【アンリーシュライブラリー】ワンダー 君は太陽

こんにちは、長谷部さちこです。

これからアンリーシュで参考文献として医療分野に関係する映画や書籍のご紹介をしていこうと思います。記念すべき第1回目はスティーヴン・チョボスキー監督の「ワンダー 君は太陽」です。

ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーリスト第1位、全世界800万部突破、シリーズ累計1,200万部を記録をした書籍の映画化作品。

なんだか話題になっていたような気もするけれど、映画は未鑑賞でした。鑑賞前にストーリーをググってみると遺伝子の疾患、トリーチャーコリンズ症候群の主人公が学校に通い、周囲の人と一緒に成長していく物語とのこと。

「ふむふむ、良くあるハンディキャップを持った主人公が頑張る感動ストーリーかな」と思っていましたが、映画を見終わったあとはハンディキャップの有無なんて全然関係なく、ただただハートフルな映画でした。主人公のオギーの周りにいる大人たちがとにかく優しくに満ち溢れているんです!

なんだかちょっと疲れてしまったな…という時に心を優しく温めてくれる映画でした。Amazon Primeでも配信されているのでぜひ観てみてください。

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(画像引用:Amazon

あらすじ

「僕は普通の10歳の子じゃない」オギーは遺伝子の疾患で、人とは異なる顔で生まれてきた。27回の顔の手術のせいで自宅学習を続けてきたオギーだが、両親は息子を外の世界へ送り出そうと決意する。だが、5年生で入学した学校で、オギーはいじめや裏切りなど初めての困難と出会う。幾度もくじけそうになりながら、家族の愛を勇気に変えて立ち向かうオギーの姿に、周囲の人々が変わり始める。そして忘れられない1年を締めくくる修了式の日に、最大の出来事が待ち受けていた──。(Amazonより引用)

「ワンダー 君は太陽」を好きなセリフから読み解く

・「心は人の未来を表す地図で、顔は人の過去を表す地図なの」

自分の顔が「普通」とは違うことに気付いており、好奇の目で見られることも承知の上で学校に行くことを決意したオギーですが、やっぱり周囲の視線は苦しいものだったのでしょう。

学校に初めて行った日の夜、「ごめんね」とママを気遣った上で「どうして僕は醜いの?」とママにとっては一番辛い質問をしてしまいます。「あなたは醜くないわ」と答えた後、ママは「心は人の未来を表す地図で、顔は人の過去を表す地図なの」とオギーに伝えます。

オギーの顔にはこれまでに経験した27回の手術の跡が刻まれていますが、オギーの顔は過去の地図であると教えるのです。未来は心が作るものであって、この顔で生きていくから未来が辛くなるのではない、オギーの心の在り方で未来はどんな風にも変えられるとママは伝えるのです。

生まれ持った性質をコンプレックスとしてしまい、思うように生きられなくなってしまうことは往々にしてあると思います。でも自らの人生を恨んでも未来は開けません。

ママがオギーに残したこの言葉はかつての大統領、リンカーンが残した名言「Where there is a will, there is a way ~意志あるところに道は開ける~」に通じる言葉だなと感じました。

・「世界はすばらしすぎて気づかれない」

オギーのお姉さん・ヴィアが主演した舞台『Owr Town』の劇中のワンシーンにあるこの言葉。主人公は「もうダメ、やっていけないわ」と自らの人生に終止符を打つことを望みますが、「ひと目だけ」とこれまでの人生を顧みます。

すると、目の前は嫌なことだらけで光なんて見えないように感じてしまうものの、いつも味方でいてくれるお父さんやお母さんと過ごす家族の時間、ゆっくりと時間を刻む時計の音、身も心も満たされる素敵な料理、疲れを癒してくれる暖かいお風呂、ホッとリラックス出来るコーヒーの香りがいつも包んでいてくれたことに気付きます。

また、どんなに悲しくてやるせない日にも夜が来て、朝が訪れます。眠って朝、目が覚めることで何度でも新しい毎日をやり直せるのです。

そんなことに改めて気がついた主人公が「世界はすばらしすぎて気づかれない」と思い直すシーンに胸を打たれました。余裕がない時、誰かに優しく出来ない時こそ私たちは大事なものを傷つけてしまっているのかも知れません。世界はみんな、きっと優しい。そんなメッセージを感じました。

・「人をいたわれ、みんなも戦っている」

修了式で校長先生が全校生徒に送ったこの言葉。会衆派教会牧師であり、社会改革者、演説家のヘンリー・ウォード・ビーチャーの言葉の引用だそうです。私はこの言葉がとても好きです。

「人に優しくしよう」という言葉を良く聞きますが、私はなんだか「人に優しくしている自分」が「優しくしている相手」よりも上の立場にいるような気がしてなんだか「そんなたいした身分じゃないのになぁ」と思ってしまいます。人の手を引いてあげられるほど懐は深くないし、自分自身のことで精一杯だな、と思ってしまうのです。

でも「人に優しくする」ということは「相手も自分と同じ人間である」と認めることと同じではないかなと思っています。相手も自分と同じ人間であるからこそ悩んだり頑張っていると思うこと、自分だけが悩んだり、頑張ったりしているのではと思うこと、それが「優しくする」ことなのではないかなと思っています。

私はあなたであって、あなたは私、そんなフラットな思いを持ちたいと日々思っています。

そのほか、「ワンダー君は太陽」レビューまとめ

・主人公のオギーが自分のコンプレックスに打ち克つだけではなく、周囲の人もそれぞれ悩みや迷いがあることがしっかり描かれていた点が良かった。登場自分物の悩みや迷いの糸口が束ねられ大きな勇気となって物語が進んでいく展開が良かった。

・新しい世界に一歩足を踏み入れること、それは自分の世界を広げるだけではなく知らないうちに他の人の世界も変えていることに繋がるかも知れないと気付かされた。みんながお互いに手を取り合っていて励まし合っているからこそ、誰ひとりとして孤独ではないと思う。

・周囲の理解とよく言われるけれど、周囲にいる支援者が建前ではなく本音で本人のことを心から理解し考えているか考えさせられた。オギーの周囲には建前で彼に優しい言葉をかけている人は誰も居らず皆本心でオギーを愛していることが伝わった。暖かい世界だった。

終わりに

観終わった後、ただただ優しい気持ちになれるこの映画。誰しもが皆何らかの事情を抱えていて、でも周りを気遣っていて。「助け合い」や「絆」という言葉が薄っぺらく感じてしまうほどでした。でも他にぴったり合う言葉も見つけられないのが残念です。

他にも映画の中で出てくるオギーやヴィアの部屋がとっても可愛かったり、オギーの家で飼われている愛犬デイジーが名演だったりと見所がたくさんです。また、ここでご紹介した名言以外にもたくさんの格言、名言が登場します。皆さんのお気に入りの名言もぜひ探してみてくださいね!

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