「医療的ケア児コーデイネーター」を中心に地域での支援を!【横浜市インタビュー後編】

こちらの記事は、横浜市に「医療的ケア児支援の取り組み」についてインタビューした記事の後半になります。

前回の記事は、横浜市の発行した「医療的ケア啓発パンフレット」ついて話を伺い、そこから横浜市が医療的ケア児支援へどう取り組んでいるのかを聞くことができました。

【インタビュー】横浜市が医療的ケア児ママと協力!「画期的なパンフレット」ができた理由とは?

今回は、医療的ケア児の生活に必ず付いて回る「就園」「就学」「受け入れ先」についての横浜市の取り組みについてを、インタビュー後半としてお届けいたします。

 

横浜市は全国に先駆けて「横浜型医療的ケア児・者等コーディネーター」をすでに6名配置、医療的ケア児支援への取り組みを加速させています。

まだ耳慣れないこの「医療的ケア児コーディネーター」とはどんな仕事なのでしょうか?

インタビューに応じて下さったのは、引き続き横浜市こども青少年局の浅野美和さん、岩田眞美さん、横浜市医療的ケア児者等コーディネーターの北島美樹さん、そしてパンフレットのイラストを担当された、ご自身も医療的ケア児を育てるママの木島理恵さんです!

左から木島さん、北島さん、岩田さん、浅野さん、私です!

横浜市独自の「医療的ケア児コーディネーター」制度

ーーー横浜市は、すでに6人も医療的ケア児コーディネーターがいるのですね!多くの自治体は、今年度(令和2年度)ぐらいからやっとコーディネーターを養成、もしくは稼働し始めているのがほとんどだと思います。

岩田:横浜市では、国から医療的ケア児コーディネーターの配置に関する通知が来る前から、すでに市独自の形でコーディネーターを養成しようとしていました。

何かをやるには予算を付けないといけません。なので、現在すでにコーディネーターが稼働して2年目に入っていますので、取り組みとしてはその2、3年前から始まっていたことになります。

それができたのも全て、現場からの声が大きかったからです。

在宅医療やこども医療の先生たちから、かなり積極的に医療的ケア児について課題提起がなされていたのです。

横浜市もそれを受け、実際に支援に取り組み始めました。

現在横浜市では、こども青少年局を含む4局が協力して医療的ケア児支援に取り組んでいますが、これは横浜市としてもかなり画期的なことなのです。

横浜市の医療的ケア児支援の取り組みには、横浜市の医師会がかなり協力してくれています。

横浜市の「医療的ケア児者・等コーディネーター」は、全て医師会の訪問看護ステーションに所属する訪問看護師が、専門の研修を受けてコーディネーターになっているのです。

 

ーーーなるほど、看護師さんがコーディネーターになっているのですね。

浅野:やっぱり医療職の方が、制度を知っていることが心強いのです。国の医療的ケア児コーディネーター養成の方針は、相談支援員をコーディネーターにしていくというものです。

なので、医療職である看護師をコーディネーターにするという横浜市のやり方は独自のものですね。

岩田:相談支援員は福祉職で、どちらかというと障害者支援です。なので医療にはあまり詳しくなかったりするのです。

医療的ケア児は「医療的ケア」があるというのが重要な部分なので、医療分野がうまく連携するというのが大事なポイントなんです。そこがわかっていないとサービスを上手くつなげないのではと思っています。

横浜市の医療的ケア児・者等コーディネーターの視点から見る、現場の問題点

(今回のインタビューは、実際に横浜市の医療的ケア児・者等コーディネーターをされている北島さんが同席して下さいました。)

横浜市で最初の医療的ケア児コーディネーターである北島さん

ーーーまず、「医療的ケア児・者等コーディネーター」というのが新しい言葉だと思うのですが、具体的にどんなことをされているのですか?

北島:私は、今までは訪問看護師として医療的ケア児に関わっていました。

ですが、お子さんの就学問題や卒業してからのことなど、もっとその子に関われることがあるんじゃないかと思ったんです。

今は、医療的ケア児に関する制度や支援について、保護者の方や周りの方と「こうするといいんじゃない?」と一緒に話しながら進めています。

訪問看護師としての活動をしながら、主に相談をいただいて、それに答えていることが多いですね。

 

ーーーどんな相談が多いのですか?

北島:全体的に多いのは、預け先に関する相談です。

保育園や幼稚園に入りたいんだけどどうしたらいいか?とか、お母さんが体調を崩されて、それがもし夜だったりした場合、誰に助けを求めてどこに預けたらいいのか?などの相談です。

保育園に受け入れをお願いしても、断られるんですよ。

看護師もいる、加配の保育士も付く、そういった保育園でも、医療的ケアがネックになって断られることが本当に多いんです。

レスパイトについても、重度の心身障害のお子さんには、メディカルショートステイなどの預け先があります。

ですが、重度障害でもないし、かと言って軽くもない、医療的ケアがあっても動ける子の行く場所が本当にないんです。

何人かのお母さんから、体調を崩したらどこに助けを求めたらいいのか、という相談を最近受けました。

実際に受け入れ先がない、そこをどうにかできたらと思います。

 

ーーーコーディネーターを実際に1年されてみて、どんなことを感じましたか?

北島:挨拶回りなどをしていると、「何をする人なんですか?」ってまだまだ言われることが多いです。

ですが、先日も保育園の園長先生が「こういう医ケアの子がいるんだけど」って紹介してくれたり、相談支援の方から「それは医療的ケア児コーデイネーターの方に相談してみたら?」と紹介してくれたり。

少しずつ、コーディネーターの存在が浸透してきたなと思っています。

初めは「何してくれる人なんですか?」って言われるんですけど、それを説明すると、「ああ、じゃあ一緒にやっていけばいいんですね」って言ってもらえるのが嬉しいですね。

 

横浜市の、これからの医療的ケア児支援

 

ーーーこれから横浜市が、医療的ケア児の支援で取り組んで行きたいことはどんなことでしょうか?

浅野:今は本当に受け入れ先が少ないので、受け入れ先を増やすのが課題ですね。

それについて、2年前から支援者養成研修というのをやっています。

これは横浜市の施設や支援者団体などが参加してくれている、こども支援に関する研修なのですが、なるべくエリアごとにグループワークをして頂けるように企画しているんです。

その研修に関するお話で、すごく嬉しいエピソードがありました。

たまたま同じ日に研修に出席されていた方が、終わってから帰る方向が同じで、降りたバス停まで一緒だったそうなんです。

それで、お互いにさっき研修にいましたよねってなって、私はすぐそこの訪看です、私はすぐそこのヘルパーセンターですってなって、仲良くなられた。

そして、ヘルパーセンターの方は全く小児をやっていなかったんですが、それをきっかけに小児のヘルパー事業を始められたんです!

小児をやっていた訪問看護ステーションと、小児をやっていなかったヘルパー事業所が、たまたまずっと一緒に研修を受けていたことで一緒にやろうよとなり、ヘルパー事業所が小児を受け入れるようになったんです!

 

ーーーすごい!支援者どうしでつながりができたんですね!

浅野:そうなんです、そこで横のつながりができたんです。

それこそが、横浜市が大きな研修をする一番のメリットかなと思っています。

そういう連携を作ることによって、話を聞いただけではできないなぁと思っていた事業者も、じゃあやってみようかとなるかもしれない。

こうして顔を合わせておけば、何か相談の電話がかかってきた時の対応も、冷たく断らずにあの人ならいいよとなったりすると思います。

岩田:顔の見える関係って大事なんです。

知ってる人からの相談なら受けようとか、その人からきいた事ならやってみようとか、そういったつながりが本当に大切だと思っています。

そのつなげる部分こそを、コーディネーターさんにやってもらおうと思っています。

地域全体で支援をつなげていくということ

岩田:これは、いろんなお母さんたちにもお話しているんですが、行政って、どうしても、そんなにすぐに支援が行かないんです。例えば地震や、台風の停電などにしてもそうです。

今回のコロナでも、厚労省から指示が出て、それが神奈川県→横浜市と順番に通知が降りてきて、各自治体はその通知を持って動くという形でした。

仕組み的に、どうしてもそうなってしまうんです。

もちろん横浜市が独自に市長の命令でできることもあります。ですが全てそうではないし、各区となるとさらに市からの通知が降りてからになる。

そうするとやっぱり、どんなに急いでも2、3日かかってしまうんですよね。だから、何かあったときのために、地域でつながっておいてもらうことがとても大切なんです。

横浜市がそういったつながりの場を作り、そして支援者どうしでつながってもらいたい。

そうすれば、例えば地域の人も近所に住む医療的ケア児について知っていたら、災害時に助け合うことができるかもしれない。

そしてこれをきっかけに、またほかのいろんな支援活動をしようという気持ちができたら、すごく嬉しいです。

浅野:今年は、私たちはこのパンフレットを持って色々な施設や学校などを回り、医療的ケア児支援についてお話をして行くつもりです。

そして、医療的ケア児コーディネーターにいろんな場に出てもらい、活動が浸透してきたらコーディネーターを中心に、様々な支援をつなげていきたいと思っています。

横浜港が一望の、新市庁舎の一室にて。終始和やかな雰囲気でのインタビューでした!

終わりに

横浜市は人口370万人の、日本最大の政令指定都市です。

これから医療的ケア児の人数も増えていくでしょう。それを見据え、行政の縦割り制度を超えて事業を展開しているところに、横浜市として医療的ケア児支援に真剣に取り組んでいる姿が見えました。

インタビューに答えて下さった、横浜市こども青少年局の浅野さん、岩田さん、横浜形医療的ケア児者等コーディネーターの北島さん、パンフレットのイラストを担当された医ケアママの木島さん。

どうもありがとうございました!

 

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【パンフレットのお問い合わせ先】

横浜市こども青少年局こども福祉保健部障害児福祉保健課
電話:045-671-4279
ファクス:045-663-2304
メールアドレス:kd-syogaijifukuho@city.yokohama.jp

横浜市のお問い合わせ先HP

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