胃ろう とは

 

 

 

胃ろうとは?

胃ろうとは、腹部の外側から胃の内部に造られた、栄養を入れるための小さな穴のことです。

この穴を「瘻孔(ろうこう)」といいます。

瘻孔は、そのままにしておくと孔(穴)がふさがってしまうため、必ず胃ろうチューブを入れておく必要があります。

胃ろうにはどのような種類があるの?

胃ろうには、

  • 胃の中にあるストッパーが2種類
  • 体の外に出ている部分が2種類

あり、それぞれを組み合わせて計4種類に分けられます。

胃の中にあるストッパーの種類             

胃の中にチューブを固定するストッパーには、「バルーンタイプ」と「バンパータイプ」があります。

①バルーンがついている「バルーンタイプ」

水の入った風船(バルーン)でチューブを固定するタイプです。

【長所】
バルーン内の水を
抜けばチューブを出し入れできるので、交換が簡単です。

【短所】
バルーンが破れると、短期間で交換になることがあります。

 

②バルーンがついてない「バンパータイプ」

【長所】
チューブが抜けにくい為、交換までの期間が長いです。

【短所】
交換する時に痛みを生じることがあります。

体の外に出ている部分の種類

体の外に出ている部分には、「チューブ型」と「ボタン型」があります。

①カテーテル(管)がついている「チューブ型」

【長所】
投与の際、栄養チューブとの接続が簡単です。

【短所】
カテーテルが出ているので自己抜去(引っ張って抜いてしまう)することがあります。
カテーテル内が汚れやすいです。

 

 

 

 

 

 

(Illustration by @yama_yama_yama_1712

②カテーテル(管)がついてない「ボタン型」

ボタン型の場合、専用の接続チューブを介して栄養チューブをつなぎます。

【長所】
目立たず邪魔にならない為、自己抜去がほとんどありません。胃の中までの距離が短いのでカテーテル内の汚染が少ないです。
逆流防止機能が付いています。

【短所】
指先でボタンを開閉しづらい場合があります。

 

 

 

 

 

 

 

胃ろうを造った直後からしばらくの間はチューブ型が用いられ、その後、胃ろう部が安定してから、ボタン型に変更されることが多いです。

どうして胃ろうを造る必要があるの?

消化機能が正常でも、うまく食べられない、飲み込むことができないなどの摂食嚥下障害がある時や、食べる量が少なくて下記の①②③に該当する場合に胃ろうが検討されます。

  1. 経管栄養が1ヶ月以上の長期になることが予想される場合
  2. 経鼻胃管カテーテルの挿入が難しく、毎回レントゲン検査下で行わなければならない場合
  3. 経鼻胃管カテーテルの喉元への刺激により嘔吐反射(オエっとなること)を頻繁に起こしたり、逆に空気を多く飲み込む呑気(どんき)症となる場合

胃ろうのメリット・デメリット

メリット

  1. 胃ろうを造ることで、子どもがより快適に生活ができます
  2. 家族の負担が軽減します
  3. 見た目がすっきりします
  4. 粘度の高い栄養剤を注入出来るようになります
  5. 必要がなくなれば簡単に閉じることが出来ます

デメリット

  1. 合併症のリスクがある→胃ろうを造る際や造った後に、お腹の中の出血や、お腹の外の皮膚に傷が出来るなど、合併症のリスクがあります
  2. 肺炎がなくなる訳ではない→胃ろうを造れば誤嚥性肺炎にならないというのは間違いです。経鼻胃管カテーテルよりもリスクは減りますが、胃に入れた栄養剤が食道から喉まで逆流して、誤嚥することがあります。胃ろうを造ったからといって誤嚥性肺炎がなくなる訳ではありません

胃ろうを造る手術について

小児の場合は、全身麻酔を使用して開腹手術で胃ろうを造ることが多いです。

その理由として、内視鏡を使った胃ろう造設術が、小児ではあまり実施されていないことが挙げられます。

開腹せずに内視鏡を使って胃ろうを造るPEG(経皮的内視鏡的胃ろう造設術)ですが、問題点として、

  1. 胃の壁と腹の壁の粘膜が固定するまで不安定
  2. 小児では身体に変形が多いこともあり、適切な位置に胃ろうを造ることが難しい

があると言われています。

また、小児科に内視鏡の医師が非常に少なく、成人の消化器内科の医師にPEGの手術を依頼することが多いのです。

身体の変形がなければ実施することもあり、中には積極的にPEGを実施している小児医療施設もあります。

施設によって方針が違うのが日本の現状です。

胃ろうのケア方法

胃ろう周囲のスキンケア方法 

入浴時に胃ろう部を覆う必要はありません。胃ろうの周りをよく泡立てた石鹸で、優しく毎日綺麗に洗いましょう。

洗う時にはガーゼや綿棒を用い、ろう孔周辺の粘液や汚れも取り除きます。

石鹼を使用する際は、必ず弱酸性のものを使います。石鹼が残っていると皮膚トラブルの原因になるため、最後にぬるま湯で洗い流します。

洗った後は、こすらず、ガーゼで優しく押さえ拭きをし、最後に保湿剤を用いてスキンケアをすると良いでしょう。

胃ろうから分泌物がある場合は、ティッシュまたはガーゼで「こより」を作り、胃ろう周囲にゆるく巻きます。こよりが分厚すぎたり、きつく巻いてしまうと皮膚が圧迫されるので注意が必要です。

こよりが汚れた場合は速やかに交換しましょう。

口の中のケア

食後の歯磨きをしましょう。

口の中には無数の雑菌がいます。胃ろうを介して食事を摂る方は口の中の雑菌が繁殖しやすく、それが肺炎や気管支炎など、さまざまな合併症の原因となります。

胃ろうの管理方法

胃ろうカテーテル(ボタン型)は、腹の壁と垂直になるように固定します

理由① 固定がきつすぎると胃の壁に傷ができます。出血したり、バンパー(バルーン)が胃の粘膜に埋まってしまいます。(埋没症候群)

理由② 根元が曲がっていると、瘻孔の粘膜がめくれて肉の盛り上がり(肉芽と言います)ができたり、胃の内部のバンパーや外部のストッパーが皮膚などに当たって瘍になってしまいます。

瘻孔の入り口と外部ストッパー(または胃ろうボタン)の周りには、1㎝程度のゆとりを持たせます

理由 ゆとりがないと皮膚に当たって傷ができます。

1日1回以上、もしくは注入の度に、胃ろうが滑らかにくるくる回るか、軽やかに上下に動くかを確認します

理由 スムーズに動けば、バンパー(バルーン)が胃の粘膜に埋まっていないことになります。

バルーン型の場合、1〜2週に1回は、中の水を確認・補充します。補充の際は、ボタン(外部ストッパー)の頭部をしっかりと腹の壁に押し付けた状態で水を入れます

理由① バルーンの水は時間が経つと減少します。

理由② 腹の壁から離れたまま水を入れると、バルーンに十分な量の水が入りません。固定水は病院では蒸留水を使用するが、在宅では水道水でOK。

 

胃ろうのトラブル・症状と対処法

トラブル① バルーン内の水量が少なくなっている(バルーン型のみ)

そのままにしているとバルーンが抜けてしまいます。

【対処法】

  • 指示通りの固定水を入れます。
  • 固定水の確認を定期的に行いましょう。(例えば週に1回月曜日などと決めてチェック!)  

トラブル② 胃ろうチューブが抜ける

そのままにしていると、数時間で胃ろうがふさがってしまうことがあります。

【対処法】

  • バルーン型の場合は、抜けたチューブの固定水を抜いて再挿入を試みましょう。
  • バンパー型の場合は、代用のチューブ(胃ろう接続チューブの接続部を切ったもの等)を挿入します。

抜けたチューブの一部が壊れていなければ、とりあえずそれを入れておきます。挿入は優しく行い、入りづらい場合は無理に入れないこと。その後すぐに病院に連絡して指示に従いましょう。

トラブル③ 胃ろう周りの皮膚が赤い、またはただれている

【対処法】

  • 胃液や注入物が漏れていたらこまめに拭きましょう。
  • ティッシュでこよりを作り、胃ろう周囲に巻きます。こよりが汚れたら交換しましょう。
  • すでに処方されている軟膏があれば、指示に従って塗りましょう。
  • ひどくなった場合は医師に相談!

トラブル④ 肉芽(粘膜の盛り上がり)がある。

【対処法】

  • 胃ろうチューブの向きを変え、なるべくチューブと皮膚がこすれないように固定します。
  • 胃ろうチューブの周囲を常に清潔にしましょう。
  • 肉芽が大きくなり粘液や出血が出てきたら医師に相談しましょう。

まとめ

今回は胃ろうについてまとめました。

胃ろうにも色々な種類があり、お子さんの病気や身体の状態によって使う胃ろうも変わってきます。

それぞれにメリットとデメリットがありますので、お子さんにとってよりベストな胃ろうを、医師と相談しながら決めていけると良いですね。

この記事を書いた人

【ライター&監修】
ゆっこ

【経歴】  
看護師歴17年目。大学病院では、救命救急センター、外来、病棟、透析センター、内視鏡センターで勤務。その他に看護専門学校教員、訪問看護など様々な現場を経験。得意分野は救急看護。

2020年からはフリーランスとして、看護師ライター、看護師シッター、オーダーメイド看護、イベント救護室、健康相談員として幅広く活動している。

プライベートでは、9歳、5歳の子どもを育てる2児の母。
5歳の子どもは先天性声帯狭窄症で気管切開をしている医療的ケア児。都内の認可保育園に看護師配置のもと通園している。就学前の抜管に向けて治療中。

自身の経験をブログで発信中。

看護師ママと医療的ケア児の成長日記

Illustration by @yama_yama_yama_1712