宇都宮市は今から10年以上前の平成19年から重度心身障害児者医療的ケア支援事業を重点的に取り組んでいます。
今回は取り組みが進んだ背景や考え方を解説していきます。
重症心身障害児者医療的ケア支援事業が創設されるまで
平成19年当時、宇都宮市内で、医療的ケアを実施している事業者は
- 国立病院機構宇都宮病院
- とちぎリハビリテーションセンター
の2か所のみでした。加えて宇都宮市以外の市町とも契約していたため、(混雑もあり)宇都宮市民が利用したい時に利用できる状況ではありません。加えて、当時は事業者側の経営が成り立ちにくい状況でした。
この状況を改善するために、日中一時支援事業のうち、医療的ケアを重点化し「宇都宮市重症心身障害児者医療的ケア支援事業」が創設され、平成20年度より事業を開始しました。
どんな支援事業なのか?
・医療的ケアによって、利用者の個人負担が増減しない
この事業では、人工呼吸器による呼吸管理を行っている者(区分A)とその他医療的ケアを行っている者(区分B)に分けて「基準額」を設け利用時間に応じ基本報酬単価との差額を「運営支援費」として事業者に支給するようにしました。
その結果、利用者の個人負担が増加すること無いようになりました。
・日中一時支援事業の事業者の数が増加
法人のみでなく、法人格のある医療機関のほか、個人診療所も対象にしました。さらに平成21年には、看護師等を配置し、たん吸引等の医療的ケア(区分B)を行う福祉施設等も対象としました。
こうやって事業者が増えることで、(混雑によって)利用できない状況が緩和されました。
関係機関との連携と協議の場を強化
支援事業を継続・発展していくためには、各機関との連携や検討会議が不可欠です。
宇都宮市では26の庁内外の関係部署・機関による「宇都宮市発達支援ネットワーク会議」が設置されました。この会議で医療的ケア児の支援機関連携の協議を重ねている模様です。
また平成30年からは医療分野を強化するために、医療的ケア児の在宅医療に精通しているひばりクリニックの髙橋昭彦医師に委員を依頼しました。
今後も、「宇都宮市発達支援ネットワーク会議」が中心となり、医療機関との連携や庁内各課で実施している支援策の充実、利用者への情報共有など進めていくことになるようです。
発達障がいに対する理解を啓蒙していく
「宇都宮市発達支援ネットワーク会議」では発達障害を正しく理解するためのパンフレットを作成し、無料でダウンロードできるようになっています。
当事者・家族に向けた支援事業と同時に、支援者や生活を共にする市民に向けた啓蒙活動にも力をいれています。
(参考)