この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
Free&Clear合同会社 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。
今回は、前回に引き続き、
医療的ケア児家族の就労に関して、
企業にお勤めするママさんのインタビューをお届けしたいと思います。
外で働くことの難しさを感じやすい医療的ケア児家族。
お仕事を続けていくにはどうしたらいいのか…
今後の社会課題にも焦点を充てた内容となっております。
前編・後編と分けまして、
まずは前編にて、どのようにお仕事と医療的ケア児の育児を両立させているのか
インタビューさせていただきましたので、ぜひご覧ください。
企業でのお勤め(純子さんの場合)
現在の仕事
純子さんは、アンリーシュフレンズななみちゃんのママです。
ななみちゃんは、現在特別支援学校に通う小学2年生の女の子。
16番染色体の部分トリソミーで、
体調不良時には在宅酸素や吸引が必要ですが
元気な時はそれも必要なく、主な医療的ケアとしては胃ろうというお子さんです。
純子さんは製薬会社にお勤めされています。
妊娠中にななみちゃんの異常が分かり、上司の方に相談をしていました。
産休・育休をとりながら仕事復帰のために保育園を探していましたが、
医療的ケアがある子を受け入れてくれるところがなかなか見つからず、
区に要望を出していました。
たまたま育休が終了する間際に、家の近くに
日本初の医療的ケア児専門の保育園「障害児保育園ヘレン」が開園。
ななみちゃんを預ける事ができ、仕事復帰となりました。
現在は、会社への出勤と在宅勤務を組み合わせながら、医療的ケア児を育てながら働く事ができているようです。
1日のスケジュール
働き方の工夫
移動支援
純子さんがお仕事をする上で、利用しているサービスの一つに「移動支援」があります。
「移動支援」を通学時に使用しており、
ななみちゃんの朝の支度や家からバス停までの送迎をお願いしています。
朝はななみちゃんの妹さんの支度もあり、とてもバタバタするので助かっているようです。
移動支援は、学校や施設等への通学・通所のための利用は「通年かつ長期にわたる外出」であるため、対象外となっているところもあります。
しかし、ななみちゃんの住んでいる場所のように、最近では通学通所にも移動支援を使える自治体も出てきました。
医療的ケア児家族が働くには、不可欠な支援。
もっと広まってほしいものですね。
【関連記事:通学支援を利用するアンリーシュフレンズひなちゃん】
体調不良時の対応
会社へ出勤しなければ行けない日、ななみちゃんが突然体調不良となった時はどうされているのでしょうか?その場合、いくつかの手段を考えているそうです。
一つ目は、パパに在宅勤務をお願いする。
パパの会社ではコロナ禍に比べると、在宅勤務の回数が減ってきているそうです。
それでも在宅勤務に切り替えられそうな時はお願いしているそうです。
二つ目は、ななみちゃんのおじいちゃん、おばあちゃんに来てもらう。
しかし、おじいちゃん達は医療的ケアが出来ないため、訪問看護やヘルパー、在宅レスパイトなどを
うまく組み合わせて利用しているそうです。
2ヶ所の訪問看護ステーションを利用していますが、それぞれが時間の都合を考えてくださって、「もともと〇〇訪問看護が入ってる日だから、こちらは自費でレスパイトにしましょう」など、提案もしてくれてとても助かっています。
通院などでのお休み
「そもそも通院を減らしました」と、少し意外なお答えが返ってきました。
しかしよくお聞きすると、医療から離れ、社会で生活していくためには
必要な大きな一歩なのではないかと感じました。
ななみちゃんが年長さんの頃、ずっとお世話になっている掛かりつけの病院から、
メインを訪問診療に切り替えてはどうかという提案があったそうです。
ただ純子さんは、慣れ親しんだ大きな病院から離れるのが怖くて、
しばらく踏ん切りがつかなかったと言います。
月に1回病院に通っていたものを訪問診療にお願いし、物品や薬はその訪問診療先から
出してもらいます。
他にもリハビリも訪問で行う形をとり、療育センターへは必要な時だけ行くようにすると、
ななみちゃんも学校を休まずにすみ、純子さんもお仕事でお休みを取ることは無くなりました。
救急搬送や入院は小さい頃から通っていた大きな病院になるので、
3ヶ月に1回の受診は必須とのことです。
でも実際、慣れ親しんだ大きな病院から少し離れて、訪問診療の先生にお願いするのは不安ではなかったですか?
結果大きな病院に行った時に主治医に「病院に連れてくるのが遅い」と言われたり、早く行きすぎて、「これならお家で診れるね」と言われたり…
トライ&エラーを繰り返し、どのタイミングで大きな病院へ行くべきか、判断が難しいと感じていました。
お医者さんの立場からの意見も聞いていると判断に迷うんですが、毎回悩みながらもなんとか判断しています。今のように慣れるのに3年は掛かりましたね…
在宅になると、親の判断に大きな負担が掛かるようになります。
しかし、医療から少し離れ地域社会で生活することで、いわゆる一般の人たちのような日常生活を送ることが出来、一歩踏み出したステージを体感できるのではないでしょうか。
訪問看護師さんや訪問診療の先生、訪問リハビリの方の意見を聞きながら、うまく医療と向き合えると良いですね。
まとめ
今回のお話でとても印象に残ったのは、通院する事を減らすという事でした。
私も以前そのような話を出されたことがあって、
病院側から少し突き放されたような想いがし、解釈に戸惑いました。
しかし、今回のお話を聞いて
病院に行かなくても地域でやれる事があり、そのサービスを使う事で日常生活がスムーズに回るのなら、そうゆう選択も良いんだということに気づきました。
『やれる所をやれる人がやる』、お互いに状況を擦り合わせながら
うまく日常生活を送っていけるといいですね。
改めて利用できる制度の見直しや、検討をしてみたいと感じさせられるお話でした。
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅で出来る活動にチャレンジ中!!