娘は退院してから約一年間にわたり、24時間在宅酸素療法のお世話になっています。
「医療的ケア児でも、できるだけ普通の子と同じようにお出かけに連れていってあげたい。病院では絵本の中にあったものを実際に見せてあげたい」という思いから毎日、毎週どこかへ娘を連れていっています。旅行も帰省も、出産前とほとんど変わりなくできていますよ!
しかし、こんな疑問、ありませんか?
- 子どもが在宅酸素療法を使ってるけど、宿泊旅行に行けるんでしょうか?
- 電車や飛行機に酸素ボンベは持ち込めるの?
- ボンベだけじゃ酸素が足りない…家にある酸素濃縮器を持って行くの!?
大丈夫です!今回は、私が実際に在宅酸素療法を使いながら泊まりがけの旅行をするときに、行う手続きや注意することをお伝えしたいと思います!
日常のお出かけ編はこちらもご覧くださいね。
目次
在宅酸素を使いながらの宿泊は、「旅行支援サービス」が便利
酸素濃縮器や酸素ボンベなどを提供している酸素業者には、「旅行支援サービス」というものがあります。
このサービスの手続きをすることで、在宅酸素の業者が、
- 指定した滞在先・宿泊施設(帰省先、ホテル等)に酸素濃縮器を事前に設置
- 指定した滞在先へ、替えの酸素ボンベやカニューレを設置
しておいてくれます。そして後日回収まで行ってくれます。もちろん料金は無料。
とても便利なサービスなのでぜひ利用しましょう!
(今回は私が利用している帝人在宅医療の例で紹介します。他の業者でも旅行のためのサービスがありますが、名称やサービス内容が違うのでご了承ください)
旅行の計画を立てよう!特に移動に注意
まずは主治医に相談
事前に主治医に「宿泊を伴う旅行に行こうと思っているのですがいいですか?」と確認をとっておきましょう。
以前私が主治医に相談したときは、冬場でもあったので、
- 感染症予防のため、自家用車でなら大丈夫
- 混んでなくて、近場なら…(具体的には人が密集する観光地でなければOK。移動距離もも2~3時間なら)
という2点を注意するよう言われました。この時点では口頭確認で大丈夫です。
また、予定している時期に大事な検査などが入らないかも確認しておいてくださいね。
移動を考える!公共交通機関を使う場合は酸素ボンベの本数に注意
電車やバス、飛行機を使って移動する場合、酸素ボンベはどうなるの?と思っている方も多いと思います。
公共交通機関に持ち込める酸素ボンベは、それぞれの交通機関で本数や容量が決まっています。
詳しくは、社団法人 日本呼吸器学会指導 一般社団法人日本産業・医療ガス協会作成 「公共輸送機関内における医療用酸素級について」を確認してください。
こう見ると、特に航空機での移動についてはかなりスケジュールを意識して計画をせねばなりません。事前に医師や業者さんと相談しておくことがとても重要です。
また、酸素ボンベは、すべての場所において火気厳禁です。喫煙車両や喫煙場所は必ず避けるように予約しましょう。
自家用車を利用する場合も、酸素ボンベは高温・炎天下の車内、直射日光、水気・湿気を避け、火気厳禁です。
夏場の車内での保管はとても危険なので気をつけてくださいね!
「旅行支援サービス申込書」を用意しよう
我が家が利用している帝人在宅医療では、「旅行支援サービス申込書」に医師の許可を得たうえで提出すると、宿泊先に酸素濃縮器を置くなどの手配をしてくれます。
サービス申し込みには医師のサインをもらう必要があるので気をつけて下さい。
この申込書は、
- 事前説明の時にもらった説明書などに同封されているものをコピーして使う
- 電話をして取り寄せる(この場合返信用封筒もいただけました)
などの方法で手に入ります。ちなみにこういうもの↓です。赤線で囲まれた部分を記入して送ります。
帝人在宅医療の場合は、旅行の10日前までにこちらを発送する必要があります。
計画ができたら旅行の手続きをしよう!
移動と旅行支援サービス申込書の確認ができたらいよいよ手続きです。ちなみに我が家では、旅行日当日から逆算して考え、次のようなスケジュールで手続きをします。
<1か月以上前に>
- 旅行日程の決定、予約
- 旅行支援サービス申込書を準備
- 医師へ確認と旅行支援サービス申込書への捺印
- 飛行機の場合の各種申請書や所定の診断書の準備(特に診断書は医療機関にもよりますが時間がかかりますので注意!)
<14日前までに>
- 飛行機などの申請完了
<10日前までに>
- 帝人在宅医療への旅行支援サービス申込書の発送完了
宿泊施設を予約する
日程が決まったら、まず宿を予約します。日程と宿が決まっていないとこの後の申請ができないのでです。
宿については、特に形式を選ぶ必要はありません。今まで、
- 旅館
- バンガロー、コテージのような施設
- リゾートホテル
を利用しましたが、特に「絶対これ!」というものはありませんので安心してください。予約もわざわざ電話等ではなくて、じゃらんなどのwebサービスからの予約で大丈夫ですよ。
初めての旅行で心配…という方はミキハウス子育て総研が赤ちゃん歓迎のお宿・ホテルをウエルカムベビーのお宿として認定しているので、参考にしてくださいね。
ベビーベッド、ミルクの調乳用ポット、ベビーソープ、おむつ用ゴミ箱などのベビー用品の貸し出しを行っていたりしますので、ただでさえ荷物が多くなりがちな在宅酸素療法使用者には特に便利かもしれません!
日程とお宿がきまったら、先ほどの「旅行支援サービス申込書」の利用者記入欄に記入します。
主治医に必要事項を記入してもらう
利用者記入欄に記載した申込書を持って外来へ行きます。我が家の場合は診察の際にお願いしてサインをしてもらっています。
申込書の、主治医記入欄と書かれたところに医師の確認と記入が必要です。
在宅酸素業者と最終確認
業者に申請書が到着すると、業者の担当さんから電話がかかってきます。確認されるのは以下の3点です。
- 業者から、滞在先に酸素濃縮器を設置するための電話をすること
- その電話の際に、いつ設置をするかの打ち合わせもするということ(だいたい前日搬入です)
- 替えのボンベの容量と本数について
上の2点については業者がしてくれるので、「わかりました」と聞いておけばそれで大丈夫です。場合によっては「滞在先に使用者からも一声かけておいてほしい」と言われる場合がありますので、その場合は滞在先にこちらから一報を入れておきましょう!
3点目は持っていくボンベの数や使用時間を考え、次の日の予定でどれだけ必要になるかを考えてお返事しましょう。
チェックイン後15時から17時ごろまでお出かけ予定→2時間分消費
お風呂や食事で部屋を離れる→約2時間分消費
1日で最低8時間は使う。お出かけにも使うので12時間持つ大ボンベは重たい…よし、6時間持つ小ボンベ2本を持っていこう。
帰り用にも同様に6時間ボンベ2本を置いてもらったら大丈夫かな?これで宿泊の準備はばっちり!楽しみだなぁ!
(illustration by @manmalistodo)
まとめ
いかがでしたか?
計画や申請は大変ですが、在宅酸素があっても同じように旅行や宿泊を楽しむことができます。我が家は実際にこのサービスを利用して何度か宿泊を伴った旅行を楽しんでいます。日常とはまた違った風景にお子さんもとっても喜ぶのではないでしょうか!