【体験談】在宅酸素が必要な娘の避難訓練!計画から実行まで

 

なおこ

現在、災害時の「医療的ケア児の避難方法と避難先」が大きな課題となっています。

今日は全国に先駆けて医療的ケア児のお子さんと一緒に避難訓練を実施されたみうママさんに、災害時対応についてお話を伺いました。

みうママ

はじめまして、みうママです。

私の娘みうは双子で産まれ、三姉妹の三女です。

みうだけスタージウェバー症候群という難病を持って産まれてきました。

3歳で咽頭気管分離をして声が出ません。パルスオキシメーターを常時つけて今は夜間に酸素濃縮機で0.5リットル酸素をながしています。

アンリーシュフレンズ プロフィール

お名前:みうちゃん

年齢:9歳(小学3年生)

病名スタージウェバー症候群、大動脈縮窄症、低酸素脳症

必要な医療的ケア気管切開在宅酸素サチュレーション管理

災害時にどうするか…まずは発電機購入の補助をお願いした

みうママ

娘のみうは、パルスオキシメーターを24時間付け、夜間に酸素濃縮機で0.5リットルの酸素を流しています。

そのため、災害時で一番怖いのは停電です。

なおこ

まずは電源の確保が最優先ですね。

みうママ

もし停電したら、吸引機、パルスオキシメーター、酸素濃縮機などの機械が使えなくなり命に関わります。

なので、まず初めに停電に備えて発電機を購入することを考えました。

しかし非常用の発電機は10万〜20万円と高額です。

なので、まずは発電機の購入に関して、市役所の福祉課へ相談するところからスタートしました。

 

具体的には、避難所となる場所に発電機を設置してもらえないか、もしくは自費で購入する際に補助金を出してもらえないかと相談しました。

初めは、「検討します」と言われて終わりでした。

でもこちらは娘の命に関わることです。何度も何度も訴え、3〜4年はかかりました。

なおこ

諦めずに訴え続けられたのですね。役所と話し合う過程で何か工夫したことはありますか?

みうママ

娘の「災害時対応ノート」というものを自分たちで作り、それを資料として渡したりしました。

このノートは、実は様々な自治体が無料で配布しています。それらを元にして自分たち用のノートを完成させました。

【参考】

ネットで公開されている滋賀県の災害時対応ノート。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/59642.pdf

他の自治体でも公開しています。「災害時対応ノート」で検索してみて下さい。

みうママ

災害時対応ノートを渡すことで、私たちも全てを役所任せにしているのではなく、

「自分でもできることはやっている、その上でできないことをお願いしている」

という状況を理解してもらうことができたと思います。

その後、福祉課で「日常生活用具」で申請できるようにしてもらい、補助を受けて発電機を購入しました

メーカー:デンヨー株式会社

機種名:エンジン発電機

型式:GE−2800SS−Iv2

これより1つ小さいタイプでも大丈夫ですけど…とメーカーさんには言われましたが、我が家は少し大きいタイプの発電機を買いました。

実際に購入した発電機

 

発電機を購入する際に気をつけたこと

なおこ

ついに補助が決まって購入できたんですね。発電機を購入する際の注意点などはありましたか?

みうママ

購入の際に、現在使っている酸素濃縮機を実際に使う事ができるか、酸素のメーカーと発電機のメーカーで機械の相性を調べてもらいました。

さらに、自治体の担当者も一緒に、実際にどれぐらいのバッテリー容量のある発電機が必要なのかを話し合い、それで補助の額が決定されました。

なおこ

確かに、実際に使用している医療機器が使えるかどうかはとても大切ですね。

みうママ

さらに、非常用の発電機は、いざという時にちゃんと使えるかどうか定期的にメンテナンスが必要です。

ホームセンターで買うと安いですが、メンテナンスができません。

なので、実際の購入時はメンテナンスをしてくれる業者を通して購入しました。

ここから数年して徐々に周りの自治体にこの動きが広がり初めました。

補助金の額は自治体によって違いますが、各家庭とても助かっていると思います。

避難のための個別計画を作成し、避難訓練を実施

なおこ

実際に避難訓練をされたそうですが、その時のお話を教えて下さい。

みうママ

最近は毎年の様に全国どこかで大規模災害が起きています。

なので、発電機はあっても、今度は家が倒壊してしまうと避難所へ娘を連れて行けるのかという不安がありました。

それを福祉課に相談し、避難訓練の実施が決まりました。

ちょうど国から全国の自治体に、「医療的ケア児の避難計画を作るように」という通達があったようでそれも後押しになりました。

なおこ

発電機の購入が避難訓練につながったんですね。

みうママ

発電機の購入は福祉課が担当でしたが、訓練は主に「防災減災課」という課が担当でした。

まずは、市役所・消防・民生委員・私たちで避難時のフローチャートを作成。

これは、県の作成したフローチャートを元にしました。

実際に作成したフローチャート

みうママ

私たちが今住んでいる自治体には、医療的ケア児のいる家庭が4家族あります。

その4家族全てが訓練に参加しました。

なおこ

訓練時に最も大変だったことはどんなことですか?

みうママ

医療機器と一緒に避難しなければいけないので、一番大変なのは荷物が多いことです。

自家用車への荷物搬入を消防に協力して運んでもらい、私と娘は自家用車を使いました。

これだけの荷物を運びます

なおこ

やはり荷物が多くなりますよね。避難の際は非常用発電機も一緒に持って行ったのでしょうか?

みうママ

避難計画を立てる時点でも、やはり電源の確保が課題でした。

福祉避難所には非常用発電機が必ずあるはずなんですが、非常用なので使う機会があまり無く、実際に非常時に動くかどうかが解らない、また動いたとしても何時間動くのか?もわからず、不安だらけでした。

さらに福祉避難所には老人の方も避難されてきますし、人が増えると医療ケア児だけそこで特別扱いできない…となり、悩みました。

なおこ

自分たちの状況を理解して対応してもらうのは、中々難しいですよね。

交渉の結果、どのように解決したのでしょうか?

みうママ

そこで福祉課の職員さんが、市役所なら避難所にはなっていないが非常用発電機があり必ず動くし、災害時は保健師も24時間体制で待機しているということで市役所への避難を提案してくれました。

小さな街で医療的ケア児家族は4家族と少なく受け入れ可能だということで、避難先を市役所にすることになりました。

なので、非常用発電機が元々ある場所へ非難する事が前提で計画を立てていたので、電源確保は安心できていました。

ですが、もしも…の時のために、実際避難する時は荷物と一緒に家にある発電機も持って行きました。

うちの発電機は大きいので大変でしたが、夫もいたし、車に発電機を積み込む練習をしておいた方がいいと思い持って行きました。

 

なおこ

訓練をしてみて具体的によかったなと思うことはどんなことですか?

みうママ

印象的だったのは、4家族順番に訓練をしていったのですが、回数を重ねるごとに役所側も対応が改善されていったことです。

例えば私たちが役所に連絡を入れ、役所内でいくつかの部署を経て返事が返ってくる場面がありました。

その時、1番目の家族と2番目の家族では、返事が返ってくるまでの時間が短縮されていました。

私たちは移動に時間もかかるし、普通の人よりも早い段階で避難を開始しなければいけません。

そのような状態の時に、役所からの返事が「どれくらいの時間で返ってくるのか」はとても大事です。

その目安を知れたのは、訓練の大きな成果のひとつでした。

訓練の時の様子

2020年9月、実際に避難をした時のこと

なおこ

その後、実際の避難も経験されたということですが、その時の話も聞かせて下さい。

みうママ

2020年9月に台風10号が接近した時、これはもしかしたら避難することになるかも知れないと思い、役所に連絡しました。

その後台風が最接近する前に、実際に避難することになりました。

訓練の時は母子2人で避難する想定でしたが、この時は一家5人での避難だったので荷物が倍だったのが大変でした。

訓練にも参加した医療的ケア児のいる4家族全てが無事に避難する事ができました。

災害時が不安な、医療的ケア児を育てるご家族へ

みうママ

私は個別計画完成まで2年、そこから避難訓練実現まで1年弱かかりました。

自治体に訴え続け、実現するまで長かったですが、来年から自治体に「災害弱者の個別計画作成」を努力義務とする法改正がされます。

個別計画作成を自治体だけに任せるのは難しいと思うので、家族・子供に関わる全ての人(訪問看護師さん、相談支援専門員など)に相談し、協力を得るのが1番の近道かもしれません。

皆さんの避難計画の話が進む事を願っています!

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