我が家の息子は、世にも珍しい生まれつきの心筋梗塞です。
前回のコラムでは、息子の疾患について情報を集めた話を書きました。
集まった情報からおすすめの医療機関を選び、セカンドオピニオンをすることに決めました。
今回は、実際にセカンドオピニオンを受けてきた時の体験談をお伝えします。
- セカンドオピニオンてどうやるの?
- 医療者でもない一般人がやって意味あるの?
- お金と時間ばかりかかって大変そうじゃない?
など、セカンドオピニオンに興味はあるけど、迷っている方の参考になれば幸いです。
目次
セカンドオピニオンの進め方
セカンドオピニオンの進め方は病院によって違います。
行きたい病院のウェブサイトに【セカンドオピニオン外来】というページがあるはずなので調べてみましょう。
もしそのページがなければ、病院に電話などで問い合わせてみましょう。
セカンドオピニオンの料金
気になる金額についてですが、セカンドオピニオンは健康保険が適用外です。全額自費扱いであり、高額です。
病院により違いますが、平均60分 3万円前後 です。
病院によっては、CTまたはMRIを含む画像診断を行った場合、追加料金がかかるところもあります。
今回、息子が受ける手術の死亡率は30%以上と言われています。
我が家は、命に関わる手術についての話だったので、夫婦で話し合って、そこは多少高くても出そうと決めていました。
お金も、セカンドオピニオン先や、件数を決めるのに重要な指標になります。必ず確認しておきましょう。
また、時間についてですが、私が調べた病院では、全て相談時間は原則60分以内となっていました。
セカンドオピニオンの具体的な手順
次に、セカンドオピニオンの具体的な手順について説明します。
セカンドオピニオン先の病院を決める
我が家の場合は、SNSで得られた情報をもとに病院を決めました。
- 心疾患の治療方針についてのセカンドオピニオン→A病院、B病院
- 心臓移植の可能性についてのセカンドオピニオン→C病院
病院によって専門、得意にしてる分野があると思い、評判から主に聞きたい内容を考えました。
現在の主治医に、セカンドオピニオン用の資料を用意してもらう
主治医には、
- 診療情報提供書(紹介状のようなもの)
- 医療情報(CTや血液検査の結果など)
の資料を用意してもらう必要があります。
セカンドオピニオンをすると決めたら、なるべく早めに希望する旨を伝えましょう。
医師は24時間365日忙しいので、口頭ではなく紙で渡すのがおすすめです。
我が家はこのような感じで、ワードで書いて渡しました。
どの医者もとにかく忙しいです。資料の用意にはある程度、時間がかかると覚悟しておきましょう。
(ちなみに私は時間が惜しかったので、看護師さんなども通してかなり無理に何度もお願いして、4日後には資料を用意してもらいました。)
セカンドオピニオン外来に電話する
電話をすると、今後の詳しい流れが説明されます。
ホームページにもざっくりと書いてありますが、より詳しく説明してもらえます。
驚いたのは、病院ごとに対応がかなり違ったことです。
A病院
「こちらから申し込み用紙を送ります。申し込み用紙に記入し、資料と一緒に郵送してください。こちらの小児心臓外科でカンファレンスを行い、セカンドオピニオンを受け入れられるかどうか決めたら、ご連絡します。」
B病院
「今この場(この電話)で、お子さんがどんな状況なのか、どんな相談をしたいか、お母さんが話してください。その内容を医師に伝えて、またご連絡します。受け入れる場合は、当日必要な資料をお持ちください。」
C病院
「お子さんが入院してる病院から、お子さんの資料を取り寄せます。診療情報提供書の控えがあるはずです。お子さんの入院中の病院を教えてください。その資料を元に担当医を決めてこちらからまた連絡します。資料は当日持参してください。」
このように、全然対応が違いました。
どの病院がどんな対応になるか、ごちゃごちゃにならないように、必ずメモを取りながら電話しましょう!
またトラブルを防ぐため、窓口担当者の名前などは必ず聞きましょう。
日程を決める
後日、全ての病院から直接電話があり、日程が決まりました。
希望を伝えてから大体1週間以内に返事の電話があり、その後の2週間以内くらいの日程で設定されました。
基本的に日や時間を選ぶのは病院であって、私たちはそれに合わせた方がいいでしょう。
その日がどうしても無理な場合は、別の日程を提案してくれると思います。
ですが病院側は予定が詰まってる可能性も高いため、1週間や2週間程度は先になってしまうかもしれません。
場所によっては移動時間も長くかかります。私は1番遠い病院で片道1時間半でした。
また、セカンドオピニオンの開始時間は約束通りにはいきません。
外来や診療の合間に行うことが多く、私が行った3箇所は、全て開始時間が30分〜1時間半ほど遅くなりました。
前後の予定も調整しておきましょう。
私は、あらかじめその日の娘の保育園のお迎えは、夫にお願いしておきました。
今回は、セカンドオピニオンをしようと決めてから、ちょうど3週間で、三箇所の病院のセカンドオピニオンを調整し、実施できました。
かかった時間はあくまで目安で、その時の医師や病院の状況によるところも大きいと思います。
質問を用意する
当日までに、聞きたい内容を整理しておきましょう。
治療の内容、使ってる薬、リハビリの内容、今後の治療や手術の予定など、自分たちが聞きたいこと、疑問に思うことを、相手の医師に伝える必要があります。
時間は限られているので、時間内に聞きたいことを全て聞けるように、要点を整理してから行きましょう。
参考までに、わが家の場合は、主に予定している手術の内容に対して、次のような質問を用意していきました。
【息子の状態】
- 左冠動脈閉鎖による心筋梗塞
- 左心室機能不全
- 僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全
- 両側房室弁逆流からの高度心不全
- 心房中隔欠損(BAS)
- 動脈管開存
- 両側肺動脈絞扼術
- 難治性胸水
【手術の内容予定】
- DKSの縫合、動脈管離断
- 心房中隔拡大
- 僧帽弁半閉鎖
- 三尖弁形成
- 体肺動脈短絡(B Tシャント)
- 肺動脈絞扼は解除 狭ければパッチ形成
- 手術時間は10時間以上
【質問1】
御院であれば、このような状態にどう診断を下すのか?
治療方針はどう提案するか?
【質問2】
息子は現在5ヶ月、体重3.7kg。今の月齢と体重で上記の手術をするのは妥当だろうか?
10時間以上心臓を止めて行う手術に耐えられるのか?
【質問3】
手術を決意するためと、セカンドオピニオンするため、もう少し時間がほしい。
動脈管を開存させるためにプロスタグランディンをずっと投与し続けている。
プロスタグランディンを切ってステントを入れるという方法はあり得るか?
【質問4】
手術後の予後は不良と言われている。
フォンタンまでいける可能性はかなり低いと言われたが本当か?
また低いならこの手術を受ける意義はあるのか?
【質問5】
手術が非常に困難だと考えられる。
心臓移植の適応については、本当にないのか、ありえないのか?
セカンドオピニオンにはどのくらいの知識が必要?一般人でも大丈夫?
質問を用意した私は、セカンドオピニオンに向けて猛勉強を始めました…と、言いたいところですが、嘘です。実際はほぼしてません。笑
医者はセカンドオピニオン慣れしています。
私たちが医療の専門家ではないことはわかってるので、細かい質問や、難しい質問は全くしてきません。
渡したデータ情報をちゃんと見れば、私たちに質問するより多くの情報を医者は得られます。
なので、一般人の私達がセカンドオピニオンすることは可能ですし、ハードルは高くありませんでした!
プロの医者と素人の一般人レベルの話でいいなら、最低限の知識を押さえていれば大丈夫です。
付け焼き刃で医者と対等のレベルの話をするのは不可能だと思います。
細かい術式にまで意見したかったら頑張って勉強してください!笑
セカンドオピニオンの役割とは
どの病院のホームページにも記載してありますが、
セカンドオピニオンは、治療に関する相談をして参考にするというのが目的です。
医療訴訟の問題、医療費の内容、医療給付に関する事、主治医に対する不満、転医希望等に関する相談はどこも受け付けていません。
それらはセカンドオピニオンの目的ではないので、必ず理解して行うようにしましょう。