胃ろうっ子マティアスくん スウェーデンでの生活

 

マティアスくん(4歳)は胃ろうが必要な元気いっぱいの男の子。
弟くんと一緒に、工具のおもちゃで遊ぶのが大好きです。

そんなマティアスくんは現在、パパの母国であるスウェーデンで家族と暮らしています。

今回は、ママさんとマティアスくんのスウェーデンでの生活の様子や、日本とのちょっとした違いなどをインタビューさせていただきました。

 

マティアスくんは、23週4日631gで日本にて誕生しました。

生まれてすぐに脳出血を起こし、その後脳出血が原因で水頭症になりました。
頭にはPVシャントという機械が入っています。

生まれたときから経口摂取が苦手で、2年間経鼻栄養で過ごしていました。
生まれてしばらくして、家族でスウェーデンへ移住し、2年前にスウェーデンにて胃ろうの手術を受けました。

マティアスくんは動ける医療的ケア児、元気いっぱいです!
現在は平日週3日保育園へ通っています。

胃ろう注入・経口摂取

マティアスくんには、「てんかん」があります。

なので、朝は本人が起きるまではよく寝かせてあげているそうです。

胃ろう注入

朝は、7時には注入を始めます。平日保育園では11:30、14:30の2回注入をしてもらっています。

1日の注入

注入回数はAM 7:00~PM10:00までに5回(手押し注入)

1回量は、180ml 20分〜30分かけて注入。

栄養剤:ヌートリーナ(ハイカロリー)

栄養剤 ヌートリーナ

直接シリンジをさして引き注入します。
このまま注入棒にぶらさげて滴下注入も可能です。

ママさん
発達がゆっくりだからということもあるかも知れませんが、
ずっと座っていることが難しく、ボトルでの滴下注入ができないため、いつも走り回る長男を追いかけながら注入しています!笑

胃ろうの交換

3ヶ月に1回自宅にてママさんが行っています。
スウェーデンでは自宅での交換が一般的だそうです。

ママさん
身体に力が入ると交換しにくいので、好きなビデオを見させてリラックスさせながら、今がチャンス!!というタイミングを見計らって交換しています。

経口摂取

マティアスくんは毎日、苦手な「食べること」にも挑戦しています!

ママさん
食事を用意しますが、いじって口につけて『ごちそうさま!』ということも多いです。
味にも好みがあり、濃い味が好きなんです!
飲み込みのタイミングなどで嘔吐につながってしまうので見守りながら、
少しずつ進めています。

 

 

ママさん
決して強制的にはしません、食べることが嫌いになってしまったら私も苦しいんです。

本人が、「食べたいな。」「今日のメニューは何かな?」
などの興味があってきたときに隣に座って、好きなものを使って、本人の食べたいように自由にさせているんです♡

VPシャント

マティアスくんの頭には、VPシャントという機械が入っています。

頭の水を流す役割をしてくれていて、大事な体の一部です。

定期的に脳外科に通院して、脳にチューブが入っているのが、今どのくらいの長さがあるのか、CT検査を受けています。

将来的に、頭の機械の部分のみ入れかえが必要になってきたらスウェーデンで入れかえの手術になるそうです。

小さいころは頭の部分が、身体も小さく目立っていましたが成長につれて、皮膚が厚くなり目立ちにくくなってきました。

幼いころのマティアスくん

ママさん
目立っていたときは、親心でまわりの目が気になり隠したい、と思っていましたが、
いざ隠れるようになると目立たないからこそシャントの存在がまわりに知ってもらえてないのが不安になってきて・・

友達どうしで激しく遊んで転んで機械が壊れたらどうしよう・・など今はまわりに知ってほしい!という気持ちの方が強いんです。

保育園での様子

マティアスくんは週3回保育園へ通園しています。

マティアスくんの通う保育園は、看護師さんはいません。

胃ろうなどのケアは保育園の先生が行ってくれています。

ケアに関しては、病院からリハビリの先生が園へ出向き医療的ケアの指導をしてくれ、
園の先生方も学んでくださっています。

何か問題があれば、病院と連携をとってくれているため、ママさんに連絡が来るか、てんかん発作などの緊急事態の場合は救急車を呼ぶということになっています。

園での食事

園では、少人数でグループになって食事をとっています。

マティアスくん
ぼくにもちょうだい!!」「ぼくも入れてほしい!!」
ママさん
まわりのみんなが食べるからか、自分から意思表示ができるようになってきているみたいなんです!
食べる意欲があります♡

しかし安全に食べることが難しく、違和感などから嘔吐へつながってしまうため、
食事の時には長男の両サイドに先生がついて、安全に食べれるよう見守ってくれていいるんですよ。

今後の小学校就学について

マティアスくんの住んでいる地域には、特別支援学校というくくりはなく、
小学校の別の棟にハンディのある子どもが通うスペースがあります。

ママさん
そこに通うか・・もしくはヘルパーさんが付き添いで学校へ通い、
ケアはヘルパーさんか学校の先生にお願いするというかたちをとるか、と考えています。

スウェーデンでは、学校に行っている間、ママの代わりにヘルパーさんに常時付き添ってもらうことか可能なんです

もっと入学までにサポートをもっと強化してもらえるようお願いして行こうと思っています!

4歳になったマティアスくん

サービス・支援

Rumi
サービスや支援は充実していますか?
日本との違いはありますか?
ママさん
支援はあると思うのですが、医療的ケアが必要でも『動ける』ということがネックなんです。

どうしても「動けるなら大丈夫でしょう」という見方になってしまいリハビリもあまり入れてもらえてない状態です。

発達はゆっくりではあるけれど、はっきりとした診断も出てはいないため、
車いすが必要な方などから比べるとサポートが弱いんです。

た、まわりに医療的ケア児がまったくいないため、
どういったサポートがあるのかなどの情報もあまりわからない状態なんです。

医療的ケア児はいるのはいると思うんですが、日本に比べると交流が少なく療育などもないため、
なかなか知り合うのも難しいのが現状です。

リハビリに関しては、まだ小さいため意思疎通がむずかしいから・・と言われることが多く、

でも日本のママさんのSNSを見ると小さくても、食べることや嚥下に特化したいろいろなリハビリがあるのに、
どうしてこっちではやってくれないんだろう・・

と不満に思うこともあります。

移住してからのママさんの生活

ママさんはマティアスくんが保育園へ行っている間、語学学校へ通っています。

初めは、全くスウェーデン語が話せない状態で移住しました。

マティアスくんの病院の時などは、パパが通訳をしれくれたり、パパが来れない時は通訳さんを通してコミニケーションをとっていました。

Rumi
移住当時、心細くはなかったですか?
ママさん
とっても心細く、夜になると毎日のように泣いていました。

最初は、友人もなく長男とパパしかいない中でずっと過ごしていてストレスも溜まり、
時差もあるため好きな時間に両親に電話ができないというのも大きかったせいだと思います。

しかし『自分から動かないと何も変わらない!』と思ったのがきっかけで、
SNSを使い同じようにスウェーデンに住んでいる日本人の方とコンタクトをとってメッセージのやり取りをしたり、
ちょうど胃ろうの手術の時に日本人の看護師さんと巡り会えたので、その方にいろいろ教えてもらって日本人のママさんで会える方を紹介していただいたりして、
今はなんとかやっています。

ママさんは現在、起業を0から学びSNSを使って、起業したいというママさんに向けて手順や方法などを発信したり、医療的ケア・VPシャントなどについての相談を受けたりと自らの経験を活かし活動されています。

ママさんのSNS
https://instagram.com/yuuuu.5963?igshid=YmMyMTA2M2Y=

 

Rumi
スウェーデンで生活する中で感じることはありますか?
ママさん
『どんな子育てでも親が我慢する必要はない』という考え方がスウェーデンは大きいな!
と感じます。

男女平等なども、日本よりは強い、と生活していて感じるので働きやすい環境でもあるでしょうし、
どんな子育てでも子どもを預けて働いてもいいんだ!と思えます。

長男は動ける医療的ケア児なので、使えるサービスが今後どうなっていくかはまだ分かりませんが、
ヘルパーさんに預けて働きに行けたりできる環境があるのがとってもありがたいんです!

 

Rumi
最後にママさんのマティアスくんへの想いを聞かせてください♡
ママさん
631gで生まれた子が4歳になって、今過ごせているんだから、大丈夫!
元気に育ってくれたら、それでいいんです♡

それでもやっぱりどこかで期待はしてしまいます。
みんなと同じようにお腹いっぱいお口から食べさせてあげたい、
できれば「おかわり!」って言ってほしい・・

そういう想いはずっと胸の底にはあります。でも今、それを望んでもダメなのかな?
むずかしいのかな?と思う自分もいる。

今は元気に次男と遊んでくれて、元気に保育園で過ごせればそれだけでいいんです♡

 

食べてほしいからこそ強制はしない。
興味が持てるように、食事を楽しいと思ってもらえるように工夫し見守っているママさんのやり方に共感し、
とっても印象に残っています。
明るくポジティブ思考の素敵なママさんでした♡

アンリーシュはこれからもマティアスくん、
ご家族を応援しています!

今回のインタビューでは、日本とスウェーデンの支援やサービスの違いも知ることができました。
と同時に、日本と同じように、
医ケアママが抱える解決すべき課題があることも再認識することができました。

アンリーシュは、これらの課題解決に向けてこれからも精一杯活動してまいります。

『動ける医療的ケア児福祉の壁』の動画はこちら

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