病気や障がい、医療的ケアがあっても誰もが楽しめる!「インクルシネマ」に行ってきた

お子さんに病気や障がい、医療的ケアがあると、家族そろってのお出かけがなかなか難しかったりしますよね。

ましてやそれが「映画館」ともなると、

  • 医療的ケアが必要だから、長時間暗い場所にいるのはちょっと不安
  • 車椅子が通れるスペースはあるかな?
  • 子どもが静かに観ていられないかもしれない…

などの心配事があり、さらにハードルが上がってしまいます。

ですが、そんなご家族のための、どんなお子さんでも楽しめる映画観賞会があるのです!

それが【インクルシネマ】 です。

実際にどんな感じで行われているの?という方のために、今日はインクルシネマ当日の様子をレポートします✨✨

「インクルシネマ」ってどんな感じ?当日の様子

この日の上映作品は、「えんとつ町のプペル」。

「お子さんと一緒に家族で観たい!」という需要が大きく、上映作品はアニメなどが多いそうです。

インクルシネマを開催しているのは、NPO法人Linoさん。

Lino代表の杉本ゆかりさんを中心として、理事メンバー、そしてボランティアスタッフがテキパキと作業をしていきます。

Lino代表の杉本さん

来場者には、ジュースとポップコーンがサービスされます。こちらは株式会社ケイアイさんがご提供下さっているそう。

たくさんのジュースとポップコーン!

参加は申し込み制で、Lino側でお子さんにどんな障がいや医療的ケアがあるかを事前にヒアリング。避難経路の確保&ケアなどをしやすいように、事前に座席配置を決めてあるそうですよ。

また、感染対策としてしっかりと消毒。この日はボランティアスタッフを含め看護師が8人もいたので安心ですね!

全てのトレーを消毒していきます

上映の30分前から入場が開始されました。車椅子やバギーのお子さんとご家族が、ずらっと列を作っています

 

「えんとつ町のプペル」マスクと「えんとつ町のプペル」ぬりえのプレゼント

さらにこの日は、ノーツ株式会社の近藤岳裕さんから「えんとつ町のプペルマスク」、当日写真を撮ってくれたカメラマンのイシヅカマコトさんから「えんとつ町のプペルぬりえ」が、それぞれ来場者にプレゼントされました!

おそろいのマスクとぬりえで、子どもたちはみんな嬉しそうでしたよ✨

プペルマスク!

プペルぬりえ

また、上映前にとても印象的だったのは、Linoの杉本さんが劇場内の明るさの指示を出していたことです。

杉本「今日は頻繁に吸引する必要のある子が少ないから、照明をもう少し暗くして下さい」

と、劇場スタッフに伝えていました。

とてもきめ細やかな配慮だなと思い、こういった部分が「インクルシネマ」の人気を支えているのだなと感じましたよ!

「インクルシネマ」開催のきっかけ

上映中の時間を利用して、Lino代表の杉本さんと、開催場所であるイオンシネマむさし村山総支配人の道又さんにお話を聞きました。

ーーー「インクルシネマ」を開催しようと思ったきっかけは何だったんですか?

杉本さん

もともと映画が好きなんです。ですが娘には障がいがあり、人と違うタイミングで大笑いしたりするので、なかなかリラックスして一緒に映画を楽しむことができなかったんです。

そしてふと、同じように感じているご家族も多いのでは?と思ったんですよね。

小さいお子さんのいるご家族、ずっと座っているのが苦手な子、また吸引の音や医療機器のモニター音が鳴るのを気にしているご家族…

映画に行きたくても行けない人がたくさんいるのではと思いました。

だったらみんなで観たらいい!と思い、「病気や障がい、医療的ケアがあるお子さんも、安心して家族みんなで映画を観ることができる」がコンセプトのインクルシネマを企画しました。

 

ーーーイオンシネマとして、協力することを決めた理由は何だったんですか?

道又さん

障がいのあるお子さんがいると、「家族全員で」映画を観るのが難しいんです。

「障がい児とママ」、「きょうだい児とパパ」というように分かれてしまい、きょうだい児が映画を観ている間、障がいのある子はママと別の場所で待ってたりするんです。

そうすると、ご家族で映画の話ができない。

でも私たちは、話を聞くまで、そういった状況があることすら知らなかったんですよ。

そこにニーズがあることがわかり、開催の協力を決めました。

ーーー開催してみてどうでしたか?

道又さん

今まで見たこともないぐらい車椅子の方がたくさんいらっしゃって…

ーーーびっくりしますよね!

道又さん

すごく嬉しかったです。しかもみなさん、すごく楽しそうに帰って行かれる。

知り合いでも普段なかなか会うことができないみたいで、そういった方たちがお会いする場所を提供できているんだとも思いました。

そんな「インクルシネマ」も、すでに15回以上開催され、そのたびにたくさんのご家族がいらっしゃっているそう!

劇場側も、上映作品の相談に乗ったり、スクリーンの場所を工夫したりして、インクルシネマに協力して下さっているそうです。

「インクルシネマ」に参加している様々な子どもたち

上映が終わると、子どもたちが続々とスクリーンから出てきました。

「インクルシネマ」には、病気や障がいがある子どもたちだけではなく、健常のお子さんもキッズボランティアとして参加しているのです。

ここで、「インクルシネマ」に参加しているお子さんたちのエピソードを2つほど紹介したいと思います。

インクルシネマを通してあるお子さんに生まれた変化

ジュースやポップコーンを運んだり、渡したりするのがキッズボランティアの主なお仕事ですが、あるお子さんは、もともとコミュニケーションを取るのがとても苦手だったそうです。

その子が初めてママに連れられてボランティアに来たときは、人に対して苦手意識があり、なかなか思うようにお手伝いができませんでした。

ですが、勇気を出して少しずつジュースやポップコーンを運んでいるうちに、みんなに「ありがとう」と言われるようになり、それがとても嬉しかったそうです。

それがその子の成功体験となり、自信につながり、今回初めて自分から「ボランティアをやりたい!」と言ってくれたそうです!

キッズボランティアがいっぱいいます!

コミュニケーションが苦手な子が、自ら人と触れ合う場に行きたいと言った…これって、素晴らしい変化だと思うのです✨

お子さんたちにとって、年齢も生活環境も大きく違う人たちと触れ合える「インクルシネマ」のような場は、とても貴重な体験になっているのですね。

意思伝達装置でお写真をおねだり!交流が生まれた

障がいのあるお子さんの中には、意思伝達装置を使って会話をしている子もいます。

パパと一緒に来ていたみいなさんは、指先でスイッチを押す専用の機械を使って、みんなと会話していました。

こっちが質問すると、素早くスイッチを操作し、返事をしてくれます。

また、こんなかわいいおねだりも!

「写真を撮ってほしい」という希望を伝えてくれたのです。

こうして様々な人と会話する機会は、彼女にとってとても貴重なものです。私たちが当たり前に行なっていることでも、それが「当たり前」ではない人はたくさんいるのです。

映画もとても楽しんでくれていたようですよ!

終わりに

映画という共通のエンターテイメントを通して、大人も子どもも、病気や障がい・医療的ケアがあってもなくても、誰もが楽しめて交流できる「インクルシネマ」。

こういった取り組みが今後も増えていくことで、お互いに理解が進み、社会はもっと誰もが暮らしやすくなるかもしれません。

興味のある方はぜひ参加してみて下さいね。お待ちしています!

お問い合わせはこちら(NPO法人Lino)

【インクルシネマ 取材時の開催概要】

主催:NPO法人Lino

場所:イオンシネマむさし村山

後援:お金をまわそう基金NPO法人アンリーシュ

Photo by イシヅカマコト

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