【心に刻むひと言】 子どもに病気が発覚…わたしが一歩踏み出せたきっかけ

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
RONILO (MAI)様よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

皆さんは『あの時のあの言葉がずっと心に残っている』『あの時の感情は忘れられない!』という経験はありませんか?
医療的ケアが必要な子どもを授かった時、周りからさまざまな言葉をかけてもらったことと思います。

皆さんの体験談をもとに、心に刻まれた言葉掛けをお伝えしていこうと思います。今回は『自分のやることが分かったひと言』というお話です。

医療的ケアが必要だと初めて分かったとき

突然、突きつけられた現実

なんの問題もなく出産予定日を迎えました。
ちょっと出てきにくい…そう言われ大きな病院に救急車で行くことになりました。
その時はホントに軽い気持ちで「救急車、初だなぁ!」なんて思いながら。

そんなのん気な想いは一変しました。子どもが異常をもって生まれてきたことを知り、あたまが真っ白に。

大変なことになってしまった…
周りになんて言われるんだろう…
かわいそうなお母さんと思われるのかな…

子どもの病状を探りながら、そんなことばかり考えていました。

透明のガラス板

出産後1週間で、私は病院に我が子を残し退院しました。その時、世の中があまりにも普通で、ごく日常的な光景が広がっていることにビックリしました。

私の感情は1週間前と後とで、ガラッと変わってしまいました。子どもを出産し、ごく普通の子育てがスタートする予定だったのに、今は全くゆく先が分からない状態。
自分になぜこんな事が起こっているのか……
なぜこんなにも過酷な状況に置かれてしまったのか……

こんな状態の私をよそ目に、世の中は変わらずいつも通りの生活が続いてる……
普通に考えたらそれは当たり前なんですが、その時の私はなぜか世間に対して、批判的な感情をもってしまいました。

病院から帰る車中、私は道を歩いている人との間に、透明のガラス板があるように感じました。私はその人たちと分離させられてしまったと感じたのです。

アンリーシュ
みなさんもこんな経験あるでしょうか?ポツンと取り残されたような感覚。
病院の道中には、さまざまな想いが詰まっていることと思います。

 

心が決まった瞬間

アンリーシュ
そんな状況から一転したのは、誰からの声かけだったんですか?
Aさん
叔母からの一言でした。

周りからなんて言われるんだろう…
なんの不自由もなく順調だったあの子が、病気を持った子を産むなんて…とか思われちゃってるのかな。周りからなんて声を掛けられるのか、不安がつのっていきました。

心に残るひと言
『この子が頑張ってる間は、一緒に頑張ってあげたら良いよ』

この言葉で、どうしたら良いか分からなかった私のゆく道が決まりました!!
『私ができることは、この子を支えること』

先の見えない生活にこの一言で目標ができ、ようやくスタートすることができた気がしました。

 

「関心の輪」「影響の輪」

皆さんは「関心の輪」「影響の輪」というものをご存知でしょうか?

「関心の輪」とは、自分ではどうすることも出来ない事象のことをいいます。
例えば、天気がその一つです。明日晴れるかどうかは分かりませんし、雨を降らすことなんて私たちにはできません。他にも過去の出来事も変えることはできないので、「関心の輪」の領域に入ります。

「影響の輪」は、自分でどうにか出来る事象のことをいいます。
例えば、今日の夕食を考えること。これは自分で決めることができますし、自分の行動次第で変えることもできます。今日1日何をしよう…これも自分が行動することですから、「影響の輪」ですね。

私たちは時に「関心の輪」に目がいってしまい、そこで悩み苦しむことがあります。
自分では変えられないものや、影響できないことに意識を向けて悩んでしまう。
あなたもこんな事ありませんか?

私のこの時の状態は、「関心の輪」の領域に意識が置かれていたのだと思います。それを叔母のひと言で「影響の輪」に導かれたのではないか……
今振り返ると、こういうことだったのかとハッキリと分かりました。

お子さんが病気を持って生まれてきてしまったら、自分のせいだったのではないか、自分に不適切な行いがあったからこうなってしまったのではないかと、一度は考えると思います。
しかし決して、そう思うことは間違いでもないし、この考え自体もあっても良いと思います。

ただ、いつまでもその領域に居ないでください。ある程度したら「影響の輪」の領域に意識を移し、目の前のお子さんを見てあげて欲しいのです。

きっと今、あなたが出来ることがあるはずだから……

 

限りある時間

そんな言葉をくれた叔母も、お空に旅立ってしまいました。余命が短いと宣告された我が子よりも、先に旅立ってしまいました。
叔母をこの子と一緒に送り出せたことは、少し安堵しています。

『どんな人でもいつかは死んでしまう』という事を改めて感じました。そしてその命は短いかもしれないし、長いかもしれない。人と比べるものでもなくて、その人に与えられた時間。

Aさん
私は与えられた時間の中でどう過ごしていくのか…
この子が生まれてきて『限りある時間』ということを意識するようになりました。

 

今できることを伝えるときにかける言葉

この時かけられた言葉は、「希望や前向きな言葉」と言えるでしょう。
同時に「今、何をするべきか」という具体的なことを伝えている言葉でもあります。

人は突然予測不能のことが起こると、思考が停止してしまうことがあります。そして変わることのない事柄に対して、執着することもあります。
まさに「あたまが真っ白」というのは、こういう状態です。

そんな時でも世の中は進んでいきます。『今できること』『未来がどうなるかは誰にも分からないこと』を伝えることで、その人が動き出せるかもしれません。

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まとめ

日頃から「影響の輪」について行動できると、人は前に進むことができます。
これは医療的ケア児を授かったご家族だけにいえる言葉というわけではありません。どんな人のどんな状況でも使える思考なので、頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
また、人は立ち止まることも必要です。声掛けはその人のペースがあるので、常にその人に寄り添った言葉掛けを心がけるのも大切ですね。

tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅でも出来る活動にチャレンジ中!!

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