放課後等デイサービス とは

(読み方)ほうかごとうでいさーびす

放課後等デイサービスとは、学校に就学している障害児(小学生・中学生・高校生)が、授業の終了後や土曜日、日曜日などの休日、また、夏休み等の長期休暇に通うことができるサービスです。支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行います。

対象者

学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児

児童福祉法第六条二の二より) 

つまり、学校に通っている障害のある小学生、中学生、高校生が対象です。一般の学校に通っていても、特別支援学校に通っていても利用できます。

  • 障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児も含む)をいいます。
  • 手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象とされています。
  • 引き続き、放課後等デイサービスを受けなければその福祉を損なうおそれがあると認めるときには満20歳に達するまで利用することができるとされています。

提供するサービス

放課後等デイサービスは事業所ごとにサービス内容に特徴がありますが、次のような基本活動を軸としてプログラムが作られています。

ア 自立支援と日常生活の充実のための活動
 子どもの発達に応じて必要となる基本的日常生活動作や自立生活を支援するための活動を行う。子どもが意欲的に関われるような遊びを通して、成功体験の積み重ねを促し、自己肯定感を育めるようにする。将来の自立や地域生活を見据えた活動を行う場合には、子どもが通う学校で行われている教育活動を踏まえ、方針や役割分担等を共有できるように学校との連携を図りながら支援を行う。
イ 創作活動
 創作活動では、表現する喜びを体験できるようにする。日頃からできるだけ自然に触れる機会を設け、季節の変化に興味を持てるようにする等、豊かな感性を培う。
ウ 地域交流の機会の提供
 障害があるがゆえに子どもの社会生活や経験の範囲が制限されてしまわないように、子どもの社会経験の幅を広げていく。他の社会福祉事業や地域において放課後等に行われている多様な学習・体験・交流活動等との連携、ボランティアの受け入れ等により、積極的に地域との交流を図っていく。
エ 余暇の提供 
 子どもが望む遊びや自分自身をリラックスさせる練習等の諸活動を自己選択して取り組む経験を積んでいくために、多彩な活動プログラムを用意し、ゆったりとした雰囲気の中で行えるように工夫する。

(放課後等デイサービスガイドラインより)

事業所によって力を入れている内容が異なります。スポーツや音楽、絵画などのプログラムを重点的に行っている習い事のような事業所もあれば、放課後等児童クラブ(学童保育)のように自由に過ごす時間が多い事業所もあります。また、障害特性に合わせた専門的なプログラムを提供することを特徴としている事業所もあります。地域によって、選択できる量は違いますが、どのようなサービスを受けられるのかをよく知って事業所を選ぶことが大切です。

放課後等デイサービスのスタッフ

スタッフの配置基準は児童福祉法で定められています。どんなスタッフがいるかを知ることは、その事業所で受けられるサービス内容を知ることに役立つことが多いので、事業所選びの際に参考にするとよいでしょう。

すべての事業所にいるスタッフ

  • 管理者 

 

  • 児童発達支援管理責任者                                    

一人一人の子どもの状況や特徴を理解し、適切な支援を提供するための個別支援計画を作成するなど、サービス提供全般を管理する役割があります。その事業所の現場の中心になるスタッフです。大切な我が子を任せても大丈夫、と思える児童発達支援管理責任者がいる事業所を選ぶと安心です。

  • 児童指導員または保育士または障害福祉サービス経験者

実際に子どもたちの支援をするスタッフです。定員が10名以下の場合は2人、それ以上の場合は5人増すごとに1人ずつ必要です。半数以上が児童指導員または保育士である必要があります。 

機能訓練を行う場合に追加で必要なスタッフ

  • 機能訓練担当職員

リハビリなどの機能訓練を担当するスタッフです。ただし、理学療法士等のリハビリ専門職でなければならない規定ではないので、利用する事業所ではどのようなスタッフが担当するかを確認するとよいでしょう。専門的なプログラムの提供を特徴としている事業所では、様々な専門職が担当していることが多いようです。

重症心身障害児を主に対象とする事業所に必要なスタッフ

重症心身障害児を主に対象とする事業所では必要なスタッフが異なります。それ以外の事業所のスタッフに加え、以下のスタッフが配置されています。

  • 嘱託医
  • 看護職員
  • 機能訓練担当職員(必須、ただし訓練時間帯のみでも可)

重症心身障害児を主に対象とする事業所以外でも、重症心身障害児を受け入れることは可能ですが、医療的ケアが必要な場合は看護職員の配置を確認する必要があります。

放課後等デイサービスを利用するための手続き

  1. 市区町村の福祉担当窓口に放課後等デイサービスを利用したいと申請します。身体障害者手帳や療育手帳がない場合は、医師等の意見書の提出を求められる場合があります。
  2. 障害児相談支援事業所に障害児支援利用計画案の作成を依頼します。同時に、放課後等デイサービス事業所を探す、見学するなど、実際に利用したい事業所を検討します。
  3. 市区町村の福祉担当窓口に障害児支援利用計画案を提出します。    
  4. 計画案などをもとに、市区町村の支給担当が、放課後等デイサービスの利用の可否、適切なサービス提供量などを決定していきます。
  5. 支給決定後、決定通知書や通所受給者証が交付されます。通所受給者証にひと月に利用可能な日数が記載されています。その日数の範囲内であれば、複数の事業所との契約も可能です。  
  6. 放課後等デイサービス事業所と契約します。
  7. 利用開始。

利用料金

放課後等デイサービスの利用料金は、他の障害福祉サービスと同様に原則1割負担です。ただし、負担上限金が設定されており、ひと月に利用したサービス量に関わらず、それ以上の負担は生じません。上限額は所得に応じて次のように決められています。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割28万円未満=収入が概ね890万円以下) 4,600円
一般2 上記以外 37,200円

これらの負担金は通所受給者証に記載されています。食費について、一般2以外の世帯は減免があります。おやつ代など、別途実費が必要となる場合もあります。また、自治体によっては独自の助成制度がある場合もあります。

その他

学校との連携

学齢期の子どもの支援を行う上で、学校との連携は欠かすことができません。しかし、事業所によって、学校との連携の内容は異なるので、学校、放課後等デイサービスそれぞれの支援内容の情報交換がどのように行われているのか、それぞれの支援計画を理解して役割分担がされているかなどを確認するとよいでしょう。

放課後児童クラブ(学童保育)との違い

放課後児童クラブは、保護者が仕事などで家庭にいない小学生に対して、授業の終了後に適切な遊び及び生活の場を提供するものであり、基本的には保護者が仕事などで家庭にいない小学生しか利用することができません。一方で、放課後等デイサービスは、発達支援の場であり、保護者が仕事をしていなくても利用することができます。それだけでなく、保護者が障害のある子どもを育てることを社会的に支援するという側面もあり、①子育ての悩み等に対する相談を行うこと②家庭内での養育等についてペアレント・トレーニング等活用しながら子どもの育ちを支える力をつけられるように支援すること③保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うこと、も放課後等デイサービスの大切な役割の一つです。

 

出典

 

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