医療的ケア児の就学相談から入学まで

 

日常的に痰の吸引経管栄養などの医療的ケアを必要とする子どもの数は年々増加傾向にあります。医療的ケア児とその家族にとって悩みがつきないのが〝進学する学校の選択〟です。

 

〝うちの子は支援級か支援学校どちらを選択すれば安心した学校生活がおくれるのか…〟

 

〝就学に向けて何からやっていけばいいのか…〟

悩まれる方がたくさんいらっしゃると思います。

そこで今回は、特別支援教育が受けられる場所や就学相談の流れなどを詳しくご紹介します!就学相談は医療的ケア児だけではなく、全てのお子さんの就学でも必ず受けるので、ぜひ参考にしてくださいね!

 

特別支援教育とは ~受けられる場所や対象となる障がい~

 

特別支援教育とは、障がいのある幼児、児童、生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組みを支援するという視点に立ち、一人ひとりの教育的ニーズを把握して持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服するため、適切な指導や必要な支援を行うものです。教育環境や支援内容、方法について児童生徒に合っているか、個別支援計画等を確認しながら日々対応していきます。

合理的配慮は一人ひとりの障がいの程度や 必要な支援、活動内容等に応じて決定される ものであり、本人・保護者等の意見を十分に 聴取して可能な限り合意形成を図った上で 決定し提供されるもの。

(障害者差別解消法 平成28年4月施行)

 

特別支援教育が受けられる場所

 

【特別支援学校 対応障がい種別】
視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい(発達障がいを含む)、肢体不自由、病弱・身体虚弱

【特別支援学級 対応障がい種別】

知的障がい(発達障がいを含む)、肢体不自由、病弱・身体虚弱、難聴、言語障がい、自閉症・情緒障がい

【通級指導教室 対応障がい種別】

言語障がい、自閉症・情緒障がい、弱視、難聴、学習障がい、注意欠陥多動性障がい、肢体不自由、病弱者および身体虚弱者

 

通常学級や支援学級における特別支援教育

 

通常の学級は、1学級 約35〜40人に対して 担任1人。担任が全体にむけた指示(一斉指示) を出して、自分で判断&行動する 場面が多いです。しかし、発達障がいや医療的ケアを必要とする子どもには支援が必要となってきます。通常の学級、特別支援学級に在籍し、 身体面や安全面で個別的な介助が必要な場合は介助員さんを配置したり、医療的なケアが必要な児童、生徒に対して主治医の指示書にもとづく個別対応プランをもとに、学校・保護者・教育委員会の合意のうえ、学校看護師を配置して支援をおこないます。

 

通常の学級における特別支援教育

 

子どもの特性合わせて巡回指導員や巡回心理士などから専門的な助言を受け、担任の指導方法の工夫や校内対応の工夫、経過観察により対応したり、校内外の人的資源等(スクールカウンセラー・教育センター・児童発達支援センター等)を活用することにより、児童・生徒が抱えている困難さを学習支援員・介助員などの専門家から支援を受けることができます。

その他にも、特別支援教育・通級指導学級での特別な指導を受けることもできます。

支援を受けることで身についた習慣やスキルを日常に活かしていける状態へ繋げることを目標としています。

 

就学相談とは

 

就学相談とは、児童、生徒の特徴に合った就学(進学)先について相談や検討をし、『学校に入るまで』だけではなく『学校に入ってから』の子どもの育ちを視野に〝どのように育っていって欲しいか〟〝学校生活で身につけていって欲しいことは何か〟を教育委員会や学校、保護者が一緒に考えていく場です。就学相談だけではなく、経過・転学相談の 重要性が高まってきています。

 

就学相談の流れ

 

就学相談の予約は保護者がおこないます。(就学支援委員会が9月から2月ごろまで、年6~7回開催しています。)

初回の相談では、就学相談票の記入やお子さんの様子について聞き取りをおこないます。その後、学校・学級の見学や体験をおこなったり、心理検査や行動観察、医師の診察記録・在籍園等の資料から総合的に判断し、適正な就学の場が保護者に伝えられます。

 

個々の児童生徒についての障がいの状態、 本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、 教育学、医学、心理学等の専門的見地 からの意見、学校や地域の状況等を 踏まえた総合的な観点から就学先を決定する。

(平成25年、学校教育法施行令の改正より)

相談結果とことなる就学先を選択する場合も見られますが、判定された就学先が保護者の希望が異なる場合は、就学支援委員会や学校と話し合いをし、最終的な就学先が決定され就学通知書が発行されます。

アンリーシュフレンズの就学相談事例

 

アンリーシュフレンズのあいちゃんふうちゃんのに就学相談の様子や、普段の学校生活について教えていただきました。

 

あいちゃんの事例

小学校:  地域の小学校の病弱児学級【新設】

いつ就学相談を申し込んだか: 病弱児学級の新設のため年中の夏に教育委員会へ連絡しました。

看護師配置:医療的ケアが必要なお昼の時間のみ。1.5時間を訪問看護さんが毎日きてくれます。

就学相談までに用意しておいて良かったもの: あいちゃんのサポートブック【生育歴や病名など】

就学後悩んでいること: 常時看護師配置がないため、緊急時は母親に連絡が来るので日中は緊急時に備えて行動しなくてはならない。

クラス構成【教職員の配置】:  病弱児学級 生徒2名(医療的ケア児1名)・看護師(訪問看護師4名がローテーション)

 

ふうちゃんの事例

小学校:  特別支援学校

いつ就学相談を申し込んだか:  支援学校への就学が決っていたので1年前に教育委員会に連絡しました。

就学相談までに用意しておいて良かったもの:  就学前に小学校に提出するための緊急時マニュアルを作成。

就学後悩んでいること:  通学バスに乗れないので、姉の用事で朝早く出ないと行けないときに、介護タクシーやヘルパーさんの手配や段取りや大変。

クラス構成【教職員の配置】:  1~5年生までのクラス6名(医療的ケア児2名)・担任3名・看護師1名

 

医療的ケア児の就学の壁

 

医療的ケア児の就学はたくさんの高い壁や選択しなければいけないことがたくさんあります。いつ・なにから始めればいいのか…、本当にこの選択で合っているのか…。1人で悩むお母さんも多いです。まずは、お子さんの就学が気になり始めたら住んでいる地域の教育に関する窓口に相談してみてください!きっと、お子さんの就学に親身になって一緒に動いてくださると思います。

アンリーシュの中にも、医療的ケア児を育てるお母さんや医療的ケア児を支えている専門の方々もいます。困ったときはみんなで考えましょう!

お子さんがノビノビと楽しく学校生活が送れるように願っています。

 

 

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