医療的ケア児家族の就労インタビュー(在宅ワーク編)

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
RONILO(MAI) 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

医療的ケア児家族の「就労」について
皆さんはどう思われますか?

・働きたいけど働けない!!
・体調を崩すことや入院が多いのに、仕事ができるか不安…
など、とても難しい課題となっているのではないでしょうか?

アンリーシュの5年目の目標は
『医療的ケア児家族の就労』でもあります。
一歩ずつではありますが、その目標へ向けて歩み続けています。

今回は、実際に医療的ケア児家族の就労(在宅編)について
インタビューしましたのでご覧ください。

 

在宅でのお仕事(瑠美さんの場合)

現在の仕事

NPO法人アンリーシュ理事の瑠美さん。

現在は、「SNSリーダー」として、主にアンリーシュのインスタ運用を行っています。
他にも今回委託事業として採択された『東京都医療的ケア児ペアレントメンター』のインスタ運営や、外注のインスタ運営を任されたりと、
在宅で働く医療的ケア児のママとして、お仕事の地位を確立されています。

1日のスケジュール

働くことへの想い

「働きたい」という想い

「今、自分が居なくなっても、家族以外誰も気づかないんだろうな…以前はずっとそう思っていたんですよね…」
瑠美さんはふとそんな言葉をつぶやきました。

「仕事」とは「社会の中で生きている」という証、
家族からの必要性は感じているけど、社会の一員になれていない『孤独感』を常に感じていたそうです。

私たちは、社会の一員として存在していない訳ではありません。
むしろその社会の恩恵を受け、私たちの子どもは一生懸命自分の命と向き合うことができ、
たくさんの支えによって、毎日楽しい生活が送れています。

では、なぜ医療的ケア児家族は孤独を感じるのか…
それは、社会の恩恵を受けているばかりでは辛いと感じる現状があるからではないでしょうか?

私たち医療的ケア児家族は、元気で動くことが出来ます。
そして社会の一員として、誰かの助けになることも出来ます。
しかし、その存在意義を奪われている…
存在をアピールするチャンスすらもらえていない状況になっているのではないでしょうか。

『社会という輪に入れてもらえない』『自分とは何者なのか』
こういった孤独感を感じている人が多い気がします。

アンリーシュへの参加

子どもの体調が落ち着いた時にふと、
「自分はこのままなのかな…」「いつまでこの生活が続くのかな…」と思ったそうです。

インスタでの発信をやろうかなと思った矢先に、
パートナーズとしても参加していたアンリーシュより声がかかります。

タイミング的にとても良かったという瑠美さんは、
その後『就学事例集のボランティア活動』に参加するなど、
よりアンリーシュへの参加を深くし、現在の地位をゲットしたそうです。

『就学事例集』ボランティアの活動
『就学事例集』の購入はこちらから

未知の世界への挑戦

前職は、介護職だったという瑠美さん。
全く違う分野への挑戦に不安はなかったのでしょうか?
アンリーシュに入った当初のお話を聞きました。

瑠美さん
最初は「自分たちで好きなようにSNS回してみて!」と、代表の裕香さんからの指示はそれぐらいでした。
Tomoko
手取り、足取りという訳ではなかったんですね(笑)不安はなかったですか?
瑠美さん
何も分からないところから恵美さんと試行錯誤していました。
自ら学ぶことでしっかりと身につけることが出来たんだと思います。仲間が居たから強かったし、やるしかなかったですからねぇ(笑)

 

瑠美さんのワンポイントアドバイス
飛び込んでみて無理かなと思うことも、やってみるとなんとかなるものですよ!!
誰かが助けてくれますから。

 

周りの人の理解や協力

家族の理解

Tomoko
パパはアンリーシュでの活動をどう思われていたのでしょうか?
瑠美さん
もともと子どもの育児に関しては私がメインでやっていたし、医療的ケアについては知識もあまりなく、最初はアンリーシュの活動にもあまり興味を示していなかったと思います。
ただ、アンリーシュフェスに参加したりして、同じ境遇にいるご家族や、他のご家庭のパパと子どもの関わり方などを見るようになって、医療的ケアの事に関してもビックリするぐらい理解しようとしてくれるようになりました。


アンリーシュフェスの様子

仕事と育児の両立

お仕事をする時に課題を感じるのが、育児との両立ですよね。
医療的ケアがある子は、色々なお世話が必要です。
うまく時間を作れない…と悩んでる方も多いのではないでしょうか?

瑠美さんの言葉がとても素敵だったので紹介します。
それは『出来たらラッキー』という言葉です。

子どもが居るせいで仕事が出来ない!と、イライラしてしまう自分がとても嫌いだといいます。
「今日こんなに出来た、いい子にしてくれててありがとうね」という想いで、
いつも接しているそうです。

『出来ないこと』これが当然で、普通なんだと思う事で、
医療的ケアに時間が取られても、穏やかに子育てに向き合えているのでしょうね。

それから、『生活のリズムをいっそのこと変えてしまう』という考え方も素敵でした。
子どもの寝かせつけをしていると、そのまま一緒に寝てしまった…
「あ〜また寝てしまった…やりたかったことが出来なかった」と後悔してしまう事、ありませんか?

でも瑠美さんの場合、そこはもう割り切ってしまうそうです!
特に通院などで日中にお仕事ができなかった時、
子どもと一緒の時間に寝て、早めに起きて仕事をしているそうです。

世間一般からすれば、「夜中に起きてお仕事なんて大変そう」と思われるかも知れません。
でも瑠美さんにとっては、子ども達と一緒に眠ることができ、自分もスッキリして仕事に向き合うことが出来るのです。
こんなに効率のいい働き方はありませんよね。

自分や家族に合わせた生活リズムを『常識』と引き剥がして考えられるのは、とても素敵だなと思いました。

 

仕事への情熱

リーダーとしての立場、対外的な仕事

瑠美さんはアンリーシュの中でも、SNSリーダーとしてボランティアさんの講習をしたり、
イベントの開催で他業種の方達と一緒に活動したりと、活動の場を広げておられます。

ちょっと前までは、家に閉じこもって医療的ケアをし、
「何も出来ない」「存在を認められず孤独を感じている」という立場からの転換をどう感じているのでしょうか?

瑠美さん
正直、自信はあまりないんですよ!
常に何か新しいことへの挑戦で、いつも不安な気持ちは大きいです!
Tomoko
え??でも、とてもリーダー力があって、引っ張られてると思ってましたが。
瑠美さん
絶対に助けてもらえると思ってますから(笑)めちゃくちゃ仲間を当てにしています(笑)
無理になっても大丈夫という安心感があるんです。だから、おもいっきりやれるのかな!
そんな仲間がいる環境って本当にありがたいですね。

私は、『他力』を念頭に置いて動いていた瑠美さんに驚きを隠せませんでした(笑)

しかし、『助けてくれる誰がいるという絶対的安心感』を持てるというのは
とても素晴らしいことだと思いました。

医療的ケア児の育児でも同じことが言えると思います。
人に任せることが出来ないからと抱え込んでしまうと、いつか自分が壊れてしまいます。
きっと誰かが助けてくれる、だから頑張ろう!やれるところまでやってみよう!
思えると、医療的ケア児の育児も少しは楽になるのかも知れませんね。

瑠美さんの想いにとても学ばされました。

今後の想い

今後の想いをお話しいただきました。

瑠美さん

自分たちが居なくなった後、ふうちゃんが居る世界は今よりもっと生きやすい世界に変わっていてほしいと願っています。
私は多分、この先もずっと医療的ケア児に関わる仕事をするんだろうなって思います。
そして、明るい未来に繋げる仕事に就いていたいと思っています。

だから、アンリーシュでのお仕事は絶対に意味のあることだと信じています。

医療的ケア児家族にとって、必要な情報や支援が揃っていて当事者が輝ける場所、
あと枠を作らない誰もが参加しやすい場所になるといいなと思っています。

そんな場所が作れるよう、これからも活動の幅を広げていきたいと思っています。

 

ペアレントメンターのお知らせ

現在、アンリーシュでは令和5年度東京都より委託を受けまして
『東京都医療的ケア児ペアレントメンター』の事業を行わせていただいております。

同じ医療的ケア児に関わってきたママさん達が、
就労に関して一緒に悩み、共に気持ちを分かち合えるようお話をさせていただいています。
瑠美さんもそんなメンターの一人です。

解決はできないのかも知れない…
だけど誰かに話す事で気持ちが元気になって
前向きになれるのなら、
本当に力強いものが生まれると、私たちは信じています!!

『制度がない!仕事がない!』と落ち込んでいてはもったいないです。
医療的ケア児家族一致団結して、社会に乗り込んでいきましょう。

相談窓口は「東京都医療的ケア児ペアレントメンター」です。
数多くのご家族とお話しできることを楽しみにしています。

 

まとめ

瑠美さんの『出来たらラッキー』という言葉にとても感銘を受けました。
子育てをしていると、自分の思い通りにならない事も多くあります。

何に重きをおいて日々を過ごすか、それは人それぞれです。
自分がどうゆう生活を望んでいて、その中での「仕事」というポジションはどうゆうものなのか
今一度考える事で、自分がやりたい事が見えてくるようにも思いました。


tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅で出来る活動にチャレンジ中!!

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