京都のベンチャー(新興企業)が、心臓病患者の心臓を3D(3次元)プリンターで再現した模型が、新しいタイプの医療機器として認められた。高難度の心臓手術の成功率向上や時間短縮につながると評価を集めたことが、国を動かした。
今回のニュースは、3Dプリンターで患者の心臓を精密に再現したこと自体ではなく、一般医療機器として承認されたというもの。開発したのは京都の「クロスエフェクト」。
医療機器として承認される前は、国立循環器病研究センターでしか利用できなかったものが、去年10月の承認により一般医療機器(クラス1)となり、広く利用が可能となった。
先天性心疾患児の治療への期待
心臓疾患は厳密な水分管理や酸素管理が必要になり、経管栄養や在宅酸素など医療的ケアを必要とする場合も少なくない。
記事本文にある通り、難易度の高い心臓手術を新生児期に行う必要のある先天性心疾患(生まれつきの心臓病)の子どもは、年間約3000名生まれている。
先天性心疾患は同じ病名であっても心臓・血管はひとりひとり異なり、複雑に絡み合う形態を把握する必要がある。
さらに、新生児の心臓は大人に比べはるかに小さいことに加え、血管も細く脆いことが手術をより難しくしている。
そんな中、実際に開胸手術を行う前に3D心臓模型でシミュレーションできるのは、素晴らしいメリットになることは間違いないだろう。
開発元であるクロスエフェクト・竹田社長によると、今後の臨床実験を経て3〜5年以内に保険適用を目指すとのこと。
重度の心疾患児は胎児の時に発見されることが多い。
保険適用になれば、複雑な心疾患を抱えて生まれてくる子の命をより多く救えるかもしれない。
また、医師から患者家族への説明への応用なども期待できそうだ。
画期的な心臓模型が広く利用されるよう望む。