【地域で考える】医療的ケア児家族のリアルと医療的ケア児支援センターの取り組み

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
tomoriaku 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

2023年9月13日(水)に兵庫県加古川市加古川総合庁舎にて

令和5年度 第1回)東播磨圏域 医療的ケア児等コーディネーター連絡会・令和5年度東播磨圏域相談支援フォローアップ研修がおこなわれました。

東播磨圏域医療的ケア児等コーディネーター主催で開催され、NPO法人アンリーシュ理事の岡田が登壇させていただきました。

医療的ケア児のくらしの現状を知る

歩ける医療的ケア児あいちゃんの1日の生活を通して、毎日の医療的ケアを知っていただきました。

医療的ケアがあることで母子分離をしたくてもできない現状や 災害時の不安、福祉制度を利用していて感じていることなどを発表させていただきました。

 

母子分離したくてもできない現状

病弱児学級にかよっている娘は、学校までの距離を歩いて登校することが難しいため、毎日わたしがこども用の車イスを押して登下校の付きそいをしています。

お昼の栄養注入以外のケアは必要がないため、看護師配置は給食の時間のみです。

登校してからも体調が悪くなると連絡がくることがあるため、わたしは学校にかけつけられる距離で生活をしています。

わたしのように医療的ケア児を育てる家族はたくさんいます。

校外学習もおべんとうの時間しか看護師配置がないため、移動中の体調の悪化や医療的ケアは、わたしがしなくてはいけません。

付き添いの時間はジャマにならないように気をつけたり、見学の時間は1人ポツンと数時間待たなければいけないときもあります。

そんなときに「居場所がないな」と思ったり「私だって家事などの時間を調整して、付きそいをしているのになぁ……」と、少しモヤモヤしたキモチになる瞬間があります。

 

担任の先生は娘の体調変化を毎日必死にチェックしてくれていますが、娘が急に体調不良になった時のことを心配されています。

緊急対応などは学校と何回も確認をしていますが、入学してから「様子がおかしい」と連絡をもらいかけつけたり、低血糖の症状でそのまま病院を受診したこともあります。

お家でも逆流してきた食べ物で窒息してしまったこともあります。

いつもは元気な娘でも急に体調が悪化する可能性があると思うと、小学校に行っているあいだの時間は「大丈夫かな?」と少しドキドキしながら過ごしています。

娘に看護師さんが常時配置されていたら親も学校も、もっと安心して娘と過ごすことができるんじゃないのかな?と感じています。

 

医療的ケアがあるからではなく医療的ケアがあっても・・・

医療的ケアは生命を維持するためのものなので、いつだれしもが必要になるかもしれないケアです。

だからこそ【医療的ケアってなんだろう?】 【自分の周りにも医療的ケアをしている人がいるかもしれない。】と考え、

だれもが「医療的ケア」という言葉を小さいときに学び、当たり前に知っている社会になっていてほしいと感じています。

 

娘は栄養剤の準備や注入を1人でできるようになってきました。娘ができそうな事はなるべくやらせるようにしています。

ただ、苦手なことや体調不良のときは誰かの力が必要になることもあると思います。

いつまでも娘のそばで、成長を見ていきたいと思ってはいますが、突然それができなくなる時がくるかもしれません。

なので、今のうちから娘の成長を一緒に見守ってくれるかたや、娘が社会に出たときに、娘らしく生きていけるように応援をしていただけるような、

サポートの輪をたくさんの人の力で広げていってくれたら嬉しく思います。

医療的ケア児支援センター開設1年のあゆみ

相談支援専門員の柏木実咲さんと、看護師・保健師の岡澤明砂さんが開設から1年の兵庫県医療的ケア児支援センターの現状について報告してくださいました。

令和4年6月15日に稼働開始した兵庫県医療的ケア児支援センターは、医療福祉センターきずなが受託し、

相談支援や関係機関との情報共有・協働関与の推進、医療的ケア児とその家族の家族会の構築・運営を提供されています。

「兵庫県医療的ケア児支援センター」の開設について

医療的ケア児支援センターには、医療的ケア児家族以外にも行政や教育機関などからの相談も増加しているそうです。

どうして医療的ケア児家族以外からの相談が増えているの?
それは、医療的ケア児の受け入れが進んでいるため医療的ケア児家族が支援機関と繋がれている証拠なんです!

支援機関と繋がれていないセルフプランの医療的ケア児家族が多いと、家族からの相談が多い=家族の負担や孤独が多くなっていることになるんですよ。

どんな相談が多い?
在宅医療がSTARTする乳児期には、復職や在宅医療への不安の相談が多く、幼児期には保育園の受け入れ、
小学校や中学校の就学相談が始まる5・11・14歳には看護師の配置や修学旅行の相談も多いですね
成人を超えて今後の受け入れ先の相談をされるご家族もいらっしゃいます。

 

医療的ケア児支援センターの役割

①相談支援:医療的ケア児とその家族からの問い合わせ・相談に個別対応する必要があれば、居住地域の適切な相談先に繋ぐ。

②関係機関との情報共有・協働関与の推進:医療・福祉・行政の資源・サービスに精通し、これら関係機関と情報を共有し、講習会を介してそれらのアップデートに寄与する。

③医療的ケア児とその家族の家族会の構築・運営:同じ課題を持つ家族間の情報共有・親睦の場を提供する。

このエリアに必要なものを考える

グループ討論では、【サンマ】や【ぶどう】など秋の食べものグループに分かれて、講師への質問や、このエリアに必要なものはなにかを話し合いました。

医療的ケア児家族が求める支援とは

発表の中で話題にあがったのは、付き添い登下校やケアをしているお母さんの就労でした。

医療的ケア児家族以外でも支援級に在籍している子どもの親は、毎日付き添いをしているケースが多くみられます。

また、付き添いをしているため働けなかったり働く時間が限られてしまう。

小学校入学前の子どもを預ける場所(短期入所施設)がないので、保護者の負担が大きいという意見もでました。

 

今回のフォローアップ研修には、研修医の先生も参加していただき医療目線での感想や提案もいただくことができました。

研修医の先生の提案
・医学生に医療的ケア児を知る研修時間をつくる。

・病院に医療的ケア児についてのポスター掲示。

・医療側からの医療的ケアに関するマニュアルを作成。

 

今後、この地域で医療的ケア児(者)や家族が安心して生活できるようにするにはという話の中で

「医療的ケア児家族が働ける場所をつくっていく」
「移動支援で登下校付き添いはできないのか」
「きょうだい児の支援にも力をいれよう」
「医療的ケア児コーディネーターの資格を持っている人は自信を持って名刺に載せていこう」

などの前向きな声が多く、医療的ケア児の娘を育てる母としてこの地域で子育てができる喜びや安心感を持ちました。

 

まとめ

地域の学校にかよう医療的ケア児と共に生活をしている子どもたちは、医療的ケアがあるからではなく、その子には必要なものだと受け入れ、接することができている。
大人が壁をつくっている部分があるのではないか。

今回の講義を聞いて1番多くいただいた感想でした。

医療的ケア児は一つの機関や一人の支援者だけで支えられている状況じゃない方がほとんどです。

医療・福祉・教育・行政・就労など、さまざまな分野の専門職がチームを組んでいろいろな視点から考え、
同じ目的をもって支援していく体制を地域で目指していくことの大切さを感じました。

 


EMI
ライター:EMI
アンリーシュ理事・運営メンバーとして活動。
医療的ケア児と発達障がい児を育てる3児の母。
医療的ケア児家族と社会を繋ぐ架け橋となることを目指し活動中!

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