鼻チューブを我が子に入れる時の母の葛藤【あいりちゃん】

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
Free&Clear合同会社 様よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

アンリーシュフレンズのあいりちゃんは、生後7ヶ月の時に自治体の乳児相談で身体発達の遅れを指摘されました。2歳になる直前で、レット症候群という主に女の子に起きる遺伝子異常の疾患だということがわかりました。

そんなあいりちゃんが鼻チューブとなった時、ご家族はどのように思ったのでしょうか?
その時の心情をお聞きしました。

あいりちゃんのプロフィール

【お名前】  :あいりちゃん
【病名】   :レット症候群
【医療的ケア】:経管栄養

 

覚悟はしていたが受け入れられない現実

大きくなるにつれて、水分を摂るのが嫌になってしまうことが多くなったあいりちゃん。
年中さんの冬に体調を崩し、水分を全く飲んでくれず脱水になってしまいました。

その半年後にも同じようなことが起きて入院。主治医から鼻チューブや胃ろうの話をされました。
退院後にも掛かりつけの主治医から、「鼻チューブを入れる練習をしてみましょう!」と言われ、指導入院の話がどんどん進んでいったそうです。

最初は「練習で」という話でしたが、入院してみると本人が食事や飲み物を拒否することがあり、鼻チューブから栄養剤を入れてもらうことも。そのまま鼻チューブの継続が決まりました。

アンリーシュ
初めて鼻チューブや胃ろうの話が出た時はどうでしたか?
あいりちゃんママ
最初に話をされた時は、私も無知だったので正直「アイリがチューブ?嘘でしょ?」と本気に考えられませんでした。
受け入れがたい状況に返事を濁し、話はそれで終わったとばかり思っていたそうです。

体調不良でなければ、少量でも口から水分も摂れるし、刻み食も食べることができます。
「いずれ大きくなってから」と、以前から胃ろうになる可能性を言われていましたが
「もう言われてしまうの?」という気持ちが一番最初に思ったことでした。

アンリーシュ
医療的ケアが新たに増える時、親としては戸惑いますよね。今のままで大丈夫という可能性を信じたいけど、医師から提案をされてしまう現実。
受け入れがたいけど、受け入れないといけない……そんな葛藤に悩まされることはあると思います。

 

鼻チューブの指導入院

気持ちに折り合いをつける間もなく、指導入院が決まりました。
チューブ交換の練習をやってみてもうまくいかず、心が折れかけても誰にも本音を言えませんでした。

それでも指導入院に関わってくれた医師や看護師さんが、親子ともにケアをしてくださったので、初めから前向きにチューブ交換の練習もできました。

あいりちゃんママ
実際は落ち込む暇もなくて、必死だったのかもしれません。
アンリーシュ
医療的ケアって抵抗ありますよね。私も素人なのにこんな医療従事者がやるようなことやっていいの?と疑問だらけでした。

やってみてどうでしたか?

あいりちゃんママ
注入自体はシリンジで行っていたのであまり難しく感じず、むしろ「これは食事中、アイリと戦わなくて済む!」と感動さえしました!!
アンリーシュ
確かに!子どもに食べさせるのって労力とられますもんね。少しプラスに考えられていたんですね。

 

退院

退院する頃には、訪問看護のお話をしていただいて不安を取り除いてもらったのもあり、退院後の生活はあまり不安を感じずにすみました。

アンリーシュ
家に帰っても医療のプロがついていてくれるというのは、心強いですよね!

医療的ケアをしながら在宅に移行するとき

医療的ケアがあって在宅生活に移行する場合、訪問看護との連携をとります。

病院のソーシャルワーカーなどが中心となり、地域の訪問看護や相談支援員さんと連携をとり、退院前に顔合わせをします。

退院前に在宅生活を送るのに

・どのようなものが必要か
・支援にどのぐらいはいってもらうのか
・医療機器や医療物品の配置

などを打ち合わせします。

その時にあらかじめ自分がどんな訪問看護の介入を望んでいるか、考えておくといいでしょう。
『訪問看護ってどんなことするの?』とお悩みの方は、こちらの動画でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

鼻チューブ交換時のポイント

嫌なことが分かってしまうこともあり、鼻チューブを挿入する時は好きなテレビを見せて、力を抜いて挿入できるようにしています。

なるべく朝、きょうだいが起きる前にやろうとしていますが、すでに起きていると交換中にきょうだいが準備しているものを持ち出したりしてしまうので、きょうだいの気をひくものも用意して交換作業の妨げにならないように試行錯誤しています。

アンリーシュ
事前の準備って大切ですね。安全に交換するための工夫ですね。

 

医療的ケアをすることへの想い

「こんなことをするなんて…」とマイナスに見られてしまうこともあると思います。
私自身もいまだにアイリの辛そうな顔を見るのは慣れません。

それでもこのチューブのおかげで脱水になる事がなくなり、安心して毎日を過ごせています。
ただ「辛そう」「かわいそう」ではなく、「頑張ってるなぁ」と温かい気持ち見ていただけると嬉しいです。

この記事の詳しい内容は、下記Youtubeでぜひご覧ください。

 

まとめ

「いずれは…」という医師からの言葉に、『まだ先のこと』『もしかしたらしなくてもいいかも』と期待をもつこともあると思います。
その時の葛藤は、私も痛いほど分かります。
分かっている現実を突きつけられた時、すんなり受け入れられる状態じゃないこともたくさんあります。こういう気持ちを皆さんと分かち合えるといいなと思って、この動画をピックアップしました。

すんなりと受け入れられなかったことも実際にやってみたら、そんなに大変なことではなかったと感じるかもしれません。
体験談を聞き、『自分だったら』『自分の子どもだったら』と、一度考えるきっかけにしてもらえたらと思います。

tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅でも出来る活動にチャレンジ中!!

医ケア家族を寄付で応援する!【サポーターズ体験記】


 

この記事が参考になったら、以下のボタンよりシェアをお願いします