こんにちは、アンリーシュのなおこです。
みなさん、災害への備え、していますか?
24時間人工呼吸器などを使う医療的ケア児にとって、地震や台風による停電は命に関わる問題であり、これらに備えて非常用の電源を確保しておくことは急務です。
今回は、人工呼吸器を動かすための非常用電源の一つである空気発電池「エイターナス」について、株式会社リジェンヌの代表 大林宏至さんに、お話を伺いました。
目次
電源を確保する方法
政府は、災害に備えて「水や食料を3日分は確保しておきましょう」と伝えています。また、大規模災害発生時には、「1週間分」の備蓄が望ましいとされています。
(首相官邸のホームページより)
ならば医療的ケア児の生命線となる「電源」も、大規模災害発生時にむけて備えておいた方が良いと大林さんは考えていらっしゃいます。
ーーー自然放電? 貯めてある電気が減っていくということですか?
その通りです。携帯用のモバイルバッテリーや家庭用の乾電池などは、何もしなくても少しずつ放電して、残量が減ってしまうんですよ。
ーーーそれは知らなかったです…電池とかめっちゃ買い置きしていました。
よく見ると、使用期限が書いてあるはずですよ。
最近は非常用ということで使用期限が数年~10年近くと強力なものも出ていますが、いずれにせよ、いざ使おうとなった時に残量が少なくなってしまっていたら備えとして有効ではないですよね。
これらの問題をクリアした「非常用電源」が、私たちの扱う空気発電池「エイターナス」です。
災害時の非常用電源として有効な空気発電池「エイターナス」とは?
ーーー「エイターナス」、初めて聞きました。
空気に触れると発電する電池です。専用の保存袋に入れており、使用時になったら取り出して発電させます。
自然放電が一切ないのが大きな特徴で、災害時の備えとして非常に有効です。
しかも空気を再び遮断すれば発電が止まるので、大切な電気を少しずつ使うことができます。
ーーー「発電池」とはどんなものなんですか?語感から、発電する電池?みたいなものかな?と…
その通りです。というか、仕組みとしては実は「巨大な空気亜鉛電池」なんですよ。
なので、普通に家庭ごみとして捨てることができます。電池を回収する日に。
「エイターナス」で人工呼吸器を動かせる?
ーーーこの製品はどのぐらいの時間、医療機器を動かすことができるんですか?
人工呼吸器ですと、機種や運転条件にもよりますが、30時間から50時間の連続運転が可能です。
また、重さも約2.5キロで、女性でも持って移動することができます。
避難しなければいけないとなった時、動かせないようでは困りますからね。
2018年の9月に、北海道で大きな地震があり、一時道内の全域が停電したことがありましたよね。
あれ以来、国から全国の自治体へ、非常時の電源をある程度確保しておくよう通達が出ました。
なのでこの空気発電池は自治体や大企業にも買われているんですよ。
北海道の地震をきっかけにエイターナスを販売していこうと思った
私は、ずっと産業廃棄物処理に、技術者として関わってきたんです。
こちらの商品を知ったきっかけも、使用済みの製品の廃棄処理に関する相談を受けたことでした。
そして、「自然放電しない」という特長を知り、それが本当に素晴らしいと思ったんですね。
ーーー技術者ならではの視点ですね。
実は、父が北海道の生まれで、今も親戚が北海道にいるんです。
2018年の北海道胆振東部地震では、多くの親戚や知り合いが長時間の停電を経験しました。
あの時、最長で3日ほど電源復旧に時間がかかったんですよ。
それ以来、非常時に電源を確保しておく必要性を強く感じて、「エイターナス」の素晴らしさをもっと伝えていこうと思ったんです。防災に関するnoteも始め、非常用電源について発信しています。
こちらがそのnoteです。防災についてわかりやすく書かれています!
空気発電池「エイターナス」を個人で買って備えるには
このエイターナス、お値段はおいくらなんでしょうか?
人工呼吸器の電源として使うためのDC12Vシガーソケット用セットで、88,000円(税込)です。
ーーーちょっと高いですね…!
高いですよね。私もそう思います。それでも、試行錯誤して、当初の1/9にできました。これにより、空気発電池を外部電池としてカーバッテリーの代わりに使用することが可能となりました。なので、人工呼吸器専用のDCケーブル(シガープラグ)をご用意して頂く必要があります(オプションとして販売されています)。
(補足)
「空気発電池」を人工呼吸器用に使うためのDC12Vシガーソケット用ケーブルとのセット価格で、88,000円(税込)です。このセットと人工呼吸器をつなぐためのDCケーブル(シガープラグ)を用意していただく必要があります。こちらは、人工呼吸器のオプションとして用意されているものなので、当社にお尋ねください。
なのでなかなか、個人で購入するのが難しいとは思うんですが、でも、個人のお家こそエイターナスを備えておくことが必要だと思うんです。
特に医療機器を使っているご家庭には備えておいて欲しい。
そんな思いから、高額なエイターナスを一括購入するだけでなく、毎月定額のリーズナブルなプランも始めます。
さらに、国や自治体では、災害対策の助成金や補助金制度も新たにでき始めています。例えば、2020年10月から、東京都足立区で「発電機・蓄電池・カーインバーター」が日常生活用具の種目に追加されました。(足立区ホームページより)
残念ながら発電池エイターナスは今はまだ給付対象ではありませんが、今後利用者家族の希望により給付対象になる可能性は十分にあります。
読者の皆様にも、「こういう理由で、エイターナスが必要だから、日常生活用具の対象にしてほしい」と、お住まいの自治体の福祉課や、地域の議員さんに相談してみてもらえたらと思います。
地域住民皆様の声が、安心して暮らせる社会づくりにつながっていきます。
確かに、発電機などが日常生活用具の対象になるケースは全国で少しずつ出てきています。
これからも日本全国でこのような補助制度が増えるといいなと思います。
みんなで声を上げ、訴えていくことで、地域の医療的ケア児者全員を救う、大きな一歩になるかもしれませんね!
空気発電池「エイターナス」は、こちらのHPで詳しく書かれています。
不明なこと、お聞きしたいことがありましたら、株式会社リジェンヌの大林さんに相談してみて下さいね!ご要望も大歓迎とのことです。
貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!
非常時に医療機器を動かすための電源確保には、いくつかの方法があります。
などですね。
このうち、発電機はガソリンを燃料とするものが多く、取り扱いに危険が伴います。さらに燃焼時に一酸化炭素が発生するので、屋内で窓を締め切って使ったりすると事故につながります。
車からの電源は、車を持っていないとそもそも使えません。
蓄電池は備えとして有効ですが、これらは気をつけないと「自然放電」してしまいます。