12月はインフルエンザや感染症が流行する時期。
私たちはワクチンを摂取したり、具合が悪くなったらお薬を飲むなどしながら、日々を健康に過ごすことができています。
お薬は製薬会社で作られて、病院や薬局を通して私たちの手元に届きます。
ですが、病院や薬局で扱う薬の量は膨大なもの。その都度製薬会社に問い合わせてお薬を注文していたら、とても業務は回りません。
それでは、その役割を誰が担っているのでしょうか?
製薬会社と病院や薬局を繋ぐお仕事…それが医薬品卸です。
医薬品卸の皆様がどうやってお薬を安全に届けているのか、「医薬品卸(おろし)業」であるアルフレッサ株式会社、名古屋西事業所に見学に行き、教えていただきました!
アルフレッサ株式会社「名古屋西事業所」の見学
今回お邪魔したのは、アルフレッサ株式会社の、「名古屋西事業所」。
愛知県の西南部にある病院・診療所・薬局・検査センターなど、約1,500軒に医薬品を届けている、アルフレッサ株式会社の愛知県の拠点です。
お伺いすると、広々とした駐車場に2階建ての大きな建物が…
1階が医薬品倉庫、2階が事務所となっていました。
事務所見学
とても活気がある空間で、皆さん笑顔で挨拶をしてくれます。
何人か質問をさせて頂きましたが、「自分が担当している病院では…」とお話を聞かせて下さり、ただお薬を届けるだけでなく、薬局や診療所の方たちに寄り添いながらお仕事をされているのだな…と感じました。
お昼近くになると、皆さん訪問先へと向かってしまい、事務所が一気に静かな空間になったのも印象的でした。
倉庫の見学
次に、お薬を管理している1階の倉庫を案内していただきました。倉庫の入り口には、配送の車がたくさん停まっています。
配送は、ルート(届け先)が決まっており、1ルート約40軒の病院やクリニック、薬局を回るそう。
届け先ごとに必要な薬がコンテナに積まれ、そのコンテナを配送ルートに合わせて車に乗せていきます。
女性のスタッフの方もたくさんいて、皆さん時折笑顔を見せながらテキパキと働いていました。
倉庫の奥は、医薬品の保管倉庫。
危険度や保存の温度によってお薬は分けられ、厳重に管理されていました。
「医薬品卸」とは?
アルフレッサ株式会社は、全国に132もの拠点を持ち、グループ会社を入れると47都道府県全てを網羅する、医薬品卸会社です。
その子会社であるエス・エム・ディ株式会社はスペシャリティ医薬品と言われる、患者数が少ない希少疾患や、厳格な温度管理・在庫管理・セキュリティ管理が必要な製品を多く取り扱っています。
以前アンリーシュでは、アルフレッサ株式会社の物流センターにもお邪魔させて頂き、製品の管理の方法や災害時の対策についてお話を聞かせて頂きました。
卸の役割
医薬品卸の役割は「医薬品を安全かつ安定的に供給すること」です。
医薬品を、
- 必要なときに
- 必要な量を
- 必要な場所へ迅速・確実に供給すること
を使命としています。
各製薬会社からの薬の発注・受注・管理を一手に引き受け、効率よく病院や薬局に届けます。
また、ただ薬を届けるだけでなく、医薬品などに関する情報を収集し、販売先に提供する情報業務や、診療報酬や経営に関する疑問に対応するコンサル業務など、幅広い役割を担っています。
卸の取り扱い品目
私たちがイメージする一般的なお薬だけでなく、医薬品卸はたくさんの医療関連商品を取り扱っています。
- 医薬品
- 医療機器
- 検査試薬
- 栄養食品
- 介護用品
医薬品だけでなく、医療機器や食品・劇物など幅広い品目を取り扱っています。そのため、それぞれの品目にあった保管管理・運送方法が求められています。
また、医薬品は生命に直接関連する商品であるため、取り扱いには厳しい法的規制が設けられており、それを遵守することも大切な役割です。
今回見学させて頂いたアルフレッサ株式会社「名古屋西事業所」でも、複数の鍵が設けられている保管室がありました。
また保冷管理が必要なお薬は、4℃に設定された特別なエリアで保管されていたり、横に倒すのは厳禁の薬もあったりとこんなに管理方法があるのかと驚きました。
そして、ただ保管するだけでなく、それぞれの状態を保ちながら病院や薬局まで届けることができる高い物流機能が本当に素晴らしいと感動しました。
見学を終えて
今回の見学を通して、医薬品卸の皆さんは本当に地域のクリニックや病院に寄り添い、仕事に向き合っていると感じました。
倉庫では、病院に届けるお薬だけでなく、災害時のための備蓄なども行われていました。
また、今回の記事では書ききれませんでしたが、お薬の回収業務や副作用に関する情報収集・報告業務なども担っていました。
医薬品卸は、安全にお薬を提供する上で本当に欠かせない存在だと改めて実感し、感謝の気持ちが湧いてきました。
医薬品卸という職業は、私達の普段の生活の中では、なかなか知る機会がありません。
この記事を通して、治療を頑張っている方に「こうやって、私達を応援してくれる方たちもいるんだ」と知ってもらい、勇気を与えるきっかけになると嬉しく思います。
快く迎え入れてくださった名古屋西事業所の皆様、ありがとうございました!