公益財団法人ベネッセこども基金が、重い病気を抱える子どもの学び支援活動を行う団体への助成募集を、8月1日から開始しました。(9月25日まで)
今年で5回目となる助成事業を担当される副事務局長小松ゆかりさんと企画担当リーダーの青木智宏さんに助成事業への思いや申請する時のポイントなどを教えて頂きました。
子どもの学び支援活動を行う非営利団体の皆さん、必読です!
また、お知り合いに活動をされている方がいらしたら、ぜひご紹介をお願いします。
目次
どんな助成?どんな団体が対象?
ただ、単純に場とかコンテンツとかを提供して、いっときの遊びとして終わってしまうのではなくて、子どもたちの意思とか主体的な関わりを引き出せるようなことを期待しています。それが学びに繋がるような部分だと考えているからです。
そして今年、さきほどの文言を付け加えました。
教科の学習を机で実施するだけが活動ではありません。昨年はお仕事体験に助成しました。
例えば文科省の特別支援課が示しているように、ICTとかを活用して遠隔でも多様な学びが実現できるようになっています。ただ、団体が実際にやろうとしても課題があって乗り越えられないとか、環境の問題や人や情報が不足しているという問題もよく耳にするので、この課題を解決するための環境づくりや、支援者間のネットワークづくりに取り組む活動は注目しているというか、応援しています。
申請時に気をつけたいポイントは2つ
そういう苦手意識を持っている団体は多いと思うのですが、審査する側からみて、こういうところに力を入れて書いて欲しいなど、審査のポイントはありますか?
1つめは課題が明確であること。つまり活動地域の子どもの状況や課題を十分に把握されているかどうかは、重要なポイントです。 2つめは実現性を確認します。戦略や計画が有効であっても、実行できないと意味がありません。
なぜなら、その課題に対する事業テーマが適切であるかどうかの見極めに繋がるからです。
そのためには、客観的に見てもわかる数値やデータが添えられていると説得力があります。
できそうかは、スケジュールや予算から確認します。円単位で細かく金額を書いてほしいとは思っていませんが、予算の根拠をみると、実行の段取りが描けているかがわかります。
実現性がわかるようなスケジュールと予算根拠を希望します。
予算の部分では、「時給〇円×〇人×何日」など算出根拠を書いていただくと良いですね。 申請書は1種類です。書式を守らねばならないということはなく、枚数が多くなってもいいので、なぜその事業が必要なのか、何を解決したいのか、どういう方法で解決するのか、なぜその解決方法が適しているのかなどを、きちんとわかるように示してもらえるとありがたいです。 是非気軽に申請してみてください。
例えば、100人規模のイベントやりますとか書いてるけど、予算には広告費用が入ってないことがあると、「こう書いてるけど、どうやって人を集めるのかな?」とか心配になってしまいます(苦笑)かかる費用が丁寧に書いてあると、実行すべきことが見えているなとすごく安心します。
特にスタートアップ時期は大変なので、応援したいなと思っています。ただし、団体名で銀行口座は必要になります!
むしろ、自団体の自立のために、依存度を分散し各方面でファウンディングに取り組まれていることはよい評価につながります。
応募が増え、いい団体があればしっかり助成していきます!
病院や学校の先生が、自分の患者さんや生徒に対して、もっと何かしたいが応募できるかと聞かれることがあります。病院や学校の先生方が、その組織とは別に任意団体を立ち上げて申請してくださるのはまったく問題ないですが、支援対象が「その病院の子どもたちだけ」、「学校の子どもたちだけ」の支援となると、公益性に欠けるので助成できません。その子どもたちも含めた多くの子どもへの支援となっていれば対象となります。
これまでに助成してきた団体紹介
一つは認定特定非営利法人ポケットサポートという岡山にある団体さんです。
4年目の応援をさせて頂いていますが、ICTを使った双方向での学習支援の事業を立ち上げることを支援しました。1年目は機器やネット環境を整えたり、実際どのように子どもに接していくのかの学習を支援しましたが、その後ボランティアを募集したり教育したりすることへの支援、今年度は、療養中の子どもと学校をICTでつなぐための中間支援員の取り組みの支援をしています。
取り組みが毎年発展し確実に成長してきた団体です。私たちの助成があったからではく、団体の努力のたまものですが、岡山市小児慢性特定疾病児童等相互交流支援業務という相談窓口のようなものを受けることができたり、「認定NPO」となることができたりと進化を続けています。
もう一つ紹介したいのが、特定非営利活動法人OnPalという福岡県にある団体で、入院している子どもたちに、コンサートを届ける活動をしています。
プロの音楽家の方の上質な演奏であるだけでなく、子ども達が音楽が好きになって、より興味を持てるためのプログラムを組み込んでいます。一歩ずつ活動を積み上げ、作成したプログラムを公開したり、他の県にも展開するようになったりと活動を広げています。資金調達も努力されています。
助成決定後は共に成長できる交流会や現地見学がある
他にも専門家を講師として迎え、病気の子どもの治療とか、重い病気をテーマに講義をしてもらうことがあります。
あとは、ノートなど、ベネッセこども基金に寄付して頂いた物資をみなさまに提供することもあります。
また現地の見学会では団体さんを訪問した後には、見学会の様子をベネッセこども基金のHPで紹介するなども行います。
助成した団体同士のつながりを大切にする
例えば交流会の前とかに新しい団体さんとかは、我々が視察というか見学に行かせて頂き、活動とか課題を聞かせて頂いて、交流会の時にここと繋がるといいかなってある程度の見立ては持ってグループ分けをするなどコーディネートを行います。
他にも午前中は講義でインプットがあって、午後はグループで皆で一緒に考えて、未来につながるようなアウトプットをする時間も取るので、そこで否応無く参加者同士が話しますし、その後の懇親会もあってそこで話すんですけれど、普段忙しい方達なので、まとまってそこに強制的に時間を作って未来についてちょっと大きなことについて話し合うことで横のつながりが生まれていると思います。
なので、昨年の交流会では団体の支援者を増やすためにはどうしたらよいかというテーマで発表しあいました。今後はICTの活をテーマとして取り上げるなど工夫していきたいです。
ですのでいろんな団体に応募してほしいです。
助成を通じて子どもの学びの環境を改善していく
団体の報告からはたくさんの声が上がってきます。
例えば、病院で絵本の展示をする活動をしている絵本の団体のワークショップを通じて、
- 「重い病気の診断をされ病院にいるのが苦痛だったお子さんが。絵本の並んだ廊下で穏やかになった」
- 「手術後の不安やストレスから沈んでいたお子さんが、前向きになりかたづけなどを進んで手伝ってくれた」
- 「ワークショップと展示により、付き添いの家族同士や親子間の興味を広げることができ、コミュニケーションの場としての役割も果たすことができた」
といった報告を頂きました。
また先ほどご紹介した認定非営利活動法人ポケットサポートでは、他者との交流が途絶えたお子様を、クリーンルームとICTでつないで支援することで、
- 「学習意欲がますだけでなく、将来への希望が見え、闘病意欲も向上した。」
との報告も受けています。助成した団体の利用者さんに喜んでもらえると私たちもとてもやりがいを感じます。
課題に向き合い解決に取り組む団体を応援します!
しかし、命は助かっても、長期的な入院や療養が必要な子どもやその家族を取り巻く環境には、まだまだ課題があります。
そのような、まだ手が届いていない課題に対し向き合い、可視化し、解決に取り組む団体を応援しています。
療養中の子どもが必要なことは、治療だけではありません。療養中も様々な体験をし、療養後も遅れることなく、自分の目指す未来に向かっていってほしいと思います。ぜひ、ご応募お待ちしております!
本日はありがとうございました!
ベネッセこども基金の助成に応募しよう!
ベネッセこども基金では様々な団体からの応募をお待ちしています。
団体の新規事業の立ち上げや既存事業の成長につながることと思います。
子どもの学び支援活動を行う非営利団体の皆様はぜひ申請してみてください!
ぜひお知り合いにご紹介をお願いいたします。
アンリーシュ編集部から読者の皆様へ
アンリーシュ編集部では今回の助成が対象となりそうな団体を探しています。
読者の皆様の地域や生活の中で、重い病気を抱える子どもの学び支援活動をしている非営利団体をご存知でしたら下記からご推薦ください。(締切:9月10日まで)
よろしくお願いします。