【初めてのお家!準備は?手続きは?】医療的ケア児の退院と在宅移行の体験談

医療的ケアがある子どもが退院する時、どんな準備や手続きが必要なのでしょうか?

こんにちは!ゆうか(@yuka_unleash)です。

私は5才の 医療的ケア児 を育てています。

娘は生後4ヶ月の時に入院し、そこから3年間の付き添い入院生活を経て、ようやく退院する事ができました。

退院の兆しが見えてきた時、家族で生活できる喜びの気持ちでいっぱいな一方で、退院までにどんな手続きや準備が必要なのかイメージできず、終わりのないマラソンを走っているような感覚がありました。

そこでこの記事では、これから退院する家族に向けて、我が家が退院までに行った事、こだわったポイントを紹介します。

退院までの手続きは病院によって様々ですが、娘の通っていた病院は大体3ヶ月くらいかけて今から紹介する退院準備を進めていきました。

医療的ケアの練習

まずは 医療的ケア児 の育児の基本、医療的ケアの習得です。

子供の状態が安定して 必要な医療ケアが定まってきたら、家族が自宅で行えるよう、練習がスタートします。

我が家が入院中に練習した医療的ケアは以下の6つです。

入院中に練習した医療的ケア

看護師さんがチェックリストを作ってくれて、一つ一つテストを受けながら技術を習得していきました。

例えば吸引だと、指定の長さで吸引できてる・吸引後肺の音が確認できてるなどのチェック項目がありました。

そしてママができるようになったら、今度はママがパパやおばあちゃんを指導するという流れで進んでいきました。

医療的ケアをする際、本人が楽な姿勢などを教えてもらいながら覚えていきました。

一通りの医療的ケアの習得が終わると、最終テストがあります。

最終テストは個室に子供と2人だけで1泊し、ママだけで医療ケアを含めた全てのお世話をこなします。

この日は回診以外は看護師さんもドクターも病室に訪れず、出来るだけ家に近い環境で子供と2人で過ごしました。医療機器も実際に自宅で使うものを持ち込みました。

テストなので少し緊張しましたが、医療的ケアやミルク以外の時間は娘と2人きりでイチャイチャできて、楽しい思い出になりました。

パパも同じテストを受けましたが、「一人でお風呂入れれない!」と主張し、特例でお風呂のみ私の補佐でクリアしました^^;

裕香

私が最初に練習した医療的ケアは吸引でした。

上手にお鼻にチューブが入らず、鼻血を出しながら全力で拒否する娘に何度も心が折れかけました。
看護師さんに「吸引なんて皆やってる事だから、すぐ上手くなるよ」っと言われて「皆って誰ですか?少なくとも私の友達は誰もやってません」と突っかかるくらい、今考えると余裕がなかったです。

それでも1-2週間もすれば手馴れてきて、呼吸が楽そうになる娘を見て、「これは私たち親子にとって必要な事なんだ」と気持ちも前向きに受け止められるようになりました。

福祉用品を作る

退院してお家で生活する際、必要な福祉用品があれば入院中から製作します。

病院の小児リハビリの先生が、担当についてくれて最後まで一緒にサポートしてくれました。

我が家は障害児用バギー(ベビーカーのような乗り物)を作りました。

パンフレットから候補をいくつか選び、各メーカーに連絡して病院に実物を持ってきてもらい、試乗しながら「これだ!」と思うものを選んでいきました。

試乗できるかはとても大切で、実際に乗せてみると体にフィットしてなかったり、荷物が乗らないなんて事もあるので、できるだけ実物を見ながら決めるといいと思います。

他のお子さんでは補装具や特注のメガネなどを作っていました。

福祉用品は、申請から手元に届くまで半年以上かかる事もあるので、早めに動き始める事をお勧めします。

裕香
海外製品だと試乗できない場合もあるので、私はドクターやリハビリの先生に、検討しているバギーに乗っている患者さんがいたら、紹介してくれるようお願いしていました。

皆さん快くバギーを見せてくれて、実際に使ってみたうえでのアドバイスもたくさん聞けてとても参考になりました!

医療機器の手配をする

入院中は病院用の医療機器を使っているので、自宅で使う医療機器を手配します。

我が家も退院までにたくさんの機器を準備しました。

退院時に準備した医療機器
  • 吸引器
  • 吸入器
  • 在宅酸素
  • サチュレーションモニター
  • 経管栄養用のポンプ
  • カフアシスト
  • BIPAP
自宅での医療機器の様子

【これから自宅で在宅酸素療法をする方へ】退院時に必要な手続きやアフターケア

医療機器は自費購入~レンタルできるものまで様々です。持っている手帳の種類や、病状によっても違ってくるので、主治医や行政によく確認してください。

どの医療機器も、メーカーの担当の方がパンフレットや実物を持ってきてくれるので、いくつか試しながら子供にあったものを選んでいきました。

我が家の場合、大体2週間~3週間くらいで全ての在宅機器を揃えたと思います。

この時期、たくさんの医療機器担当の方とお話しながら「いよいよ退院するんだなぁ」と実感が湧いてきた事を覚えています。

一方で、こちらの希望が中々通らなかったり、人の出入り激しくなって疲れが出やすい時でもあります。

日時を約束していても、ママが疲れてるなと感じたら別日に移動してもらうなど、無理せず過ごしてほしいです。

裕香

私が特にこだわって選んだのは、吸引器です。

当時病院では「パワースマイル」という種類が主流で、病院から「吸引器といえばこれです」といった感じで当たり前に紹介されていました。

しかし、充電がバッテリーのみでサイズも大きく、持ち運ぶには不便でした。

先に退院したママ達に聞いていくと「おもいやり」というメーカーがコンセントで充電できてコンパクトで軽いという情報をもらい、主治医に「これを購入したい」と提案し購入しました。

今はもっと軽量で安いものが出ているので、余裕があれば色んな人にお勧めを聞いてみるといいと思います。

在宅サービスを決定する

退院した後、お家での生活を支えてくれる支援体制を整えます。

私の病院は「地域連携室」という部署があり、そこの担当の方が色んなサービスを紹介してくれたり、事業所を探してくれたりしました。

子供の体調管理やママの負担が大きくて倒れてしまわないように、サポートしてくれる体制を整えることはとても大切です。

我が家が退院時に検討したサービスはこちら

退院時に検討したサービス

医療的ケア児の在宅生活、訪問看護に助けてもらおう!

訪問看護、お家でのケアスケジュール公開!

基本的に、退院してすぐは子供の体調も不安定ですし、お出かけも難しいので、ママは24時間自宅にいて子供のケアをすることになります。

また、パパやおばあちゃんに任せるのは不安で、つい全部自分でやってしまう…..といった声もよく聞きます。

訪問看護師さんに診てもらう間少しでも外出できたり、ヘルパーさんと一緒にお子さんのお世話をしたり、少しでもママの負担が減るように必要なサービス・お願いする頻度を検討してみてくだい。

 

裕香
私が特に注意して選んだのは訪問看護師さんでした。

我が家はケアの多さから、週5日の訪問を病院側から提案されていました。毎日お家に来てくれて、一番身近な相談相手になると思ったので、いくつか条件を決めて事業所選びを進めました。

訪問看護事業所を選んだポイント

  • 事業スタートして半年以上経過している
  • 小児の経験が豊富(出来れば利用者の3割以上が小児)
  • 訪問看護中は、ママが外出可能
  • レスパイト(お預かり)に積極的に取り組んでいる

子供のケアを行いに来るのではなく、家族全員が自分らしく生活する事をサポートしてくださいと伝え続けたところ、希望に沿ったとてもいい事業所さんに出会う事ができました^^

もし頼んだ結果、事業所と合わなくても、変更する事も可能なので、そんなに気負わず、取りあえず頼んでみようという気持ちで大丈夫だと思います。

関係者で会議をする

自宅での生活を支えてくれる人が決まったら、退院前に病院で全員の顔合わせを行う退院カンファレンスが行われます。

退院カンファレンスでは、地域連携室の方が各所に連絡し日程調節などをしてくれました。

当日は病院の主治医・病棟の担当看護師・在宅診療の主治医・訪問リハビリや訪問看護の事業所の代表・保健師・区役所の担当者が集まりました。

内容は娘の病状や体調管理について主治医から話があり、退院後のサポートについて擦り合わせを行ったようです。

私の病院では、両親は会議に参加しないことになっていました。会議終了後、病室に娘の顔を見に来てくれました。

家の配置を決める

いよいよ退院が近づいて来たら、子供を家に迎える準備をしなくてはいけません。

子供は日中どこ部屋で過ごすのか?お風呂はどうやって入れるのか?医療機器の電源はどこから確保するのか?など、お家での生活をシミレーションしながら必要な物を買い足したり、自宅の配置を変更します。

退院後の生活はイメージしにくいし、病院の先生や看護師さんも具体的なアドバイスが難しい場合が多いです。

訪問看護事業所などの在宅サービスが決定していたら、他のお家はどうしてるかなど聞いてみると良いと思います。

私の病院では人工呼吸器のお子さんは、退院前にドクターが自宅を訪問し、安全に医療行為ができる環境かチェックしていました。

でも大抵の事は退院後でも準備可能ですから、あまり完璧を目指さずに、「一緒に生活しながら整えていこう」という気持ちで十分だと思います。

裕香
我が家で一番気をつけたのは、子供のベッドの位置です。

重大なてんかんや呼吸障害があったので、常に様子が見れるよう、台所からでも見える位置に配置しました。

結果、リビングのど真ん中が娘の定位置になって、人が来た時も自然と娘を囲む形になり、よかったな~と感じています。

荷物を持ち帰る・家を整理する

いよいよ退院が迫ってきました。入院中の荷物を少しずつ自宅に持って帰りましょう。

退院日は、医療機器や処方されたお薬だけでも手一杯です。

また、退院後は自宅にたくさんの人が来ます。同時にお家も整理していきましょう。

と言っても実際は中々難しく、我が家も退院してしばらくは荷物があふれています….

サポートに来てくれている人達は、そんな状況になる事もよく理解してるので、空いてる時間に少しづつ進めていけばいいと思います。

裕香

私は退院すると、まず待ち構えているのが洗濯地獄です。

入院時の衣服が溜まってる事はもちろん、入院時から季節が移り変わり、衣替えをしないといけない事も多いからです。

一日3回洗濯機を回して、さらに布団を持ってコインランドリーに行って…とかなり辛いことになってしまうので、パパやおじいちゃん・おばあちゃんと協力して、タンスの整理をしておく事をお勧めします。

家族で生活する喜び

退院は家族にとって、待ちに待った一大イベントです!

たくさん羅列したので、すごく大変に感じてしまうかもしれませんが、家族で暮らせる日々に向けて一つ一つ準備していく過程は楽しい時間でもあります。

退院後も生活の変化はずっと続きますから、完璧を求めすぎずに、とりあえずできる範囲で準備を進めてみてください。

退院までの手続きは病院や地域によってバラバラですが、様子が少しでも伝わり参考になれば嬉しいです。

 

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