在宅酸素や人工呼吸器など、24時間おうちで医療機器を使っている医療的ケア児や成人の方は、停電が命の危機に直結します。
停電への備えをしないといけないと分かっていても、上記のような方も多いはず。
この記事では、停電時に使える非常用電源の種類と、自治体から補助が出る「日常生活用具」での給付についてお伝えします。
非常用電源の種類
非常用電源には、主に3種類あります。
- 発電機
- 蓄電池(バッテリー)
- 車から電源を取る
です。
それぞれ簡単に解説していきます。
また、電源には「正弦波タイプ」と「矩形(くけい)波タイプ」の2種類があり、医療機器は「正弦波タイプ」しか使用できません。
(詳しくはこちらのHP【正弦波と矩形波の違い】などを参考にして下さい)
発電機
発電機とは、燃料を使ってエンジンを動かし、電気を発生させる装置です。
お祭りの屋台などでよく見る、屋台の横でブルブルしているやつですね。
燃料にはガソリン・カセットボンベ・太陽光などがあります。
メリット:パワーがある。燃料があればいくらでも稼働できる。持ち運びができる。
デメリット:定期的なメンテナンスが必要。また、ガソリンタイプは発電時に一酸化炭素が発生するので、屋内の使用が不可能。
蓄電池(バッテリー)
携帯を充電するモバイルバッテリーと原理は同じ。容量が大きくなると、サイズも大きくなります。
まずは各医療機器専用の蓄電池があるはずなので、それを備えましょう。(メーカーに聞きましょう)
そこにプラスして市販の蓄電池を備えると良いでしょう。
メリット:安全性が高い。充電して繰り返し使える。
デメリット:大容量のものは大きくて重い。容量が小さいものは稼働時間が短い。放っておくと放電するので、定期的に充電が必要。
車から電源を取る
車をお持ちの方は、車から電源を取ることができます。
最近はコンセントが付いている車もあり、その場合は家庭用電源と同じように使うことができます。
コンセントがない車は、カーインバーターという専用の機械を使い、シガーソケットから電源を取ります。
メリット:安い。正弦波の医療機器に使えるものでも10,000円前後
デメリット:車がないと使えない。また、車から家の中まで延長コードが必要。車のバッテリーが上がると使えない。
自治体に「日常生活用具」での給付をお願いしよう
必要な非常用電源についてわかったら、次は実際に購入しようかという流れになると思います。
でも、蓄電池は8万円前後、発電機には20万円近くするものもあり、個人で購入するにはちょっと高すぎますよね。
なので、おうちで医療機器を必要とする医療的ケア児者に向けて、「日常生活用具」の中で非常用電源の給付を国が認めています。(「日常生活用具」なので、非常時ではなく日常に使う非常用電源としての位置付けになります)
これを受け、実際に2020年10月から東京都足立区で、
- 正弦波インバーター発電機
- ポータブル電源(蓄電池)
- DC/ACインバーター(カーインバーター)
が日常生活用具に追加されました。
東京都内で非常用電源が日常生活用具に追加されたのは足立区だけ(2021年3月現在)ですが、それ以外の自治体で続々と給付が決まっています。
大阪府吹田市、埼玉県ふじみ野市、千葉県千葉市などが給付を決めているので、今後も多くの市区町村がこの流れに乗るでしょう。
安心して下さい!
- 他の自治体でもどんどん追加されています
- 私の子どもは、停電時に電源がないと命に関わります
- 国でも給付が認められています
などの材料をもとに、お住まいの市区町村の福祉窓口にお願いしましょう。
具体的な製品名を出し、「これが欲しいです」と言ってみるのもアリです。
もしそこで断られても、諦めずに相談支援専門員さんや、福祉政策に力を入れている政治家さんに相談して下さい。
きっと道が開けるはずです。
防災に役立つサイトや本
最後におすすめのサイトや本をご紹介します。
まずはこちらのサイト。
国立生育医療研究センター
医療機器が必要な子どもの災害時における電源確保「災害対策マニュアル改訂版」
電源確保の観点から非常に詳しく書かれています。発電機の種類や、車から電源を取る方法まで全て網羅!おすすめです。
続いて本。防災全般に関しては大人気の「東京防災」です。無料アプリもあります。「東京防災」で検索!
「子連れ防災BOOK」お子さんがいる方はぜひこちらを!お子さんとの防災に力を入れるNPOママプラグ編
他にも防災に役立つ本やアプリ、また体験などあればぜひ教えて下さいね。
災害の多い日本、備えは絶対に必要ですよ。