こんにちは。医療的ケア児とその家族を支援するメディア、アンリーシュです。
ここでは、私たちに寄せられた、あるママの出生前診断の体験談を公開いたします。
(体験談には個人差がありますので、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。ですが、この記事が出生前診断について迷っている方の、少しでも参考になれば幸いです)
出生前診断を受ける前に
出生前診断とは、羊水穿刺や超音波検査などによって、生まれる前に赤ちゃんの病気や奇形の有無を診断することを言います。しかし、広い意味では、赤ちゃんが産まれる前の子宮での状態を診ることはすべて出生前診断と言えます。
引用:出生前診断とは
出生前診断を受けるかどうかは、遺伝学的専門知識を持っている医師の遺伝カウンセリングを受けるなどして十分に熟考し、最終的には、お母さんご自身がこの診断を受診するかどうかの決定を下すことが大事です。
出生前診断の検査方法
出生前診断の検査は以下の様な方法があります。
- お母さんやお腹の赤ちゃんにとって安全な検査方法…超音波検査、MRI、母体血清マーカー検査など
- お母さんやお腹の赤ちゃんに(低い確率ですが)危険を伴う侵襲的な検査法…絨毛検査、羊水検査、胎児血検査など
よく用いられる超音波検査は、赤ちゃんの臓器の機能異常を見つけることはできません。
また、羊水検査とは、妊娠16週前後にお母さんのお腹に針を刺して羊水を採取する方法です。ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常の診断が可能です。
【体験談】出生前診断を受けた理由、気持ち
Aさん
(出産時:30代・初産・関西地方在住)
ーーー私は、結婚してから6年かかった初めての妊娠でとても期待をしていました。
はじめて違和感を感じたのは11週目で、出血があり検査をしましたが、異常なし。
しかしそのまま少量出血が続き、14週目に大出血。その場の緊急診断で胎児水腫の可能性があると伝えられました。
「この病院では見れない。この状態で生まれてきた子を見たケースがない。50%以上の確率で、染色体異常。すぐに大学病院へ」
そう言われ、私はすぐに大学病院へ転院。
17週目に出生前診断(羊水検査)を受けました。
「受ける人が多い」と言われて、そのときは何も考えずに出生前診断を受けました。
気持ちとしては、「何があっても妊娠継続する」と決めていたからだと思います。
ただ、ものすごくしんどかったのを記憶しています。
何がしんどかったのかな?と思い返してみると、生まれてくる子の病気の有無よりは、「この子と生きて会えるのか」ということだったように記憶しています。
一方で自分の性格的に、羊水検査で病気がわかれば、すっきりするかもと思っていた部分もありました。
当時の心境を綴ったメモ
当時の心境を綴ったメモがありますので公開します。
これから出生前診断を受ける方へ
ーーーわが子の時は、正直深く考えずに受けました。
病気の可能性を告げられて、考える余裕がなかったこともありますが、なにより「何があってもこの子と最後まで一緒にいよう」と自分の中で決めていたからです。
夫はすごく戸惑ったと思います。当時は相当迷っていたようです。(今でもそういう話をします。)
- 「母体への影響はないのだろうか」
- 「生まれるのが早いのか、このまま空に帰ってしまうのが早いのか…そんな病気だったら受け止めきれるのだろうか」
という気持ちが大きかったようです。
不安でいろいろと調べました。同様に出生前診断を受けたご家庭のブログや医療情報を参考にさせてもらいました。
染色体異常についても、専門書などを読んで調べました。
結果が出たとき自分はどのように判断するのか。この判断に「正解」はないと思います。
強いて言うなら「パートナーと話し合って二人で決めた結果」が正解だと、個人的には考えています。
お母さんは、もうおなかの中の命を感じているので、特に判断が難しいと思います。
お父さんは、逆にエコーを通しての子どもの姿しかわからないので、ある意味冷静に話をすると思います。それが、お母さんからしたら、他人事のように感じてしまうかもしれません。
どの結果を選んでも、一度はつらい思いをすると思います。後悔をすることもあるかもしれません。
2人でしっかり意見を交わして、納得して決められたら一番それがいいと思います。
当時、二人で話し合った結果、私たちは妊娠を継続することに決めました。
出生前診断を「この子を生かすために親として何を覚悟しないといけないかを知る」ツールとして利用しました。
病気がわかっていれば、妊娠期間中に気持ち的にも物理的にも準備ができると思ったのです。
娘はその後の検査で浮腫もほとんどわからないぐらいになって無事に産声を上げてくれました。
結果として先天性心疾患は残りましたし、他の疾患とも娘は付き合っていかねばなりません。
たくさん苦労をさせるのかもしれません。それでも今、私たちがこの腕に娘を抱けることは本当に幸せだと感じています。
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