補装具とは

(読み方)ほそうぐ

補装具とは、障害のある方が日常生活上において必要な移動や動作などを確保するために、身体の欠損または損なわれた身体機能を補完・代替する用具のことをいいます。

*今回は障害者総合支援法に定義されている補装具についての説明です。医療保険を利用し、治療のために使用する医療用(治療用)装具とは異なります。下肢装具や体幹装具(コルセット)などはその目的により、障害者総合支援法上の補装具として扱う場合もあれば、医療用(治療用)装具として扱う場合もあるので注意してください。

補装具の種類

具体的な補装具の種類には次のようなものがあります。

肢体不自由 義手、義足、上肢装具、下肢装具、体幹装具、靴型装具、座位保持装置、車椅子、電動車椅子、座位保持椅子(児童のみ対象)、起立保持具(児童のみ対象)、歩行器、歩行補助つえ、重度障害者用意思伝達装置、排便補助具(児童のみ対象)、頭部保護帽(児童のみ対象)
視覚障害 盲人安全つえ、義眼、眼鏡
聴覚障害 補聴器

*身体障害者手帳の等級によって製作できる補装具が異なります。

補装具を作るには(18歳未満の場合)

補装具の処方には原則として身体障害者手帳を取得している必要があります。難病の場合は身体障害者手帳を所持していなくても処方できることがあります。

  1. 市区町村の窓口で製作したい補装具に必要な意見書の様式をもらう
    市区町村によってはホームページからダウンロードできる場合、かかりつけの病院で意見書を用意している場合もあります。ただし、お子さんの状況で製作したい補装具が申請できるかどうか不安な場合は、一度窓口に問い合わせた方がよいでしょう。また、意見書の様式は補装具の項目によって異なります。
  2. どのような補装具を製作するのかを決める
    主治医や担当の理学療法士、作業療法士、義肢装具士、補装具製作業者などと相談して、どのような補装具を製作していくのかを決めます。病院によってどのような職種がどのように関わるかは異なります。補装具はそれぞれの個別性に合わせて設計・加工されるものであり、例えば同じ「車椅子」でも一人一人全く違うものになるため、この過程はとても大切です。
  3. 必要書類を準備する
    指定自立医療機関または保健所の医師に意見書を作成してもらいます。補装具製作業者にその補装具の見積書を作成してもらいます。
  4. 市町村窓口に申請する
    3の書類を窓口に提出します。窓口ではその他、身体障害者手帳、マイナンバー、保護者の本人確認書類、認印などが必要になります。
  5. 市区町村による判定
    身体障害児の場合は市区町村が申請書や意見書により判定をします。場合によって、身体障害者の判定を行う更生相談所に助言を求める場合もあります。
  6. 支給決定
    決定通知書が届きます。
  7. 補装具製作開始

*修理申請の場合も同じような手順となります

負担額について

同一の月に購入または修理した費用を合計した額の1割負担が原則です。ただし、世帯の所得に応じて、以下の負担上限月額が設定されています。

生活保護受給世帯 0円
市町村民税非課税世帯 0円
市町村民税課税世帯 37,200円

*ただし、障害者本人または世帯員のいずれかが一定所得以上の場合(最多納税者の納税額が46万円以上の場合)には補装具費は支給対象外となり、全額自己負担となります。

*希望するデザインや素材等を選択することによりそれぞれの補装具で定められている基準額を超える部分を差額自己負担する場合があります。

その他

  1. 耐用年数について
    補装具の種類によって耐用年数が定められています。耐用年数以内でも、成長が著しくて使用困難になる、障害の状況が変わるなどの場合には再支給のための申請をすることが可能です。
  2. 個数について
    原則として1種目1個の支給ですが、障害の状況を勘案し、教育上等特に必要と認めた場合は2個申請することができます。例えば、学校用の車いすと普段の移動用の車いすなどです。
  3. 訓練目的の支給は対象外
    子どもの場合は「将来、社会人として独立自活するための素地を育成・助長する」ことも補装具の使用目的とされています。しかし、補装具費支給制度は日常生活の能率の向上を主目的としているので、立位訓練や歩行訓練などの訓練目的のみの機器は基本的には支給対象外となります。

出典

  • 補装具費支給事務ガイドブック 公益社団法人テクノエイド協会
  • これ一冊でわかる障害者総合支援法のすべて 柏倉秀克 ナツメ社 
  • 補装具費支給判定基準マニュアル ー支援者のためのー 平成27年度厚生労働科学研究費補助金(障害者対策総合研究事業)補装具の適切な支給実現のための制度・仕組みの提案に関する研究
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