離乳食。
赤ちゃんにとっては、食べることも、食べるものも全てが初めてです。なので最初はペッてしちゃったり、遊んだり、なかなかスムーズに行かないですよね。
娘は生まれつき口内に問題があるので余計に食べてくれず、かなり手こずりました。
いろいろ試行錯誤し、ようやく食べられるようになりましたので、備忘録も兼ねて娘の離乳食を紹介していきたいと思います!
口蓋裂のある子もない子も、ぜひ参考にしてみてください。
ライター名:みかん
舌根沈下や口唇口蓋裂を伴う疾患があり、経鼻経管栄養、経鼻エアウェイなどの医療的ケアが必要だった娘を育てています。娘はもう医療的ケアを卒業しましたが、育児中の経験が誰かの役に立ったら嬉しいです。
目次
はじめに
うちの娘には、重度の口蓋裂があります。
裂の幅も広くて、結構手前まであるので、1歳4か月になる今でも水分を上手に飲めず、経管栄養のチューブからミルクやお茶を摂取しています。
娘は歯が通常の子より生えるのが遅いのもあり、噛みつぶす行為がなかなか・・・今現在も奥歯が生えてきていないので、そのあたりも考慮した離乳食の進め方になっています。
今まで口蓋裂児に関するいろんな方のブログを拝見してきましたが、1歳前には経管栄養チューブが取れている子が多く、普通に離乳食をよく食べていたり、飲んだりしていて、口蓋裂とはいっても裂がそこまででなければ、食べられる&飲むことができるんだな~と羨ましく思ったりしています。
中には「ホッツ床」を利用したりしている子もいますね。
それを知り、「ホッツ床」ならいけるんじゃないか!?と思い、病院で相談したのですが娘の場合はNGでした。
となると、自力で食べられる&飲むことができるまでは、経管栄養チューブは取れないという事になり、医師からも「おそらく今の状態では、口蓋裂手術が終わるまでは、経管栄養がなくなることはないでしょう」という、がっかりなお墨付きをもらいました。
食べる方は、今でこそ量はそこそこ食べられるようになりましたが、苦難の連続でした。
今もいろんな工夫が必要で、同じ1歳4か月の子と比べると、手間がかかります。
毎日、「どうやったら食べてくれるか」「どうやったら上手に飲むことができるのか」夢に出てくるほど考えていて、インターネットで有力情報を検索する日々でしたが、全く納得のいく答えは得られず。
なんとかかんとか先生と相談しながら、自己流でやってきましたので、それを紹介します。
絶対私と同じように、困っている人がいるはずなので、少しでも希望の光になればいいなと思います。
【生後5ヶ月】はじめての離乳食!しかし全く食べてくれない…
娘は、5ヶ月から離乳食を始めていいよと先生に言われていました。
初めはオーソドックスに重湯(おもゆ)からのスタート。水分多めで炊いたお粥の、上澄み液のことですね。
しかし、まず、口を開けない。口回りを触るととにかく嫌がります。
娘の場合、産まれて今まで鼻に経鼻エアウェイを入れたり、経管栄養チューブを入れたりと、顔周りを触られる=痛い事をされると思っているようで、顔付近に手が来るだけで怖がるんですよね…
毎日、嚥下の練習で先生から教わった「口腔マッサージ」を行い、口回りの抵抗をなくすように努めました。
口の中に指を突っ込むので、素手は抵抗があり(きれいに洗っていても私の手の菌が気になって)、こちらの使い捨て手袋を使用していました。
【マイスコニトリルグローブMサイズ】
この手袋、よかったです!粉なしタイプで、薄いので娘もあまり嫌がらなかったです。こちらの手袋は、口腔マッサージに向いていると思います。
病院でも使用されており、その点も安心感がありますね。
初めはこの口腔マッサージを1日1回、2週間ぐらい繰り返しました。
結果、ようやく口を開けてくれるようにはなりましたが、そこから先はまた別もの。口に入ったものを飲み込むことはなく、離乳食を始めてしばらくはぺーってしてました…
結局この重湯での離乳食を1ヶ月続けて、様子を見ることに。
【生後6〜7ヶ月】重湯を卒業!ベビーフードを開始
さすがにひと月重湯を続けたので、次は別のものにしようと、甘みのあるカボチャやサツマイモを始めました。
離乳食の進め方は、通常の月齢の赤ちゃんと同じものを選び、食材については特別変わったことはしませんでした。
私は以下の「わこちゃんカフェ」(和光堂さんのサイトです)を参考にしていました。
https://community.wakodo.co.jp/community/#anchor-03
段々と、スプーン1杯分、2杯分と食べてくれるようにはなったものの、口蓋裂のせいかむせてしまう事が多く、辛そうにしていたので、むせればやめるを繰り返していました。
嚥下指導の先生からも、焦らなくていい、食べられるときに少しずつ与えればいいと指導を受けました。
無理に食べさせようとすると、食べること自体が嫌いになってしまうそうです。
娘にあげていたおすすめベビーフード
長男の時は手作り離乳食でしたが、娘は看護が大変なのと、長男のお世話も大変なので、市販のベビーフードを使っていました。
生後7ヶ月あたりまでは、5ヶ月用のものを与えていました。
コツとしては、食べない子の場合はとにかく月齢に合わせた形状にこだわることはないという事です。個人差があるので、ペッと吐き出しても気にせず、まずは口に入れてくれる形状のものを与えるといいですよ。
あとは、色んな種類の味を食べさせてみることです。こちらも個人差があるので、好きな物・嫌いな物があるのは当たり前のことです。
この時期は、たいして食べないので、栄養バランスより食べることを教えることを優先で、いろんな味にチャレンジしましょう!(もちろん味の濃いものはNGです。薄味でも、赤ちゃんには十分刺激になります)
うちの場合、本当に食べなかったので、毎回もったいないと思い、キューピーの瓶タイプの場合は、必要量ごとに小分けして冷凍していました!(底を押すと簡単に取れるタイプが楽です。うちはリッチェル推しです)
粉末は、好きな量だけ作ればいいのでとても便利でしたよ。
ちなみに、娘が好きだったのは、上でも紹介している和光堂さんの「手作り応援 スープ3種パック」でした!特に「パンプキンスープ」がお気に入りだったので、結構リピート買いしました。
【生後8〜9ヶ月】飲み込むことができるように!
この頃になると、スプーン5杯分ぐらいは食べてくれるようになりました。一般的に言えば全然少ない量でしょうが、娘にとっては大きな進歩でした!
10倍粥をミキサーでどろっどろにしたもの(まとめて作って冷凍)と、市販の離乳食で日替わり定食風にしてました。
いろんな味にチャレンジしてきたので、どの味が好きで、どの味が苦手かもわかってきました。
あ~この時代に産まれてきてよかった。ベビーフード素敵すぎます。
ついに一般のベビーフードにチャレンジ!
飲み込むことを少しずつではありますが理解してきたので、ついに一般のベビーフード7ヶ月用にチャレンジです!
初めは全く食べませんでしたが、味は気に入ったのか舐めてはいました(笑)
9ヶ月になってようやく、7ヶ月用の市販の離乳食を少しだけ食べられるようになりました。
こちらも、「生後6~7ヶ月」の時と同様、いろんな味を食べるだけ与えていました。
焦りは禁物です!!だんだん慣れていくので、毎回違う味を少量でいいので与えてください。
娘の毎日の献立
娘の場合、1回の食事は以下のような感じでした。
- ドロドロのお粥
- 7ヶ月用離乳食(ベビーフード)
- デザート
①と②を混ぜると、とろみがつくのと形状が滑らかになるので、食べやすいようでした。
③のデザートは、上で紹介しているキューピーの瓶タイプのもので、娘は特に「りんご」がお気に入りでした!すごい時は、これを1回で1瓶の半分ぐらい食べてました。
この時、私は悟りました。味と形状だな。と。
この 「りんご」 は、5ヶ月用で、すごくなめらか!
私も食べてみましたが、結構甘みがあります。でもベビーフードだから大丈夫だろうと思い与えていました。
どうやら娘は甘いものが好きなようです。
【生後10ヶ月~1歳】100個買ったジュレ、驚きのピジョンせんべい
ここまできたら、日によって量に差はありますが、7ヶ月用の市販の離乳食1/2袋と、10倍粥30gほど、そしてデザート1瓶を1回で食べられるようになりました。
そして娘が食べることに興味を持ち始めたきっかけが、こちらの商品たち!
もうこのジュレには感謝感謝です。一気飲みでしたからね!
100個以上は買いましたね。
食後にコレ。どんな時もこれは大好きで、飽きませんでした!
クラッシュされたゼリーなので、飲み込みやすかったのと、甘さが良かったのでしょうね。
試していない方は是非、おすすめです。
あとは、娘はイチゴが大好きでした。(今も大好きです)
時季外れだと手に入らなかったり高かったりしますが、スプーンの裏でつぶしてあげると、1~2個はペロリでした。粒々してるけど大丈夫なんか?と思いましたけど、大好物です!意外でした。
他には、豆腐や卵豆腐も好んで食べていました。食感がつるんと飲み込めるのでよかったのかな?
番外編としては、1歳を待たずして病院の先生から「12ヶ月用のゼリーあげてもいいよ。全然問題なし」と言われたので、フライングして11ヶ月ごろにはあげていました。
こちらはさすがは1歳用。粒感があるのですが、美味しいのか好んで食べていました。
娘はイチゴが好きだったので、「いちごとぶどうのフルーツジュレ 70g」は完食でした!「ももとりんご」「3種のくだもの」は粒感がしっかりあったのでNGでした。
びっくりしたのはこちらの「ピジョン ひじきせんべい」
これは、病院の先生がくれて、試しに食べさせたら見事に食べてくれました!それまで、形状が固いもの=100%NGと思っていたので目からうろこでした。
娘は以前、赤ちゃんはみんな大好きな「ハイハイン」を与えたとき全く口にしなかったので、絶対無理だって~と思いながら食べさせたら、まぐまぐと…!
本当にびっくりでした。塩分が良かったのかな?
ハイハインも与えてみましたが、こちらは1歳4ヶ月になる今でも、全く食べません(笑)
ハイハインの方が安いのに…
【1歳~1歳2か月】娘の食べるスキルと万能アイテム「とろみエール」
この頃の娘は、9ヶ月用の市販の離乳食(ベビーフード)にチャレンジしていました!
驚いたのは、まさかの食べっぷりがあがったこと。
理由として、私がいろいろ考えた結果の憶測ですが、味だと思います。
口蓋裂があるので飲み込むこと自体は苦手ですが、味覚は一般的な赤ちゃんと変わらないのではないかと思いました。
ベビーフードにも「月齢に合わせた味付け!」とか書いてますよね?
まさにその通りで、月齢に合わせて味覚も発達し、だんだんと濃い味を好むようになってくるのではないかと思います。
しかし、やはり口蓋裂が気になり、私の中で「娘はなめらかな形状が好き!」という先入観があって、いつまでも9カ月のベビーフードに10倍粥を混ぜて食べさせたりしていました。
今思うとなぜそんなにこだわっていたのか…
イチゴだってつぶさずに食べられるようになり、ひじきせんべいもバリバリ食べていたのに。
おにぎり事件をきっかけに柔軟に考えられるように
そんなある日、事件は起きました。
ラップにくるんでいたおにぎり(塩のみ)を置いていたら、娘がそれを知らない間にもしゃもしゃ食べていたのです!!!
これにはびっくりして慌てました。
だって、普通の米ですよ?やわらか仕上げではないんです。
うそやろ?(;゚Д゚)
そんな気持ちでいっぱいでした。
それからは冷静に考え始め、よく考えたら長男の時は1歳で離乳してたし、普通に大人と同じもの(薄めたり、刻んだりはしてました)を食べてたよな…と。
そう、口蓋裂はあっても、娘はそれまでに離乳食でずっとトレーニングしてきたのです!!母の気が付かないところで、娘の食べるスキルは上がっていたのですね。
母が「娘は食べられない」と決めつけていただけで、自分の固定観念を押し付けた食事を続けていたのです。
そう気が付いてから、娘が欲しがるものは、相当ヤバいもの(揚げ物とか肉の塊とか)は避けて、長男にしてきたようにして与えました。
みそ汁も具を刻んで味を薄めて飲ませ、ご飯はお粥から柔らかめのごはんに変更し、おかずも豆腐・卵豆腐以外に、野菜を刻んでとろみをつけたものや、みんなと同じおかずをお湯を加えて水分量を足したものなどを与えました。
娘の場合、食パンはNGだったのであげませんでした。
よく、牛乳に食パンを浸すと結構食べると聞いていたので、やってみたのですが、牛乳の味がNGで、食パンだけ与えるのもNGでした。
ついに万能アイテム入手!無敵の「とろみエール」
ここで、先生に教えていただいた娘の愛用アイテムを紹介します!!
「とろみエール」
これ、本当に優秀で、一般的に誤嚥しやすい高齢者などが使用することが多いそうですが、娘も十分いけました!
試しにお茶に入れて飲んでみましたが、味はほとんど変わりません。
お気に入りの点は、冷たいものでもサッと溶ける点。素晴らしい。
今も、飲み物(お味噌汁・お茶・ジュースなど)や、食事のとろみ付けなど幅広く使っています。
こんなのあるって知らなかった!!無知でした。
興味のある方は是非、試してみてください。
【1歳3ヶ月~1歳4ヶ月現在】家族と同じものを食べられるように
もはや「とろみエール」を手に入れた私に怖いものはありません。(笑)
とろみがつけられるものは、全てとろみエール様に頼る毎日。
ついに柔らかめのごはんから、通常みんなが食べている固さのごはんを食べられるようになりました!!
パンも甘めのミルクパンは食べられるようになりました!(とろみ付きのお茶で流しながら)
そして、うれしいことに1回の食事で250g程食べられるようになりました!(1日3回)
毎日、みんなと一緒に食卓を囲む娘は、どこか誇らしげで、嬉しそう。
皆と同じものを食べていることがうれしくて仕方がないようです。
食事中も、「それ、ちょーだい!」と言わんばかりに手を伸ばしてきたり、おにいちゃんのイチゴを丸々盗み食いしたりと、元気にもぐもぐ食べてくれるようになりました!
ありがとう、先生。
ありがとう、とろみエール。
あとは1日500ml程度口から水分が取れるようになれば、経管栄養も外せるんだけどな・・・。
飲む方はまだまだ先が長そうです(汗)
こちらは経管栄養が取れるのが先か、手術が先か、と言ったところでしょうか。
今回の教訓としては、「思い込まない」「忍耐強く!」です。
子どもの生き抜く力って、親が思っている以上だと思いました。
これからも、焦らず気長に、一緒に頑張っていこうと思う母なのでした。