医療費控除を改めて見てみよう!

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
simasimatomo 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

医療的ケア児は、色んな制度で守られている部分もあり
最近では、医療費の面でも優遇されている事も多いと思います。

しかし、制度の狭間でうまく制度が使えず
・医療費が掛かってしまう…
・オムツの支給だけじゃ足りない!!
なんて方も多いはず。

そんな方へ、医療費控除の制度を利用してみてはいかがでしょうか?
・コレって控除対象なの?
・なんだかめんどくさそう…
という問題を医療的ケア児の目線でまとめてみました。

医療費控除について

対象期間と提出日

医療費の対象は1月〜12月
確定申告として、3月15日までに提出します。

また、平成29年までは領収書を全て提出する必要がありましたが
現在は、領収書を5年間自宅保管し、
税務署から求められた場合は、提示するようになりました。

ここ注意!!
医療費控除の申請をする場合、課税所得が変わってくる為
ふるさと納税のワンストップ特例制度の申請が無かったことになったり、
適応されるふるさと納税額が変わってくることがあります。

医療費控除とふるさと納税の申告は、あわせて確定申告しましょう。

参考:ふるラボHPより

 

所得税だけじゃない!住民税も安くなる⁉️

医療費控除は支払った医療費が戻ってくる訳ではありません。
その額を元に計算し、支払った税金が戻ってきます。

そして、医療費控除の申請を行うことで、
所得税だけではなく、住民税も安くなります。

住民税のために追加で申告しなければいけない訳ではなく、
医療費控除の申告をするだけで、自動的に翌年の6月以降の住民税が安くなります。

では、実際にどれだけ戻ってくるのでしょうか?
例を参考にして計算してみましょう!!

参考:Money For Wardクラウド給与


ココ注意!「保険金について」
保険金がおりた場合の計算方法は、意外と間違えやすいので注意が必要です。


フィナンシャルフォールドHP
国税庁HP

 

医療費控除の対象

医療費控除の対象となる医療費には、以下のようなものがあります。
この段階でもうイヤになってしまいますね…

でも、よーく見ると
これも対象なのかな??とういものがあります。

医療的ケア児に当てはまりそうなものをピックアップしてみましょう。

 

おむつ使用証明

おむつ、おむつパッドについては、
『傷病によりおおむね6か月以上にわたり寝たきりであり、
医師の治療を受けている者のおむつ代は、
医師による治療を受けるため直接必要な費用として、医療費控除の対象となります』
とありますので、

医師に「おむつ使用証明書」を作成してもらえば、医療費控除の対象になります。
「おしり拭き」は対象外です。
ストマを使用している場合も医療費控除の対象です。

病院に対して証明書料が掛かりますし、
書類作成にも時間が掛かる事もあるので、早めに依頼するのが良いでしょう。

介護保険法では2年目からの「おむつ使用証明書」の免除があるようなのですが、
介護保険ではない医療的ケア児は毎年「おむつ使用証明書」が必要のようです。

参考:国税庁HP『おむつに掛かる費用について』

おむつ使用証明書

 

通院費

公共交通機関による通院費は、医療費控除の対象となります。
また、年齢や病状から一人では通院することが難しい場合は、
付き添いの人の交通費も医療費控除の対象になります。

タクシー利用については、病状からみて急を要する場合や、
公共交通機関が利用できない場合など、特別な理由がある場合は
対象となります。
つまり、福祉タクシーで通院した場合は医療費控除の対象となります。

しかし、自家用車での通院の場合、ガソリン代や駐車場代は
対象外です。

自家用車での通院が認められないのは
荷物の多さや自由度が難しい医療的ケア児の観点からいうと、不条理な気もしますよね。
いつか認められる日がくると良いのですが…

では、証明となる領収書はどうするべきなのでしょうか?

領収書が取れる場合は、それが望ましいですが
メモなどでも良いとされています。
病院へ行った日付や駅の名前、金額等を記したものを5年間、保管しておきましょう。

 

参考:ほすぴた賃貸コラム

 

入院費

自ら個室を希望した場合の「差額ベッド代」は、医療費控除の対象外です。
しかし、医師の判断や病院都合のために個室を使用することに
なった場合は、対象となります。

そもそもこういった場合は、差額ベッド代の支払い自体が必要ない場合もありますので
病院側ときちんと確認をとりましょう。

 

歯科矯正、メガネ、補聴器など

高額になりやすい歯科矯正は、医療費控除の対象となります。
一般的な子どもの歯科矯正や疾病により矯正が必要な場合は、対象となります。
美容目的は対象外です。

メガネも医師の治療を受けるものなら対象となります。
弱視や斜視、難治性疾患の治療のためなら、医療費控除の対象です。

補聴器も治療のためなら対象となります。
診療等を行っている医師の判断に基づき、「補聴器適合に関する診療情報提供書」で
証明している場合、適用が可能です。

国税庁HP「補聴器について」

 

訪問看護など在宅療養の人件費

訪問看護費用は医療費控除の対象ですし、
介護福祉士等による一定の喀痰吸引の医療行為も医療費控除の対象となります。

また、訪問看護や訪問診療をお願いした場合の交通費も
医療費控除の対象です。
交通費が発生している場合は、チェックしておきましょう。

参考:京都大原記念病院HPより

 

児童発達支援や放課後等デイサービス

これらは、一部医療費控除として認められています。
ただし「医療」に関わってくる部分のみに限られ、
医療型以外の施設では、喀痰吸引や注入などの医療行為の対価のみとなります。

とは言っても、「吸引にいくら掛かってます」なんて
請求書には書いてないですよね?
それを見越して、「児童発達支援や放課後等デイサービスの医療型以外の施設は
自己負担額の10%なら、医療費控除の対象になりますよ」と定められています。

調査によると、利用時間のうち10%ほどが医療行為に充てられていると
認識されているようです。

喀痰吸引の医療費控除対象の根拠

厚生労働省HPより

参考:障がい福祉専門の税理士事務所

 

バギーや車イスは対象外

「医師の診察を受ける為に」という文言が付きまとうため、
日常的に使用しているバギーや車イスは対象から外れます。

通院のための一時的な車イスや松葉杖などは対象となりますが、
日常的に使用するものは、障害者控除の方で補っているという見解のようです。

 

在宅医療の医療物品や器具について

医師の指示を受けて行っている在宅での医療的ケア。

『医療用器具などの購入費用で医療費控除の対象となるものは、
医師等による診療等を受けるため直接必要なものであることが必要です』という言葉があり、
『診療を受ける為に直接必要』という言葉が引っかかってくるところでもあります。

その点において、『インシュリン注射の購入費用』についての見解がありました。
家族が行う在宅医療に伴う物品等についても、同じことが言えるのではないかと思います。
参考にしてみてください。

参考:国税庁HP『注射器の購入費用』より

 

 

まとめ

法律で定められた申告は専門用語も多く、難しいと感じる人も多いと思います。

医療的ケア児の現状に特化した専門家も少なく
実際に税務署等に問い合わせても、曖昧な回答が返ってくることもありました。

しかし、医療費控除は法律で認められた権利です。
上手に使って、快適に在宅生活を送れるといいですね。
申告する際は個別にご相談される事をお勧めします。

とても詳しく書いてくれているHPがありますので、ご紹介しますね。

参考:橋本税理士・行政書士事務所

 


tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅で出来る活動にチャレンジ中!!

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