選択肢が少ないからと、選ぶことを諦めてきた──。 そんな「声なき声」を「仕方ない」で終わらせたくない。 社会と家族がもっと繋がり、さらに理解し合えることができれば、 医療的ケア児だけでなく、すべての子どもたちの選択肢が広がり、 それぞれが自分らしく未来を描けるはず!!
『Wayプラスプロジェクト』は、社会と当事者家族が互いに一歩踏み出す勇気と、理解し合える場を作ることで、社会と家族を繋ぐ架け橋となり、 すべての子どもたちが、可能性を諦めずに挑戦できるプロジェクトです。
医療的ケア児ご家族と社会の架け橋となり、互いの声を届ける活動報告です。
アンリーシュフレンズのあいちゃんが、いつも愛用している車いすを作ってくださっている有限会社エム・アイ・ケアーを見学!
普段見ることはできない工房を見学しました。
作っている方達の想いも知れるとてもいい機会になったのではないでしょうか。
今回はエム・アイ・ケアーさんが教えてくださったバギーや車いすのことをまとめてみました。

アンリーシュフレンズのあいちゃんが見学しました!
目次
展示会で探してみよう!
福祉機器展のような展示会では、数多くのバギーや車いすが展示されています。色んな種類があって色んなデザインがあって。なんだかとっても楽しいですよね。
ただ、バギーや車いすは補助金を使って作成することが一般的です。どんなものでも作れるのか…そんな疑問はありませんか?


中にはそれぞれの販売店独自のオリジナル商品があったりするので、そのあたりはリサーチが必要だと思います。
販売店や作成を進める施設で、よく使用する商品になることもあるので、選択肢を広げる意味で展示会やSNSでのリサーチをしておくと、話し合いもスムーズかと思います。
展示会で幅広い選択肢を見ると、自分の子どもに合う最適なモデルを選びやすくなるそうです。
買い替え時期は決まっている
耐用年数というものがあります。
車椅子の耐用年数は6年。
児童の場合は、成長・体型変化・状態変化などの理由で合わなかった場合は、6年以内でも新規作成が可能なケースが多いそうです。

みんなは分かる?この違い
バギーや車いす、なんとなく違いがあってどうゆうものを選択したら良いのか分からないですよね。
どういう部分が違うのか教えてくださいました。
タイヤの大きさの違い
車椅子とバギーでは、車いすの方がタイヤが大きいことが多いようです。
また外国製のバギー、例えば石畳の多いドイツのバギーは、前輪も後輪も日本のバギーより大きい。
タイヤが大きいことのメリットは、ガタガタ道での乗り心地が良い!ということ。
段差なども乗り越えやすいので、動きやすいという利点があります。
「空気入りのタイヤ」と「空気を入れないタイヤ」の違い
「空気入りのタイヤ」のメリットは、タイヤ自体が沈んでくれるので、乗り心地は抜群!
実はこの乗り心地は、押している側はあまり感じないこともあるそうですが、乗っている本人は乗り心地の良さを感じることができています。
ただし、自転車と同じで数ヶ月に一度は空気を入れないと、沈み込みすぎて、押すのが重たく感じるので注意が必要です。
また、「空気を入れないタイヤ」は、基本的にメンテナンスフリーなので、出先でパンクをしてしまうなどの不安がありません。(溝が減ればタイヤを交換しましょう!)
座面の高さの違い
座面の高さにも違いがあり、バギーの方が車いすよりも座面が高いものが多くあります。
座面の高さを選ぶ際は、
・抱きかかえて移乗する時の移乗のしやすさ
・自分で乗り降りするしやすさ
・オムツ替えやケアのしやすさ
・福祉車両に乗せるときに天井に当たらないか
・荷台スペースの確保はどうか
など、チェックするといいそうです。
「背の低いママさんだと高すぎると前が見えないこともある」など、押す側のリアルな声も教えていただきました。押す側の使い勝手なども考慮する必要がありそうですね。
アンリーシュフレンズあいちゃんの工房見学
アンリーシュフレンズのあいちゃんが、いつも使っているバギーの制作現場に行かせていただきました。あいちゃんも興味津々で写真をたくさん撮影したそうです。
玄関を入ると…社長の車いすコレクション!
今回見学させていただいたエム・アイ・ケアーさんの社長様は車いすユーザー。玄関に入ると、社長の車いすコレクションがずらり。
希少価値の高いものや珍しい形のものがたくさんありました。
会社全体はバリアフリー設計で、車いすの方もスムーズに動けるように作られています。

ワンちゃん用の車いすやスキーをするための車いすなどもありました!!
いよいよ工房見学!
工房に入ると、大きな材料を削る用の機械があり、座面のクッションを削る作業をしていました。
削り出されたクッションを、職人さんが丁寧に表面をならして仕上げていく姿がとても印象的でした。
さらに奥には、装具を作る部屋も。
普通のミシンとは違い、ポストミシンという特殊なミシンがあり、靴の丸い形に合わせて立体的に縫えるようになっています。
皮を薄く削る「皮漉き機」やプラスチック製のものを加工するオーブンなど、初めて見る機械ばかりでした。
「一発勝負なんです。失敗したらまた作り直しで…」という言葉に、靴一足への愛情と緊張が詰まった現場を感じることができました。
クッションカバーの縫製室では、メッシュやナイロンなどの布がずらっと並び、
「肌が弱いお客様には柔らかいメッシュ」
「蒸れやすい子には通気性のいい生地」
など、一人ひとりに合わせた素材がたくさんありました。
日除けも一から手作りしていて、大きさや好みによってオーダーメイドで作られています。
ものづくりの丁寧さと、「その子に合ったものを作りたい」という職人さんたちの想いを強く感じました。

エム・アイ・ケアーの職人さんたち
まとめ
毎日使っているバギーや車いすは、誰かの手でひとつひとつ作られている。しかも、使う人の身体や生活に合わせて、細かい部分まで調整されているということを知ることができました。
使う側もどこまで希望を叶えてくれるのか…どんな要望を言ったら良いのか…悩むこともありますよね。最後にエム・アイ・ケアーの松田さんはこう話してくれました。

作り手側では気付けないこともあり、勉強になることも多々あります。それが次のユーザーさんでの作成の工夫につながることもあります。
体に合う形、生活に合ったサイズ、家族の負担、子どもの好み…。
すべてを考えて、たくさんの職人さんの手を経て一つのものが出来上がっています。
普段何気なく使っている福祉用具の裏側には、たくさんの人の丁寧な作業や想いがつまっていることを知り、あいちゃんも大切に使おうという想いが湧き上がっているようでした。

アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児あおいを育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅でも出来る活動にチャレンジ中!!
