このコーナーはアンリーシュフレンズ(YouTubeアンリーシュ日記に登場してくれた医療的ケア児たち)を紹介していくコーナーです。
今回はママが妊娠中にサイトメガロウイルスに感染し、母子感染で胃ろうなどの医療的ケアが必要になったあやちゃんをご紹介します。
自己紹介
皆さん初めまして、あやちゃんです。
あやは、先天性サイトメガロウイルス感染症という病気を持って生まれてきました。
私が妊娠中にサイトメガロウイルスというウイルスに感染して、それが母子感染を起こし、お腹にいたあやの脳に障害が残ってしまいました。
あやはもうすぐ2歳になります。身長80cm体重は8kgです。
口から食べるのが難しく、1歳の時に経鼻経管栄養を始めました。その後も体重がなかなか増えなかった為、1歳5ヶ月で胃ろうを造設しました。
嚥下障害と別に嘔吐症があり、薄めた味噌汁を2.3滴口に入れただけや、くしゃみなどちょっとしたきっかけでも吐いてしまっていました。
せっかく注入したものを全て吐いたり、多い時は1日8回吐いたりということが続いたため、1歳10ヶ月の時に噴門形成術という吐かなくなる手術をしました。
それからは一度も吐かなくなったので、今は少しずつ食べる練習をしているところです。
あやは小頭症で、頭のサイズは生後3.4ヶ月ぐらいの大きさです。
笑顔がとっても可愛くて、みんなの癒しの4きょうだいの末っ子です。
妊娠経過
私は前回の出産が双子で帝王切開でした。そのため今回もその予定で、37週で出産予定でした。
地元のクリニックを受診していて経過は順調でしたが、35週の検診で頭だけが3〜4週分遅れていて小さい、と分かりました。
その日のうちに再度受診して詳しくエコーで診てもらった所、脳の中の脳室という部分が大きく、大きい病院に行きましょうと言われました。
翌日県外の病院に行き詳しく診てもらい、多分生まれてから治療が必要になるので子供専門の病院に行ったが良いだろうと、またその日のうちに病院をかわりました。
そして次の病院で色んな検査をし、MRIでは私のお腹の中にいる赤ちゃんがキレイに映っていて、そこでも脳室拡大が認められました。
また、血液検査で私がサイトメガロウイルスに感染していると分かりました。
サイトメガロウイルスとは
サイトメガロウイルスはどこにでもいるウイルスで、小さい時に感染している人が多いそうです。感染しても無症状や、ただの風邪として診断されるそうです。
その為ほとんどの人が抗体をもっていますが、抗体を持っていない人が妊娠中に初めて感染すると赤ちゃんに影響を及ぼしてしまう可能性があります。
感染経路は様々ですが、子供の尿や唾液、鼻水に触れてしまったり、食べ残しを食べたりという育児をする中での感染が多いそうです。これ以外にも母乳を介してや性交渉で感染する場合もあるそうです。
感染したとしても必ず赤ちゃんに影響を及ぼす訳ではなく、無症状の子もいれば、あやのように重度の脳性麻痺や、難聴や視力低下になる子もいます。また生まれた時に何もなくても、成長するにつれて症状が出る子もいます。
告知から出産まで気持ちの変化
妊娠中に感染が分かり、娘の脳に異常が起きていると知らされた時から、初めて聞くウイルスをただひたすら調べる毎日でした。
サイトメガロウイルス、頭が小さい、脳室拡大、こんな言葉を何度も何度も検索してました。
サイトメガロに感染している子どもたちの症状は本当に様々で、無症状であって欲しいと願いながらも、既にお腹にいるあやの頭には異常が出ており何かしらの障害が残るだろうなと覚悟はしました。
4人目の子供でありその余裕から来る気持ちか、妊娠前からもし障害を持ってる子が生まれたとしても生きてるだけならそれだけでいい。
たとえそうだとしても可愛い我が子には変わりないはず。という気持ちが常にあり、正直悲しみというより、覚悟を決めた、という感覚でした。
なので不思議と最初から涙は出ず、それよりも早く会いたい!という気持ちの方が大きかったです。
せっかく生まれてきてくれるんだから不安な顔してごめんね、って言うのではなく、笑顔でよく頑張ったね、ありがとうって言いたいと自然と思えました。
いざ対面してみると、不安をかき消すぐらい可愛くて可愛くて。この手の中にこんな愛しい命があるだけで幸せだと思えました。
出産後の治療
出産後は見た目も特に異常なく、耳もちゃんと聞こえていました。
産まれてすぐ血液検査、尿検査をして、あやもサイトメガロウイルスに感染している事が分かり、すぐに投薬治療が始まりました。
産まれてから1ヶ月入院して、生後半年間は薬の服用が必要だったので、退院してからも半年間、毎週病院に通い薬を毎日飲ませました。
薬がとても強いものでしたが、なんとか副作用が出る事なく治療を続けることができ、
そのお陰でウイルスは身体からいなくなって感染症科は卒業する事ができました。
生後6ヶ月に撮ったMRIで、脳室拡大は以前と変わらず、脳のシワが少なかったり萎縮している所もある、との所見で、今後何かしらの症状が出てくるだろうと言われました。
生まれてから2年間
あやが産まれてからの2年間。
てんかんを発症したり、食べ物が食べれなかったり嘔吐が続いたりと、大変な事もあり何度も入院してきました。
胃ろうを始めた事で医療ケア児にもなりましたが、私たちの想いとしてはあやが生まれて来た時から何も変わっていません。
医療ケア児になろうと、みんなと同じ生活は何とか送れるし、恥ずかしい事でもないから、あやを隠していくつもりもないです。
それに、病気があろうと誰よりも幸せになれると思っています。
あやは必要なケアが胃ろうだけですが、それでも他の家族と同じように色んな所にお出かけできるし、姉兄の友達から沢山可愛がってもらったり、家族旅行にも何度も行きました。
大変な事もあるけれど、その中でも当たり前の日常を楽しんでいます。
それら全てあやが生きてくれてるからこそ味わえる日常だと感じています。
命に関わる病気ではないけれど、それでもただ座る、食べる、歩く、喋るという当たり前は決して当たり前じゃない事を日々あやの周りのみんなが教えてもらっています。
これから先大変な事ももちろんあると思うけど、それでも家族みんなが楽しそうに笑っていたらそれだけであやも幸せに感じてくれるかな。
親がいつも悲しい顔してごめんね、って気持ちが現れてたら子供はきっと自分を責めるだろうからそんな想いはさせたくないです。
あやはただひたすら頑張ってるんだから一緒に前向いて頑張っていこう。
だからまず親の私たちが家族を楽しませよう。
そんな想いで日々家族と過ごしています。
サイトメガロウイルスを予防するために
サイトメガロウイルスはどこにでもいるウイルスだからこそ、こまめな手洗いや、子供の食べ残しを食べない、コップや箸を共有しない、など本当にちょっとしたことが予防につながります。
完全に防ぐのは難しいですが、まずはこういうウイルスがあることを知り、自分は大丈夫だと思わずに妊娠中だけでも気にかけて、注意しておく事が大事です。
私はこのウイルスに感染してしまった使命として、サイトメガロウイルスの名前を少しでも広めたいと思いInstagramで発信したり、ポスターを作って啓発活動をしています。
知識は予防につながります。同じ悩みを持つ人が1人でも減るよう願っています。
*こちらの記事やポスターの内容は医療監修が入ったものではありませんので、ご了承いただければ幸いです。
あやちゃんのYouTube動画はこちら↓