもっていると受けられるサービスとは?

身体障害者手帳を持っていると、様々なサービスを受けることができます。

それらは、福祉手当から税制の優遇まで多岐に渡ります。1つずつ解説していきます。

各種の福祉手当

①国が支給する福祉手当

  • 特別児童扶養手当
  • 障害児福祉手当

どちらも手帳がなくても申請できますが、身体障害者手帳1級~3級程度に該当する場合に受け取ることができる手当(お金)です。

手帳取得した際に一緒に申請するとよいでしょう。(これも申請が必要です!また、所得制限があります。施設に入所している場合は対象になりません)

②各自治体が支給する福祉手当

「在宅心身障害手当」、「心身障害者手当」など、各自治体で行っている福祉手当があります。お住まいの市区町村の窓口で聞いてみましょう。

医療費の助成

子どもの場合、「子ども医療費助成制度」により医療費の自己負担はありませんが、その対象年齢は自治体により異なります。

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「子ども医療費助成制度」が対象でない年齢になった場合、「障害者医療費助成制度」による医療費の助成を受けることができます。

自治体により内容が異なるので、市区町村の窓口に問い合わせてください。

また、障害の軽減や除去を目的とした医療に対しては、「自立支援医療制度」という制度もあります。
どちらも入院時の自己負担分(食事代や差額ベッド代など)は助成対象にならないため、別途医療保険の加入を検討してもいいかもしれません。

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障害者扶養共済への加入

保護者に万が一のこと(死亡、高度障害)があったとき、障害のある子が生涯にわたって一定額の年金を受けることができる制度です。

掛け金が割安で税制の優遇も受けられるメリットがある一方、子どもが先に亡くなってしまった場合や、途中で脱退した場合は損をすることもあります。

障害者扶養共済制度

 

補装具・日常生活用具の購入費の補助

車椅子やバギー、歩行器、補聴器、重度障害者用意思伝達装置などの補装具や、特殊ベッドや入浴補助具、ネブライザーや吸引器などの日常生活用具を購入する費用を補助する制度があります。

障害の種類や程度により対象となる物品が異なります。

また、所得に合わせて自己負担額があります。

 

住宅面での優遇

公営住宅へ優先的に入居できます。また、住宅改修費の補助を利用できる場合もあります。

 

運賃・通行料の割引

JRや私鉄、バス、タクシー、航空機、有料道路などの運賃・通行料の割引があります。
介護者の割引がある場合もあります。

電車・新幹線の交通費についてはこちら↓

公共料金の減免

自治体によって内容は異なりますが、水道料金の減免が受けられることが多いようです。

 

動物園や映画館、遊園地などの娯楽施設の入場料の割引

障害者本人だけでなく、介護者(付添人)の割引がある場合も多いです。

 

税金の特例

障害者である親族を扶養している場合、所得税、住民税の控除が適用されます。
また、自動車、軽自動車税、自動車取得税の減免になります。

その他、相続税の控除や一定額までの贈与税の非課税、少額貯蓄の利子等が非課税になるなどの優遇もあります。

郵便はがきの無償配布

身体障害者手帳1級・2級、療育手帳Aまたは1度・2度を所持している場合、郵便局で申し込みをすると青い鳥郵便はがきを20枚無償でもらえます。

ただし、受付期間は限定されていて、毎年4~5月となっています。(2020年は4月1日~6月1日)

今年度の無償配布についてhttps://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2020/00_honsha/0319_02_01.pdf

身体障害者手帳はいつ、どういった場合に申請するの?

身体障害者手帳は、障害が一時的ではなく、永続的な状態である場合のみ交付されます。

例えば、交通事故で足を骨折して一時的に松葉杖が必要になったからといって、身体障害者手帳を申請するというわけにはいかないということです。

そういう理由で、小さな子どもの場合、申請時期はケースバイケースということになります。

たとえば、先天性の病気がはっきりわかっていて、耳が聞こえない、目が見えない、呼吸器が必要などの場合は0歳代から手帳が交付される場合もあります。

一方で、原因が不明で発達が遅れている、脳性麻痺とは診断されているが、どの程度歩けるようになるかはわからない、という状況だと3歳くらいにならないと手帳が交付されない場合もあります。(自治体にもよります)

身体障害者手帳はどうやって申請するの?

申請先は、お住まいの市区町村の障害福祉の担当窓口(福祉課や福祉事務所など)です。

以下に申請の方法を解説していきます。

①まず主治医に相談する

上記のとおり、お子さんの場合、身体障害者手帳を取得する時期はそのお子さんの状況によって異なりますので、一度主治医に相談するといいでしょう。

また、身体障害者手帳を取得するために必要な書類である「身体障害者診断書・意見書」は都道府県が指定した指定医しか作成できません。

主治医が指定医でない場合、同じ病院の指定医が記入してくれることが多いようですが、どのように手続きを進めるかについて聞いておいた方がスムーズです。

②市区町村の窓口で「交付申請書」と「身体障害者診断書・意見書」の用紙をもらう

病院によっては、「身体障害者診断書・意見書」の用紙が病院に置いてある場合もあります。

その場合は用紙をもらいに行くだけに窓口に行く必要はなく、書類を整えてから窓口に行き、その場で交付申請書を記入することもできます。

また、お子さんが人工呼吸器を使用しているなどの理由で何度も窓口に出向くことが困難な場合は、郵送してくれることもあるので、一度電話で問い合わせてみてください。

③都道府県が指定した指定医に「身体障害者診断書・意見書」を記入してもらう

診断書や意見書は有料の場合もありますが、診断書料の助成を行ってくれる市区町村もあります。

お住まいの自治体に問い合わせてみて下さい。

また、通常、診断書・意見書記入のための診察があり、後日受け取りに行くことが多いです。

④書類を市区町村の窓口に持っていき、申請する

必要な書類は、

  • 交付申請書
  • 身体障害者診断書・意見書
    診断書・意見書には有効期限があります。
  • 印鑑(認印)
  • 本人の顔写真(縦4㎝×横3㎝)
    かわいい写真を是非!
  • 委任状(保護者が記入、本人が15歳未満の場合)
  • 本人のマイナンバーがわかる書類 以下のうちいずれか
     本人の個人番号カード(写し可)
     番号通知カード(写し可)
     住民票の写し(番号記載)
  • 保護者の身分証明書(運転免許証、個人番号カードなど)

となります。

書類が受理されると、審査され、等級などが決定します。

⑤手帳が交付される

通常1か月程度で交付されます。

*お子さんの状況によっては再認定を受ける必要があります
交付される際に、将来、障害程度が変わる可能性があると考えられる場合は、再認定の期日が指定され、障害者手帳に記載されます。再認定の期日が近づくと書面で通知されます。再認定の際も指定医の診断書・意見書が必要です。

身体障害者手帳を持つことのデメリットはある?

身体障害者手帳を申請することをためらう方も少なくないと思います。

「障害者」というレッテルを貼られてしまうのでは?

差別や偏見を受けるのではないか?

我が子が大切だから、心配するから、守りたいから。そういう思いがあっても当然だと思います。
そして、残念ながらそのように感じる人がいるのも事実です。

 

でも、手帳があろうがなかろうが、その子はその子。なにも変わりませんよね。

手帳をもった我が子のありのままをお母さんやお父さんが受け入れていれば、子どもはきっと大丈夫。
今の、そして未来の我が子のために必要だと感じるのであるなら、ためらわず手帳を申請してください。

とはいえ、そんな心配をしなくてもいい社会であることが一番…そんな日が来るといいですね。

障害者手帳についての解説動画はこちら↓

 

出典

 

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