こんにちは。アンリーシュライターのこずえです。
私は、重い障害がある子どもたちの「療育」の仕事をさせてもらっています。
「療育」という言葉、一度は聞いたことがあると思います。
ですが、実際に受けるまではなかなかイメージがわかないのではないでしょうか?
また、最近はご家族と離れて通う場所も増えているので、通ってはいても実際の様子はあまり知らない、という方も多いかもしれません。
これから、そんな「療育」について、現場で働く立場からお伝えしたいと思います。
第1回目のテーマは「療育ってなに?」です。
「療育」ってなに?
障害があるお子さんや発達がゆっくりなお子さん、発達に偏りがあるお子さんのご家族ならきっと一度は耳にしたことがある言葉ですよね。
でも、「療育って何?」と改めて聞かれたら困る方も多いのではないでしょうか?
いろいろな定義や考え方がありますが、私が一番しっくりくる言葉はこれです。
『療育とは、注意深く特別に設定された特殊な子育て』である
これは、北九州市立総合療育センターのセンター長だった高松鶴吉先生が、1990年に発行した「療育とはなにか」という著書の中にある言葉です。
もう30年も前の本ですが、私はこれ以上の言葉を知りません。
どんな障害でも、障害が重くても軽くても、この言葉なら当てはまるのではないかと思います。
そう、「療育」は子育てなんです。
その子の持って生まれた特徴、得意なこと苦手なこと、育ってほしいこと、気をつけないといけないこと、そういうことを全部考慮して、日々の生活のなかで子どもを育てていくことなんです。
保育も、教育も、療育も全て目指すところは同じ
これって、実は障害の有無に関わらず、子育てそのものですよね。
ちなみに、保育所における保育でも、「子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す基礎を培う」ことを目指しています。
幼稚園における幼児期の教育も、「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」であることを基本としています。
つまり、保育園の保育も、幼稚園の教育も、療育も、目指すところは同じなんですよね。
でも、ほとんどのお父さん、お母さんは、自分とは違って障害がある我が子をどうやって育てたらいいのかわからないと思います。
そして、保育園や幼稚園の先生方も経験が豊かな方は多くありません。医療的ケアについてはなおさらです。
もちろん、普通の子育てでいいんです。
ですがやっぱり、それぞれの障害の特性や、育て方のコツや、大人になるまでの道のりを知っている人に頼りたいと思いませんか?
そのためにあるのが、「療育」の場です。
障がいや医療的ケアのある子もない子も、みんな行きたい場所に
「障害があって保育園や幼稚園に行けないから療育に通わないといけない」なんて思わなくていいんです。
「地域の子どもたちと一緒に過ごしてほしいから療育じゃなくて保育園に通う」というのも立派な選択です。
本当は、障害や医療的ケアのある子もない子も、みんな行きたい場所に通って、その子らしく育っていけるのがいいと思います。
お母さんが働くことに罪悪感を覚えることなんてなくなってほしいと、心から思います。
でも、今の日本でそれが叶うことは少ないのが現実で、「療育」という言葉にはいい印象を感じないことが多いかもしれません。
「療育」がもっと一般的なものになって、お母さんたちが悩むことなく行けるようになるといいなと思います。
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