【難病を支える】EAファーマ株式会社 hhc推進グループ 吉永 享史様インタビュー

アンリーシュは「医療的ケア児とその家族が過ごしやすい社会を創る」という理念に共感頂いている個人や企業に日々活動を応援して頂き、支えられています。

今日は、アンリーシュの協賛企業であるエーザイ株式会社のグループ会社EAファーマ(株)hhc推進グループの吉永 享史様に企業が取り組む患者さん理解の試みと、吉永さん自身の難病患者さんに関する思いや取り組みについてお話頂きました。

hhc(ヒューマンヘルスケア)の取り組み

EAファーマ様 福島工場での社内研修の様子

「ヒューマンヘルスケア」(hhc)を企業理念に、ビジネス時間の1%を患者様やご家族と過ごすという取り組みを行なっているエーザイ株式会社のネットワーク企業であるEAファーマ樣。

実は、私と吉永さんの出会いは、EAファーマ様への入社を予定する内定者に向けた研修会に私がパネラーとしてお招き頂いたのがきっかけでした。

裕香
内定者向け研修会が行われたのは、2018年9月でした。

そこで、内定者と一緒に、EAファーマさんのhhcの取り組みについてのプレゼンテーションを聞く機会がありました。

患者さんの病に向き合う状態や想いを氷山に例えると、氷山として見えている患者さんの状態や感情は全体の一部にすぎない。患者さんの想いのほとんどは言葉や文章では表現できない「暗黙知」というものだと・・・。製薬企業に集う社員は患者さんやご家族の持つ「暗黙知」に触れ想いに共感することが重要であるというお話が印象的でした。

吉永さん

「Soar」さんに掲載されていた金澤さんの記事を読み、難病の娘さんに寄り添いながらも、明るく前向きに人生に取り組んでいる様子を拝見し「是非この体験を内定者の皆さんに聞いてもらいたい」と感じました。

製薬企業は、疾患の知識やイメージだけで患者さんを捉えるのではなく、実際に患者さんやご家族、支援者と対話をして目の前の人がどう感じているのか、もし自分がその方だったらどう感じどう行動するのか…そう考える機会が、社員のモチベーションや使命感に大きく関わってくると感じています。

裕香
研修当日、内定者の皆さんからは、とても活発な質問が上がり「相手の想いへの共感」という言葉がぴったりの場でした。

薬に関する事だけでなく「一番辛かった時どう乗り越えたのか」「なんで団体を立ち上げようと思ったのか」など生活や気持ちの変化に対する質問が多く、私自身が「なぜだったのだろう?」と考える機会となりました。

12月には、EAファーマ福島工場での社内研修に家族で招いて頂き、娘の治療の事や療養生活に関すること、お薬に対する希望などのお話をさせて頂きました。

吉永さん
例え、同じ疾患であっても、患者さんによって症状や感じ方、その時の困りごとなどはそれぞれ異なってきます。

病名や症状といった目に表れている表面的な部分ではなく、「その人」に焦点を当てて想いを掘り下げていくという事を何より大切にしています。

今回は、実際に経管栄養や呼吸管理を行っている娘さんとご両親に来ていただき、モノづくりに携わる社員が共に時間を過ごさせていただけた事はとても大きな経験でした

患者さんではなく、パートナーとして

裕香
その後、吉永さんとは定期的にお会いして、どうしたらより良く難病患者さんをサポートできるのかを何度も話し合うようになりました。

研修後に最初にカフェでお会いしたときは、製薬企業の方にお会いするという事は、とても緊張する時間でした。

しかも、娘を連れての外出に戸惑って遅刻してしまうという大失態を…笑

でも、実際にお会いしてお話しすると、難病で医療ケアがある娘の事にとても興味を持って頂き、同時に私自身の親としての想いにもたくさん共感をして頂き、あっという間に時間が過ぎていきました。

吉永さん
相手に興味を持ち、耳を傾ける事が自分にできる唯一のことです。

病気を持つ人を『弱者』という見方をするのではなく、一緒に社会を作っていく『パートナー』としてどう手を取り合えるかを考えるようにしています。

私たちは「共存在の関係」を意識しており、患者さんのためにではなく患者さんと共に・・というビジョンを持っています。

裕香
お会いした頃は、私は前団体(病気・障害を対象にしたコミュニティ)を運営していて、「患者会とは違う緩い繋がりに価値がある」と言って頂き、そこから今日まで様々な面で活動を応援して頂いています。 
吉永さん
難病患者さんもライフワークに合わせた悩みを持たれており、患者さんは同じような環境や境遇で同じような悩みを持つ方々と繋がりたいという想いがあると思います。

また、繋がる方法も以前のように強い強制力を持った繋がりではなく、必要な時に必要な人と繋がれるSNSなどを利用したコミュニティのニーズが増えていると感じています。そういった意味で、気持ち的に楽に繋がれるネット上の居場所の運営というのはとても可能性があると感じています。

裕香
今のアンリーシュもメディアでの情報発信をきっかけとして、LINE@やツイッターなど各SNSで緩いコミュニティが生まれており、そこでしかできない会話が生まれています。

共に生きる「共存在」を目指す

吉永さん
実は私自身、ロイスディーツ症候群という疾患を患っています。

身体障がい者手帳1級の認定を受けますが、近年、手術や薬物治療の進展に助けられて、日常生活に運動や食事の制限もなく、健常者と変わらぬ生活を送ることができます。

患者の立場を経験している私だからこそ、ライフワークとしても難病患者をサポートする取り組みを今後も続けていきたいと思っています。

裕香
吉永さんは本当にいろんな場所に出向くだけでなく、たくさんのご縁を繋いでいますよね。

仲間内では「吉永さんが紹介する人にハズレなし」ともっぱらの評判です。

吉永さん
じっとしてるのが難しい性格なんです。

難病であろうとがんであろうと、医療的ケア児であろうと抱えている課題の本質は同じように感じています。

様々な団体がそれぞれにいい事をしているのに、その活動が点在してしまっている事で社会的なインパクトが出せていない。これは本当にもったいないことだと感じています。

それぞれの団体を上手につなぎ合わせる事で、活動を加速させていくお手伝いができると考えています。

裕香
紹介して終わりでないところが吉永さんのすごいところですよね。
吉永さん
紹介するだけなら比較的容易にできますがそれだと関係性が保てない事が多い。

お互いの特徴をしっかり理解し、双方のビジョンや方向性に共感を持たせることができる通訳者的な存在でありたいです。つながった関係の相乗効果が表れて活動が軌道に乗るまではサポートを続けたいと思っています。

これからの展望

EAファーマ様の本社にて、hhc推進グループの皆様と。 右から 吉永様 、アンリーシュ 細井、竹内、渡辺 美和子様、金澤、西山 寛人様

裕香
正直に言うと私にとってこの半年間は変化が大きく、「もう辞めてしまおうか」と思った時期もありました。

そんな時、吉永さんが「どこに所属して何をやっててもいいじゃない。金澤さんがやる事だったら何でも応援するよ」と言って頂いた事が本当に支えになりました。

吉永さん
そんな事言ったかな 笑。

でもやっぱり大切なのはご縁で繋がれた「人」ですから・・・。

何をやるか?よりも誰が何を目指してやるのか?が僕にとっては重要なのです。

マイペースでもいいから、金澤さん自身の経験を生かして、療養環境がより良くなる方向を目指して行動をし続けないと現状は変わらない・・金澤さんでなければ歩むことのできないことだと思っています。

病気を持ちながらでもわけ隔てられることなく、同じ目線で同じ方向に向けて、ともに生きていける社会づくりが実現できるよう僕も一緒に行動し続けたいと思っています

裕香
ありがとうございます。

アンリーシュは今、医ケアママを中心に医療・福祉スタッフや社会貢献事業に興味がある人など、様々な立場の人が関わってくれています。

吉永さんが大切にしている目の前の人を理解し共感できる「対話の場」、そして色んな立場の人が手を取りあい生きていける「共存在の場」の実現を目指して、今後もご一緒させていただきたいです。

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EAファーマ株式会社
2016年4月、エーザイグループと味の素グループそれぞれの消化器疾患領域事業を統合し、消化器領域に特化したスペシャリティ・ファーマとして発足。
ヒューマンヘルスケア(hhc)企業として、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一に考え寄り添い、その真のニーズをとらえ、幅広いソリューションを提供する事で医療に貢献し続けています。

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