脳や体に障害をもって生まれたお子さんにとって、欠かすことのできりはないリハビリテーション。今回は、理学療法士の資格をもつ私から、自宅でできるリハビリテーションを紹介したいと思います!
目次
はじめに
みなさんのお子さんは、週に何回ほどリハビリに通っていますか?
わたしの周りでは、リハビリは月に1~2回、多くても週に1~2回というお子さんがほとんどです。例えば、一回40~60分の歩行練習を週に1回したところで、なかなか効果は期待できないですよね。
そこで毎日の家庭での過ごし方や、ホームプログラムが大切になってきます!適切なホームプログラムをすることで身体機能が向上することは科学的にも証明されているんです。ここでは、簡単におうちで取り入れられるホームプログラムを紹介しますね♪
お子さんに合ったホームプログラムはお子さんの数だけバリエーションがあります。普段かかわっているPTやOTと相談の上、ここで紹介しているものは参考程度に挑戦してみてくださいね♪
【基本編】自分でやれることを見守る
ホームプログラム、やりたいのはやまやまだけど、掃除、洗濯、晩ご飯の用意、兄弟の習い事などなど、すでにやることいっぱい!そんな時間とれません!!という方、多いのではないでしょうか?
そんな忙しい毎日に、効果的に取り入れることができるホームプログラムは・・
「お子さんができることは時間がかかってもお子さん自身でやる」です!
親御さんにしていただきたいのは、
①時間がかかっても見守る
②自分でできることを自分でできる環境を整える
の2点です!
着替え、トイレへの移動、椅子への乗り降り、食事の際など、本当はお子さん自身ができることも、日々のスケジュールや時間に追われて親御さんがやってしまうなんてこと、ありませんか?もちろん毎回でなくていいので、休日や夕方の時間が取れるときだけでも、お子さんができることはお子さん自身に任せてみてくださいね!
また、少し生活環境を工夫するだけで、お子さんが自立できる場面が増えます。紐の靴は難しくてもマジックテープの靴なら脱げそう!手すりがあれば一人で立てそう!などなど、工夫できそうな場面はありませんか?
そういった視点で、一度日常生活を振り返ってみてくださいね♪日々の小さな積み重ねが大きなトレーニング効果につながるかもしれません!
【応用編】親子でホームプログラムに挑戦
ここからは、親子で取り組めるホームプログラムを紹介します!
一日の中で時間がとれそうなご家庭は、参考にしてみてください♪(※あくまでも参考程度に、いつもみてもらっている担当セラピストに相談の上、安全に取り組んでくださいね!)
からだを知ろう!
わたしたちは生まれつき自分のからだを認識しているわけではなく、赤ちゃんのころに手をじっと見つめたり、足をなめたりしながら少しずつ自分のからだを知っていくようです。
しかし、筋肉に麻痺があったり、過敏さや鈍感さがあったり、視覚障害があるお子さんは、そういった経験が少なく、自分のからだをきちんと認識できていないことがあるようです。
自分のからだを認識できていないと、上手に動かすこともできないですよね。動作練習をする準備として、まずお子さんに自分のからだを知ってもらうことから始めてみましょう♪
①お子さんがリラックスし、感覚に集中できる姿勢をとる
②お子さんの手を一緒に持って、全身をゆっくりやさしく触る
この時に「〇○ちゃんの足だよ~、おなかだよ~」と伝えてみましょう。歌と合わせて行うと楽しいかもしれません♪お風呂タイムにするのもいいかもしれないですね。
・ゆらゆらトントン:https://www.youtube.com/watch?v=gmjanHpXkh0
動作練習に挑戦!
自分のからだが分かってきたら、動作練習に挑戦してみましょう!
動作練習の心得
座位練習、歩行練習、リーチ動作練習などなど、すべての動作練習に共通して言えるのが、「お子さんがその動作をしたくなる課題設定をする」ということです!
当然ですが、親御さんやセラピストが全介助で座らせたり立たせたりしても、お子さん自身が筋肉に力を入れたり、バランスをとったりしないと、トレーニング効果は期待できません。子ども自身が自ら座りたくなる、歩きたくなる環境を工夫してみてくださいね♪
それを大前提としたうえで、より効果的に動作練習ができるポイントや事例をご紹介します!
姿勢保持練習のポイント
あぐら座位、椅子での座位、立位など、練習したい姿勢をとる際は、「ぎりぎりその姿勢を保持できるくらいの介助量」で、お子さんの体を支えてみましょう!
支える場所の目安として、肩→お腹→腰の順に、難易度が上がります。肩を支えていて、「余裕そうだな」と感じたら、お腹の高さで支えてみる、など介助量を調整してみてください!
【もうワンステップ!】
余裕がある方は、遊び方を工夫することで動的な姿勢保持に挑戦してみましょう!手を伸ばしてバランスが崩れるか崩れないかギリギリの位置におもちゃを設定してみたり、キャッチボールをしてみたり、重心移動が加わるような遊びを通して、バランス能力が鍛えられます♪
周囲にクッションを置くなどして、安全には気をつけてくださいね!
歩行練習の事例紹介
歩くといっても、がっつり介助歩行をするお子さんから、手つなぎで歩くことができるお子さんまで様々ですよね。ここでは私の知っているご家庭で実際に取り組んでいた歩行練習の事例をご紹介します♪
- ソファーにつかまって横歩き
太ももの内側の筋肉の緊張が強いお子さんの事例です。足を外側に開く練習として、ソファにつかまって横歩きの練習をされていました。
- 壁でつたい歩き
自宅内のお子さんのよく通るルートには物や棚を置かず、つたい歩きで移動できるように工夫されていました。
さいごに
いかがだったでしょうか?少しでも参考になるものがあったらうれしいです!ここでご紹介したのはあくまで一例ですので、うちではこんなことしてるよ!こんな道具を使ってるよ!といったコメント、お待ちしています♪
参考文献
■Iona Novak, A systematic review of interventions for children with cerebral palsy: state of the evidence, developmental medicine & child neurology, 2013
■Cerebral Palsy Alliance, “To prevent, treat and cure cerebral palsy”(https://research.cerebralpalsy.org.au/about-cerebral-palsy/interventions-and-therapies/goal-directed-training-gdt-for-children-with-cerebral-palsy/#1465866723403-b3e8a934-e1ee)
■浅野大喜,リハビリテーションのための発達科学入門,協同医書出版社
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