支援機器を素人ママが作ってみた‼️ 〜特別支援学校の教育事情〜

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
Rumi 様よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

皆さんは、特別支援学校がどのような授業をしているのかご存知ですか?
意思表示が難しい重度障がいの子どもの教育は、あらゆる支援機器を用いて行なっています。アナログなものから、ICT教育と呼ばれるハイテク機器などさまざまです。

今回、『支援・意思伝達装置を作るイベント』が開催されていましたので、参加してみました!
そこで感じた「主催者の想い」や「教育の可能性」などを紹介させていただきます。

 

特別支援学校での教育

アンリーシュフレンズのあおいは、特別支援学校に通う小学5年生です。
重度肢体不自由児で、モノが見えているのか・音が聞こえているのか、医学的には難しいという判断をされてきました。
意思表示はあるのですが、どこまで理解ができているのかイマイチ分からない部分もあります。
学校に行けることはとても嬉しかったのですが、学校でどういった授業をするのか全く知りませんでした。

医療的ケアがあるため、入学してしばらくは付き添いをしていました。1.2年生の間は、教室で授業の様子を見ていました。その中で先生方の工夫や支援機器を知り、とても面白いなと感じました。

スイッチや手作りの補助具を使った授業

特別支援学校には、授業で使う支援機器や補助具がたくさんあります。

言葉をうまく発することの出来ない子は、スイッチを押すと音声が流れるVOCAというものを使っています。
朝の会の時、あおいも司会をします。
あおいがスイッチを押すと、先生の声ではあるのですが『今から朝の会を始めます』と聞こえてきて感動しました。

Tomoko
スイッチを押すタイミングはあおい任せなので、なかなか押してくれないと朝の会が始まらないという事態におちいります(笑)
見てる側としては『早く押して〜』と、いつもヒヤヒヤしてたんですけどね。

先生は「待つのが大事!」とあおいの動きをいつも待っています。
そして押せたら『褒める!』『盛り上がる!』というとても賑やかな授業が行われています。

他にも牛乳パックに絵の具を入れて紐をつけ、引っ張れば絵の具が垂れる手作り感満載の先生たちの手作り補助具など、たくさんあります。

そのようなものを使いながら特別支援学校の授業は、「子どもたちが出来ることを引き出す授業」を大切にしているようでした。

色んな工夫が詰まった学校の作品(アンリーシュフレンズあおい)

 

ICT教育で広がる可能性

ネット環境の発展により、特別支援学校の教育も発展していると思います。
iPadをつかった授業はもちろんのこと、分身ロボットの「OriHime」だったり、視線入力も授業で積極的に使われています。

最近では学校で脳波で動く「necomimi」というのも使っているみたいです。
特にnecomimiは見た目も可愛く、なかなか表情が出づらい子でも意思を表してくれているようで、親としても、とても嬉しく感じました。

あおいも学校で試させてもらって、しっかりと反応を見ることが出来ました!先生がその時の様子を動画を見せてくださってとても嬉しかったです。

昔から脳波を用いたものはあったそうなのですが、エンタメ性を持たせた道具の登場はますます発展を遂げそうです。

アンリーシュフレンズのトトちゃんもネコミミを使ってるよ!

スイッチを作ってみた!

今回、イベントを開催してくださったのは福岡を中心に活動されている「マジカルトイホークス(マジカルトイボックス非公認)」の皆さんです。
主に、特別支援学校の先生方が中心で、シンプルテクノロジーを広めるべく支援機器の制作会や学習会を行なっています。

参加者は、特別支援学校の教職員の方や病院の保育士さん、特別支援学校に通う保護者などです。

「Magic Carpet(マジックカーペット)」

まず最初に紹介されたものが「Magic Carpet(マジックカーペット)」というものでした。
床に映し出された映像はとてもキレイでびっくりしました。色んなゲームやアプリがタブレット端末で操作可能です。
体験させていただきましたが、とても楽しかったです!

マジックカーペット内のアプリ

参加者の先生の一人が「子どもたちはこうやってできますね!」と、床に寝そべって試していました。先生の頭の中には、子どもたちを常に思い浮かべているんだなと、なんだか嬉しくなりました。

 

一人一人に合わせたスイッチ

会場にはたくさんのスイッチやオモチャが並べられていました。
今まで作ってきた作品とのことで、その説明をしてくださる先生たちの記憶にもやはり、それを使う生徒さんや利用者さんが思い浮かばれているようで、「これは、あの子に使ってもらうために作ったんだ」というお話も聞くことができました。

障がいのある子は、動きが制限されていることがあります。その子が出来る動きにあったスイッチを選ぶことが大事で、その行動をしたのちに「何が起こるか」「そのことに興味を持てるか」ということがさらに重要とのこと。

主催者
子どもが興味を持てないものをやらせたって、その行動はすぐに忘れ去られてしまうんですよ。

私はこの言葉にハッとしました……

自ら遊ぶことがない娘にちょっとでもおもちゃで遊んでほしくて、無理やり手を掴み、おもちゃを触らせていたのです。
子どもにしてみれば、急に何かを握らされてブンブン振り回されてる嫌な感覚でしかなかったのかもと……

そう心配する私に先生は、

主催者
大丈夫ですよ!子どもも最初は何をしているか分かってないかもしれない、だけど周りの人が喜んでいる姿を感じ、それが嬉しいと思うようになるかもしれない。その繰り返しでいいんです。

その言葉に救われた気がしました。

重度障がいの子どもの親には、こんな悩みはないでしょうか?
「何をしてあげたら楽しいのか分からない…..」
「この子が何をしたいと思っているのか分からない……」
私はこれが分からず諦めてしまうこともありました。
しかし先生たちは子どもたちを観察し、少しの変化も見逃さず、どうしたら子ども自らの行動が引き出せるのか、あらゆる手を使って探しているようでした。

これが教育の原点なのかなと感じました。

制作開始

BDアダプタとフィンガースイッチの制作

今回私が作ったのは「BDアダプタ」「フィンガースイッチ」

以前、学校の先生があおいのために作ってくれたものがフィンガースイッチでした。
キットはだれでも購入ができます。
ただ、ハンダ付けが必要……学生の頃に技術の授業でやったことがあるような記憶はあったのですがコレが意外と難しく、久々の集中で体はガッチガチでした!!

ハンダゴテを使ってハンダ付け

支援機器キットの購入はこちら
「エスコアール」

制作過程の気持ちと完成

先生方がとても丁寧に教えてくださり、1時間ちょっとで完成!!

先生の教え方がやっぱり上手い‼️
学校の授業を見ていていつも思っていたのですが、特別支援学校の先生って特に盛り上げ上手ですよね。

Tomoko
ちょっとハンダをうまくつけられただけで「すごいじゃないですか!!」と先生がとても喜んでくださるんです。失敗しても「大丈夫です!」と声をかけてくれて。正直、大人になっての褒められるという体験はちょっと恥ずかしくもあったのですが。
「あ〜子どもたちはこんな中で授業をやってるんだなぁ」「そりゃやる気出るわ!」と思いました。

 

まとめ

娘が特別支援学校に行くことになって、改めて教育とはこういうことなのかと感じることが多々ありました。目も見えない・耳も聞こえない…どうやって理解するんだろう、そもそも理解ってなに??と、人が成長していく過程をこんなにも改めて考えることはありませんでした。
難しい制限があったとしても可能性は無限大。「医者がなんと言おうと、可能性はいくらでもある!」という先生の言葉がとても印象的でした。

参加者の皆さんの目の奥には、子どもたちが常に居るようでとても心が温かい会でした。

今回のイベントは、先生方が独自に開催しているものです。教育の現場で使うスイッチのような支援機器や手作り補助具は100円均一で購入したものを使ったりして、個別に作っていると聞きました。
この先生たちの思いがもっと広がり、教育の現場全体として盛り上がっていくといいなと感じました。

tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅で出来る活動にチャレンジ中!!

医ケア家族を寄付で応援する!【サポーターズ体験記】


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