NICUへ母乳を届けていたときの体験談 ー搾乳器などの道具の選び方、運搬のコツー

皆さんこんにちは。2019年4月より、アンリーシュ第2期ボランティアとして活動を始めたタカギ(ユ)と申します。

この記事では、私が2017年9月から2018年4月にかけて、息子がNICU及びGCUに入院していた時の搾乳方法や器具についてお伝えしていきます。

18トリソミーの息子に母乳を届けたい

今は天国にいる私の息子は、生まれる前に18トリソミー(エドワーズ症候群)の可能性が高いと指摘されました。
そしてその後、超音波診断や胎児MRIなどの精密検査によって、心室中隔欠損と先天性横隔膜ヘルニアという重篤な先天性疾患を持っているとわかったのです。そのため計画分娩による誕生直後から人工呼吸器の管を入れられてNICUに入院となり、母子分離状態に。私は入院している息子に母乳を届ける為に、昼夜問わず定期的に搾乳する生活を始めました。
みんなお母さんと赤ちゃんの味方だよ!フレーフレー!
なお、当記事では出来るだけ正確な表現を行っていますが、私個人の経験を根拠にしており、医療監修は受けておりません。その点、ご理解の上でお読みいただけると幸いです。

搾乳とは?

医療者や授乳経験のある方以外には、縁遠い言葉かもしれません。おおまかな定義については、用語集内「搾乳とは」の項に別途まとめています。
搾乳は、分泌過多によって胸が固くなってしまった時の応急処置や、卒乳していないお子さんを保育園に預ける時などに母乳育児を継続するために欠かせないものです。しかしお子さんがNICUやGCUに入院中の医療的ケア児の場合、日常のお世話の基本作業の中でも特に多くの時間を費やすようになるでしょう。

何を使って搾乳したの?

手搾りや手動搾乳機を使うなど複数の方法がありますが、私は電動搾乳機を使いました。

搾乳器について

産科病棟に入院中は、メデラ製の電動搾乳器シンフォニーを借りました。
メデラ製では最上位機種で、多くの産院で採用されているものです。
 
退院後はピジョン製の電動搾乳機を使っていました。今は当時使っていたものより新しい機種がでているので、下記にそちらのリンクを張ります。
搾乳が長期化すれば腱鞘炎になる可能性があるという話を入院中に助産師さんから教えてもらったので、電動を選びました。
ピジョン製にしたのは、最上位機種でもメデラ製に比べて安価で小型だったことです。出産後Amazonで注文し、私の退院までに届くようにしていました。
電動搾乳器のメリットは、搾乳時の強さやリズムを調節できることです。液晶画面で強さの度合いを確認しながら設定したり、最近の機種ではアプリを使って制御できるものもあります。

注意点:消耗品の調達

搾乳器の弁やチューブなどの消耗部品は頻繁に使っていると劣化し、1回で搾れる量も減ってしまいます。これは手動搾乳器も同様です。各製品のマニュアルにも記載されていますが、定期的なパーツ交換をお勧めします。

メデラ製はAmazonや一部店頭でパーツの取り扱いがあります。例えば、アカチャンホンポでは本体とパーツの両方扱っています。それに対して、ピジョン製の場合は店頭での部品取り扱いはありません。販売店に取り寄せてもらうか、送料負担でピジョンから直接通販する事になります。詳細は下記リンクをご覧ください。

買わずにレンタルする方法も

前述したシンフォニーなどのメデラ製電動搾乳器を、月額制で貸し出しているベビー用品レンタル業者があります。
※搾乳口などの消耗部品は別途購入する必要があります。
小児科、NICUや産科病棟に紙のカタログを置いています。ネット注文も可能です。

搾乳の方法や流れ

入院中も退院後も、およそ3時間おきに電動搾乳器で片方10分、合計20分搾りました。長時間続けると疲れてしまうので、欲張らず1回につき片方10分ずつと決めていました。搾乳時間自体は短くとも、手洗いや物品の片付け、母乳の冷凍作業を合わせると意外と時間がかかるのです。最後は短時間の手搾りで、両乳ともしっかり出し切りました。

出産当日とその翌日は1回につき搾れる量も少なかったものの、息子の生後2日目の夜から胸が張るようになりました。それに伴い、母乳量も増していきました。

搾乳する時に意識したこと、気をつけたこと

外出時も、携帯できる搾乳器があれば搾乳は可能です。しかし、あまり神経質になると疲れてしまうので、私はやりませんでした。疲れたときは夜中の搾乳もやめ、寝ることを優先しました。
搾乳時に母乳量を増やすためのこつとして産科病棟の助産師さんから教わったのは、子供の写真を観ながら行うこと。そしてよく食べ、しっかり休むことでした。
母乳はお母さんの体で作られるものです。やはり栄養状態や体調がよくないと、出も悪くなってしまいます。
 

搾乳できなくなった時の体験談

我が家は2018年2月下旬に娘と私が立て続けにインフルエンザにかかってしまい、しばらく面会をお休みしました。私が発症後は高熱と体調不良で搾乳が全くできなくなり、床に伏せっている間に分泌量が低下しました。そして、ついには全く出なくなってしまったのです。
回復後は助産院でマッサージを受けたり、搾乳量の復活に努めました。しかし、息子が急変し天使になったことで、私の搾乳生活はあっけなく終わりを迎えたのでした。

保存や運搬に使う道具、方法

保存用品(母乳用フリーザーパック)

とれた母乳は、カネソン製のフリーザーパック(商品名:母乳バッグ)に入れて冷凍しました。
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ピジョン製のものもありますが、個人的には使いづらく、容量がちょうどいいカネソン製に落ち着きました。
なお、ピジョン製とカネソン製とでは、下記の通り容量のラインナップに若干違いがあります。
 
メーカー別容量ラインナップ
カネソン製:25ml,50ml,100ml,150ml,200ml
ピジョン製:40ml,80ml,180ml 
(2019年5月現在)
メーカーへのこだわりがなければ、容量でいくつか取り揃えておき、使いわけるのもよいでしょう。
出産直後でまだ母乳の出がよくないうちは、カネソン製の容量25mlの製品がおすすめです。ただ、育児用品店では取り扱いがありません。私は産院内にある医療物品を扱う売店で買いました。そのほかの容量はAmazonや育児用品店、大規模な総合スーパーの育児用品売場でも売ってます。
価格はAmazonの方が安い傾向ですが、育児用品店とスーパーは近所にありさえすればすぐに手に入るというメリットがありますね。
 
余談ですが、息子と同じ18トリソミー児のお母さんからもう使わなくなった未使用のフリーザーパックを譲っていただく機会に恵まれました。息子が天国に旅立ってからは、余った未使用のフリーザーパックを縁あって別のお母さんに差し上げました。命のバトンや息子の魂が受け継がれていくような心持ちでおりました。

運搬用品(プラスチック製クーラーボックス)

冷凍母乳はよく凍らせてカチカチになった状態で持参するように、NICUから指示が出ていました。溶けたものを持ち込んで再び凍らせるのは、衛生面で問題があるからです。
休日は夫が車を運転して家族で面会に行きましたが、平日は第1子の娘を保育園に預けて、私1人で通いました。
私は運転免許を持っていないため、電車とバスを使っていました。乗り換えなどで一層時間がかかるし、冷凍母乳が溶けてしまう心配があったため、運搬には下記の容量8Lの方のクーラーボックスを使いました。
プラスチック製のボックスなのでたためずかさばりますが、肩紐がついているので、荷物が多いときは肩に掛けられて楽です。冷凍母乳が溶けてしまわないように、普段からケーキ屋さんなどてもらう保冷剤をたくさんためておいて一緒に入れていました。

搾乳をされるお母さんたちへ

NICUへの面会通いが続く場合は、大事な子どものためにと何かと無茶をしがちです。しかし、産後まもなくの時期は、誰しも体ががたがたになってしまっているのも事実なのです。休まなかったら時間差で自分の体に跳ね返ってくる可能性は高いです。
家事など代わってもらえることは出来るだけ家族に頼むか、産褥シッターさんにお願いしてください。辛いときは面会をお父さんに代わってもらいましょう。お母さんの代わりはいませんが、お母さんの仕事を代わりにできる人は周りにいるのです。
 
また、搾乳による母乳育児は、母子分離が続く状態において数少ない、親子のつながりを感じられるひとときではあります。しかしミルクでもちゃんと、赤ちゃんは育ちます。母乳育児と搾乳に固執しすぎて、自分の心や体を追い詰めないようにしてください。
 
家族のほかにも主治医、NICUや産科病棟の看護師・助産師など、お母さんやお父さんが思っている以上に味方はたくさんいます。誰かに頼るのは、悪いことではありません。ひとりで抱え込まないようにしましょう。

おまけ:お勧めWebサイト

最後に、搾乳していた当時よく閲覧していた、ブログやwebサイトを御紹介します。

母乳育児全般

母乳育児を応援する団体。「がんばるママをひとりにしない」という言葉に勇気づけられます。

 

母乳育児を応援する産科医、戸田千先生のブログ。赤ちゃんにもお母さんにも、優しい言葉をくださいます。
 
前述のシンフォニーなど母乳育児関連用品を作っている企業の授乳情報サイト。搾乳機の比較もできます。
 

搾乳の基礎知識

ピジョン公式サイト内母乳育児応援サイト「ぼにゅ育」の1コーナー。
搾乳、母乳の冷凍保存の方法が豊富な図解とともに解説されています。
 
小児科医による冷凍母乳の扱い方、早産の赤ちゃんへ初乳をあげる意義などの解説がとても分かりやすいです。
 

NICU関連

神奈川県立こども医療センターNICUにいらっしゃる豊島先生のブログ。
NICUで頑張る赤ちゃんやご家族の生き生きとした様子が綴られています。