これって陥没呼吸?新生児のお腹のペコペコが気になる方へ!【症状とリハビリ】

おなかがぺこぺこしている?

ちょっと呼吸が苦しそう?

もしかしてこの症状は陥没呼吸??

そうと思うと不安ですよね・・・

そもそも陥没呼吸とはどのような状態なのでしょうか?

またもし陥没呼吸になった場合にどのような対処ができるのでしょう?

今回は小児の呼吸に詳しい理学療法士のまささんに、陥没呼吸について解説していただきました!

 

ライタープロフィール

お名前:まさ(Ease Up)

経歴:総合病院、一般病院、整形クリニック、デイケア、デイサービス、療育センター、訪問看護ステーション、教育機関専任講師

Instagram:ease.up00

情報ブログサイト「HIKIDASHI」:https://easeup-masa.com

 陥没呼吸の症状

本来、息を吸い込む際には胸が拡がるように膨らみます。

しかし、陥没呼吸では膨らまずに陥没して(凹んで)しまいます。

陥没する箇所として代表的なのは胸骨の上・下、肋骨(ろっこつ)の間、鎖骨(さこつ)の下などが挙げられます。

 陥没呼吸の原因

さて、それではなぜ息を吸う際に陥没が起こるのでしょうか?

まずは正常である胸が広がるパターンを模式図で見てみましょう。

このように空気の通り道がきちんと確保されることによって筋肉が胸を拡げ、空気(O:酸素)が入ります。 

それでは、空気の通り道が塞がるとどうなるでしょうか?

 

​​空気が中に入れないことにより、中で発生する圧に負けて容器が潰れてしまいます。

(ペットボトルの飲み口を強く吸い込むとボトルが潰れるイメージ)

これは極端な例ですが、こういった空気の通り道の一部が塞がる(もしくは狭くなる)ことで部分的に陥没する事態が発生します。

このように「塞がる」ことを「閉塞(へいそく)」と言います。

原因として代表的なものに、

・乳幼児では気道や周囲の組織が未発達であり、痰(たん)などの分泌物が詰まりやすい

・ダウン症児などでは低緊張舌根沈下(舌がノドに落ち込んでしまう)が生じやすい

・乳幼児や先天性疾患を抱えた子では胸が非常に柔らかく、(胸周りの筋肉や骨、関節が未発達であるため)胸周囲が柔らかいことで圧に耐えられず、潰れやすくなる。

などの例が報告されています。

以上のように原因は非常に多様です。

そのため、必ず主治医の指示を仰ぐようにしてください。

特に急に出現した陥没呼吸については医師以外の医療職による助言を鵜呑みにしないよう心がけていただきたいと思います。

 陥没呼吸は、身体がすごく頑張っている状態

バイタルサイン(血圧や酸素の取り込みを示すSpO2、脈拍数など)に問題がなければ経過観察とされることも多いのが陥没呼吸です。

しかしながら、実はすごく努力して呼吸を頑張りすぎている場合があります。

例えば、肩の周りや胸の周り、首や背中などの筋肉が硬くなってしまう(肩こりのように)ことなどが代表的な例です。

また、身体に酸素が足りないとチアノーゼといって指先や唇(くちびる)が青紫色になる症状が現れます。

最近ではスマホで綺麗な動画がすぐに撮影できます。

気になることは映像として保管し、診察の際に医療スタッフと情報共有をすることはオススメです。

ご家族の方から聞いた声

アンリーシュ読者の皆様に、陥没呼吸に関する不安の声を聞いてみました!

陥没呼吸は指摘されたが、原因や自宅でのケアについて教えて欲しかった。

生まれた時から気管が狭いと言われ、鼻水が増えると不安でした。

陥没呼吸なのか判断ができず、不安を抱えていた。

緊張が高くなりやすく、今思えば呼吸も原因だったのではと思う。

異常が起こった際、動画を撮影して受診時に見てもらったことがある。

陥没呼吸の起こる理由や本人の症状など不安を抱える場面は多いですよね。

経過観察と言われても苦しそうな様子を見ると何とかしてあげたいと思うのは当然のことと思います。

陥没呼吸によって頑張りすぎた身体をケアしよう!

前述したように陥没呼吸の原因は様々です。

陥没呼吸は身体の成長により、気管をはじめとする身体組織、筋肉・骨格が発達することで改善していくことが多く見受けられます。(改善しない場合は医師による治療の対象となります。)

そんな中、理学療法士として考えるのは「二次的な問題に対するアプローチ」です。

つまり、直接の原因である陥没呼吸に対してではなく、陥没呼吸によって頑張りすぎてしまう身体をケアすることです。

具体的には、筋肉の緊張と胸まわり(肋骨)の動きをケアします。

胸の動きをケアすることで肺に入る空気の量も増え、排痰(痰を出すこと)としての効果もあります!

筋肉のケア

筋肉の緊張をほぐす

皆さんは普段、呼吸をしていて疲れることはありますか?

そんなことはありませんよね。安静に息をしていて疲れることはほとんどありません。

ただし、陥没呼吸によって呼吸が浅く、早くなっている時は筋肉の使い方が通常とは異なります。

呼吸が浅くて早い = 頑張って息をしている

つまり、普通よりも余分に筋肉を使っていることが多くなります。

特に硬くなりやすい部位として、首・胸・背中・お腹などが挙げられます。

※詳細はEase Up HP [HIKIDASHI]「痰に関する『なぜ』を解説」

筋肉をケアする方法

今回は胸の筋肉についてをピックアップしました。

大人同士で行うマッサージのように指でグリグリする必要はありません。

手のひら全体(もしくは指全体)で優しく撫でるように行ってください。

指先で押すと刺激が強すぎてしまい、逆に緊張を高めてしまいます。

主観になりますが、寝かしつけるくらいのつもりでちょうど良いと思います。

他の筋肉について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

「自宅でできる呼吸を楽にする方法①」

「自宅でできる呼吸を楽にする方法②」

胸まわりのケア

胸まわり(肋骨)を動きやすくする

大きく深呼吸をしてみてください。

きっと皆さんの肋骨は開くように大きく動きます。

しかし、日常的に呼吸が浅く、動かしている範囲が狭いとどうしても動きが硬くなります。

筋肉の緊張が軽減し胸がよく動けば、より深く呼吸をすることができます。

深い呼吸は痰を出す(排痰)ためにとても重要です。

また、深呼吸により日常の疲労感も軽減し自律神経を整える作用もあるので決して侮ることはできません!

胸まわりをケアする方法

まず、一つの姿勢で寝かせ続けないことです。

表情やバイタルを確認しながら身体を起こしたり横向きにしたりとポジショニングに注意をしてください。

一定の姿勢で1日の大半を過ごすということは、限定された身体の部分で体重を支え続けることになります。(例:仰向けであれば背中が固くなる)

他の手段としては「呼吸介助」と呼ばれるものがあります。

(※実施する際は必ず担当のリハビリスタッフより指導を受けてからにしてください。)

これも筋肉同様、優しく撫でるように行います。

直接的に胸を動かす方法ですが、ついたくさん動かそうとして力を入れすぎてしまいます。

実際は力を入れなくても徐々に動きが確認できます。

特に乳幼児では胸まわりが柔らかいので、強く圧迫すると逆効果になります。

 

もっと詳しく知りたい方はオンラインセミナーにご参加ください!

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は陥没呼吸と自宅ケアについてお伝えしました。

私のセミナーを受講いただいた方にはいつも言うことですが、まずは普段の状態を知ることが大切です。

そうすることで、「いつもより固いかな?」「いつもより動きが弱いかな?」など気付く場面が増えることでしょう。

そして、気づいたことや疑問・不安はぜひ担当の医療スタッフと共有してください。

1人でモヤモヤしてもいいことはありませんし、私自身も保護者の方よりいただく情報からたくさんの気づきをいただきます。

 

「呼吸」と聞くと難しく感じるかもしれません。(実際、私自身が学生の頃はこの分野に大苦戦しておりました。)

けれど、理屈がわかると不安も減ります。

実は、お家でできることもたくさんあるので、ぜひ私の運営ブログ「H I K I D A S H I-ひきだし-」にも遊びに来ていただければ幸いです。

Ease Up まさ

 

参考文献

1) 稲員恵美:ICUにおける小児心臓手術後の呼吸理学療法,PTジャーナル 第34巻, 2002年
2) 新津健裕:小児の気道 critical airway management, INTENSIVIST vol.4 No.3 , 2012
3) 病気が見えるvol.4 呼吸器 第1版 , 株式会社メディックメディア, 2011
4) Paul J Mansfield 他:エッセンシャル・キネシオロジー機能的運動学の基礎と臨床 第2版, 南江堂, 2015