特別支援学校と特別支援学級の違い。メリット・デメリットを在籍していた私が解説!【特別支援教育について①】

こんにちは。私は生まれつき脳性麻痺という障害があり、四肢に軽い麻痺があります。また、体幹の筋力が弱く、視覚にも軽い障害があります。

そんな私は、小学校から高校までの間に、

✅地元の学校の通常級
✅地元の学校の特別支援学級と交流級
特別支援学校

とさまざまな特別支援教育を経験しました。

今回は、私の経験をもとに「特別支援学級と特別支援学校の違い」や「通常学級や通級について」、さらにそれぞれのメリットやデメリットをお伝えします。

これから就園、就学、進学、就職等を控えている障害をお持ちの方とそのご家族が、これからの人生の選択の幅が広くなり、未来が明るく感じられるよう、お役に立てたら嬉しいです。

ただ、私は専門家ではありませんので、すべてが正しい情報や意見ではありません。個人の見解も含んでいますのでご了承ください。

特別支援教育とは

まず最初に、特別支援教育とは何か?についてです。

「特別支援教育」とは、

障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、一人一人の教育的ニーズを把握して持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服するため、適切な指導や必要な支援を行うものである。

とされています。

特別支援教育が受けられる場所や、対象となる障害とは

特別支援教育は、小学校や中学校、特別支援学校で受けることができます。
障害種別はいろいろな分け方がありますが、ここでは文部科学省で使われている分け方に統一します。

【特別支援学校 対応障害種別】
視覚障害、聴覚障害、知的障害(発達障害を含む)肢体不自由、病弱・身体虚弱

【特別支援学級 対応障害種別】
知的障害(発達障害を含む)、肢体不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害

【通級指導教室 対応障害種別】
言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害、注意欠陥多動性障害、肢体不自由、病弱者及び身体虚弱者

また、平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校で、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実していくこととなりました。

「校区の学校の特別支援学級・通級」と、「特別支援学校」の違い。私の経験から感じたそれぞれのメリットデメリット

ここからは、通常学級と特別支援学級、また特別支援学校の違いについて、私の経験から感じたメリットとデメリットを書いていきます。

私は、小学校は校区の小学校の通常学級に、中学校は特別支援学級に在籍していました。

お子さんが特別支援学級がいいのか?特別支援学校がいいのか?迷われている方はぜひ参考にして下さいね。

通常学級 とは? メリット・デメリット

通常学級とは、障害の有無に関わらず誰もが在籍できる、小学校と中学校における1クラス40人程度の学級です。

メリット
たくさんの人と関わり良い刺激を受けることが出来る。
先生やクラスメイトの理解で、無理だと思っていたことに挑戦できたり、自分の持っている力を伸ばし、新しい発見ができる。

私は通常学級にいた時、「自分はこんなこともできるのか。他の人が苦手なことでも自分は得意なこともある。挑戦すること自体に障害の有無は関係ないのかもしれない」と気づくことができました。

デメリット
1クラス40人程度の児童生徒に対して先生が1人だと、支援が必要な児童生徒に目が生き届きにくく、障害によっては集団行動が大変になる。

運動会や修学旅行など学年単位の行事の際に、個別の配慮をしてもらうのが難しい場合があります。

特別支援学級 とは?  メリット・デメリット

特別支援学級とは、小学校と中学校で、校区の学校に障害種別ごとに設置される学級のことです。

障害の程度や状況に応じて個別に授業を受けられ、同じ障害種別の人がいたら同じ教室で過ごしながら、細かい教科の学習は個人に合わせて行えます。

メリット
支援が手厚いのでストレス無くすごせる。
修学旅行などの学年行事の際に、体調や障害の特性に応じた配慮をしてくれる。

デメリット
その人にもよりますが、私のようにほとんど交流学級で過ごす人は稀で、他の児童生徒と関わる機会が少なく、経験の幅が狭くなること。

私は人と環境にすごく恵まれていたと思うので、特別支援学級に関してデメリットを感じた経験は少ないです。

もし近くの学校に、自分の障害種別の学級がない。自分の子どもは近くの学校に行けないのではないか。と思う人もいるかもしれません。

でも、大丈夫です!
「障害に応じた学級を設置しなければならない」という決まりがあるため、理論上は近くの学校に入学できます。物理的環境が整っていない等何らかの理由で校区の学校に通えない場合は、校区外の学校に通うこともできます。

どの学級になるかは教育委員会の判断によっても違います。

例えば、医療的ケアがあるとだいたい病弱学級になるケースが多いですが、知的障害等の複数障害がある場合は、

✅医療的ケアの原因になっている障害や病気とその他の障害の、どちらの方に支援が多く必要か?
本人や保護者が、どのような力を身に付けたい・身に付けてほしいか?

などの希望により、医療的ケアはあっても知的障害学級に在籍する場合もあります。

最終的には、医師の意見や、教育委員会と学校、保護者の話し合いによって決まります。

通級指導教室(通級)とは?  メリット・デメリット

通級指導教室とは、小学校・中学校の通常学級に在籍している、比較的軽度の障害がある人向けの個別の指導方法です。

普段は通常学級にいて、週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動し、個別の困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けることになります。

必要な支援や指導の内容はそれぞれ違うので、障害の種類によって教室の種類もいくつかに分かれています。

そのため、在籍する学校にその子のニーズに合った通級が設置されていない場合もあり、地域で定められた他校の通級指導教室に通うこともあります。

メリット
基本は通常学級にいるため、色々な人と接したり経験を積める。
本人の障害に合わせた個別の支援・フォローアップができる。

デメリット
通級を設けている学校が少なく地域差が大きい。通常学級との行き来がストレスになる等。

実際、私の地域でも通級を設置している学校は当時なく、私が通級という言葉を知ったのは、中学生になってからでした。

制度はあっても実施している学校は少ないようです。

特別支援学校 とは?  メリット・デメリット

特別支援学校とは、心身に障害のある児童生徒が通う学校で、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。

規定上は、幼稚園・小学校・中学校・高等部に準じた教育を行うとなっていますが、プラスして障害のある幼児・児童・生徒の自立を促すために必要な教育を受けることができます。

私は、小学生と中学生は特別支援学校ではなかったので実体験はありませんが、働いていた経験があるため、客観的に感じたメリットとデメリットをお伝えします。

メリット
支援が手厚く、その人の発達や障害の状況に合わせて専門的できめ細やかな指導が受けられるところ

また、医療的ケアは看護師などが行うのが原則ですが、保護者の同意や医療関係者による適切な管理などの一定の条件が満たされていれば、特別支援学校において教員がたんの吸引、経管栄養(胃ろう・腸ろう)、自己導尿の補助を行えるようになりました。

これにより、医療的ケアがある人でも訪問ではなく通学できるケースが増えてきました。

実際に私が働いていた特別支援学校でも、保護者の付き添いなしでいわゆる通学という形で在籍している人もいました。

デメリット

同世代の子どもと関わる機会が少ない。
障害の程度によっては入学できない可能性がある。地域差、学校差がある。転学・転校には手続きが必要。

特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)

資格については、後編の「高校編」で詳しくお伝えします。

【体験談】私の保育園から中学校について

ここからは、私自身の体験をお伝えします。まずは保育園から中学校までです。

【保育園】番外編!短時間から徐々に受け入れが始まった保育園

両親が共働きだったため、私は保育園に通っていました。

私が子どもの頃は延長保育をしている幼稚園がほとんどなかったこともあり、選択肢は保育園しかなかったようです。

そもそも私の住んでいる市の園では「障害を持つ子どもを受け入れた前例がなかった」らしく、市役所と市の教育委員会の間でたらい回しにされたそうです。

最終的に市の保育園が短時間を条件として受け入れてくれることになり、私は2歳半で保育園に入りました。

3歳までは、私のために補助の先生がついてくれていました。

4歳からは、「年少になるので、補助の先生に付いてもらうことを希望する場合は、そのために身体障害者手帳が必要です」と言われ、そこで初めて両親は障害者手帳の必要性を知ったそうです。

母から当時の話を聞き、保育園でも4歳以降は保育よりも教育要素の方が強くなって、「加配」を付けるために、より明確な障害の根拠のようなものが必要なんだと感じました。

 

当時は通う方も受け入れる方も初めてのことで、不安がありました。

でも私自身が4年間の保育園生活を振り返って感じたのは、

「一番大切なのは、受け入れてくれる先が、当人の障害や性格・保護者の願いなどを理解し、当人を障害の有無に関係なく「ひとりの人間」として受け入れられるかどうか」

だと思います。

実際に、入園後に私の障害が軽度であることや、自立心旺盛で一人でできることも多いことを周囲に理解してもらえ、他の子と同じ時間まで預かってもらえるようになりました。

【小学校】6年間地元の小学校の特別支援学級に在籍・ほとんどの時間を交流学級で過ごす

小学校は、6年間校区の学校に通いました。ずっと特別支援学級在籍でしたが、実際はほとんどの時間を交流学級で過ごしました。

交流学級とは、特別支援学級や特別支援学校に在籍している子どもが行く通常の学級のことです。

地域の小学校や中学校の子どもと、特別支援学校の子どもが一緒に活動する「交流及び共同学習」というプログラムの一環です。

また、もともと特別支援学級は小学校や中学校内に設置されるため、給食や行事などで通常学級と交流をもつ時間があります。その際に活動する、学校内の通常学級も「交流学級」と呼ばれます。

(特別支援学校の場合は、学校ごと別になるためその点で違いがあります)

 

私は、障害が直接勉強に影響を与えてはいなかったので、通常学級と同じ日程で生活していました。そのため常に交流学級、つまり通常学級に副担任のような形で入ってもらいました。

クラスメイトには「○○さんは少し足が不自由で疲れやすかったり、体育等の運動はみんなと同じ内容は難しい時もある」としっかり認識してもらえていました。

そのため、特にいじめにあったりすることもなく、小学生らしく過ごせたと思っています。

一応肢体不自由学級として、毎年教室が一つ設置されていましたが、ほとんど使いませんでした。
使ったのは、中休みやお昼休みに身体が硬くならないようにストレッチをする時や、休み時間にクラスのみんなと遊ぶ時ぐらいでした。

【中学校】3年間地元の中学校の特別支援級に在籍

中学校は、3年間特別支援学級在籍でした。

1年生と3年生の時は一つの教室を半分にして知的障害学級と肢体不自由学級に分けて使っており、2年生の時だけ、肢体不自由学級として別に教室が一つありました。

小学校同様ほとんどの時間を交流学級で過ごし、ストレッチをする時や、やや体調不良だが保健室に行く程ではない時などに使いました。

中学生になると板書の量とスピードが上がり、ノートをとるのが間に合わないことが多くなりました。なので、5教科は必ず支援の先生に入ってもらっていました。

授業の間の休み時間に先生の書いたノートを見て、授業に遅れずついていけるように工夫していました。

 

またこの時期は、思春期ということもあり、「周りから障害者と思われたくない。障害のことを知らないクラスメイトや部活の仲間に、障害を知られて孤立するのがいやだ」と思っていました。

支援学級や部活の顧問の先生がその気持ちに寄り添ってくれて、なるべく通常学級で楽しく過ごせるように、部活で孤立しないようにと、先生方と私の距離を程よく取ってくれました。

本当にありがたかったです。

ちなみに部活は吹奏楽部でしたが、その時間は一切支援の先生は入りませんでした。

大人になった今思うのは、私の知らないところで母と学校がよく連携して、私が望む中学校生活を送れるようにしてくれていたんだということです。母と当時の先生方には本当に感謝しています。

【小・中学校の保護者付き添い問題】障害や医療的ケアがあると、修学旅行等の校外学習に保護者の付き添いが必要か?

付き添いに関しては、みなさん気になるところだと思います。

私は医療的ケアはなく、小中学校は特別支援学級におりメインで支援してくれる人がいたので、問題なく付き添いなしで行けました。

通常の学級にいても、行事の際は学年付きのフリーの先生など引率や指導に入る先生がいつもより多いですし、クラスメイトなどの周りの理解でみんなの協力を得ながら行くことは可能です。

私の個人的な考えでは、学校と保護者の関係性次第で、ある程度の「保護者の付き添い必須」という条件は緩和されると思います。

 

ただ、医療的ケアがあるとなるとまだまだ保護者の付き添いが必要とされる場合が多いようです。

個人的には、医療的ケア児に関わるすべての先生が、その子のケアができるように研修を受ければ、保護者が付き添う必要は減るのではないかと思います。

人工呼吸器については教員の研修項目にないので今は難しいかもしれませんが、研修項目にあるケアの場合は規則上問題ないのではと考えています。

 

いかがでしたでしょうか?少しでもこれからの参考になればうれしいです。

高校編、高校卒業後の進路編については次の記事で解説していますので、そちらもぜひご覧下さいね!

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本記事は、一個人の見解を含んでいます。全ての脳性麻痺がある方、またその他の病気・障がい・医療的ケアがある方について、本記事の限りではないことをご了承下さい。
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