医療的ケア児パパの想い 〜どんな育児をしているのか聞きました

この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
キイロミント 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。

医療的ケア児の育児でクローズアップされがちなママですが、
パパも色んな想いで、子どもに向き合っておられます。

今回はそんなパパ達が
・どんな育児をしているのか
・どんな想いを抱いているのか
をお聞きしました。

パパが行う医療的ケア

普段、どんな医療的ケアをしているのかをお聞きしました。


『胃ろうになってからはケアがしやすくなって、自分も注入するようになった』
『夜ぐらいはしないとマズイかなぁ…と思って』など、
自分の出来るところは…と思うパパの気持ちが見えました。

 

あまり関わっていないお世話や事柄

「やったことが無い」、もしくは「ほとんどやったことの無い」というお世話や事柄をお聞きすると、パパならではの回答が返ってきました。

パパAさん
鼻チューブの交換は、ママがやってくれていたのでやった事がありません。
パパBさん
カニューレ交換は、一通り習いました。在宅に戻ってからは、ママと一緒にやっていましたが、最近はママ一人でも出来るようでやっていません。今やってと言われても、ちょっと怖いかも…
パパCさん
吸引は怖くて出来ないなぁ。
パパAさん
学校行事は平日のことが多いので、行けてないですねぇ。
パパCさん
入院や手術の付き添いは、子どもに「ママが良い」と言われるので、行けてません。日頃の状態を詳しく把握できていないので、主治医と話すのも難しいかも。

日頃、お仕事などで子どもと接する機会が少なく、
医療的ケアはママがささっとやってしまい、自分の出番はあまり無い…といったパパも居ました。

「吸引が怖い」とお話ししてくださったパパも
回数を重ねていけば慣れてくるのかもしれませんが、
お仕事上、慣れるほどの機会もなく、医療的ケアから遠のいているのかもしれないなと思いました。

「自分が主になって働かないと、暮らしていけない」
「まだまだ社会の理解が得られていない」と感じるパパもいて、
家庭のことや医療的ケアのことにもっと積極的に関わりたいけど、
社会との付き合い方で「難しい」と感じているようでした。

医療的ケア以外の育児や家事でやっていること

医療的ケアの事以外では、パパはどんな育児や家事をしているのでしょうか?

パパAさん
子どもが入院した時はママも付き添い入院になるので、家事やきょうだい児の面倒など、仕事をしながらやりくりしています。
週末には付き添い入院を代わり病院に1泊、日曜の夜にはまた家に戻ってきます。
アンリーシュ
平日は家と仕事、週末は病院で大変ではないですか?
パパAさん
近所に私たちの親が住んでおり、夜のご飯などはそちらでお願いしています。
あとは洗濯したり朝ごはんを作ったり。きょうだい児を学校へ送り出すのは大変ですが、それほど苦なくやれています。
病院は看護師さんと話すのも楽しいし、大体のことは看護師さんもやってくださるので、ゆっくり出来る時間もあります。ただ寝る場所が狭くて腰が痛いんです…
アンリーシュ
そうですよね…寝る場所はママでも辛いなぁと思う部分ですから、体の大きなパパさんだと余計にお辛いですよね…

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パパBさん
医療的ケアの子どもをお風呂に入れています。でもそろそろ無理かなぁ…
アンリーシュ
大きくなってきたからですか?
パパBさん
そうですね、体重も重くなって身長も伸びているので、抱っこで入るのは負担が大きいんです。
それに娘なのでいくらお喋りが出来ないとはいえ、思春期にパパとお風呂に入るのはイヤでしょ?親としては寂しい部分もあるのですが。
アンリーシュ
確かに。そこは重度心身障がいのお子さんであっても尊重されるべき部分ですよね。異性のお子さんをお世話する悩みでもありますよね。

 

「コレ聞いてない!!」

日頃、お仕事で家を空けがちなパパはどの程度、
家庭の事や子どもの事を知っているのでしょうか?

・訪問看護師さんはたまに会うが、誰が誰だか分からない。
・子どもの病状をしっかりと把握できていない。
・学校や福祉などの手続きはノータッチ。
・制度については全く分からない。
・いつの間にかSNSに出ていた。

パパにとってビックリするような事実もあったようですね!
ママの言い分をお聞きしました。

ママAさん
子どもの病状に関しては、言われる事が多すぎるし、受診する科も多いので、どこまでをパパに話したか分からなくなるんです。なので、本当に重要なことだけを伝えようと思っています。
ママBさん
SNSは他の方との情報交換がしたくて始めました。パパには許可を取っていませんでしたね。

ママも必死で子育てをしている想いが伝わってきました。
スケジュールのやりくりや、受診にリハ、学校や役所関係などやる事がとても多い。
そんな中で、パパと話す事を忘れてしまっている事もあるようです。

後々、子どもの事で揉めるのは悲しいので
ある程度夫婦で話し合いの場をもつか、
どこまでを任せるのかなど、話しておくのもいいのかなと思いました。

 

パパの想い

医療的ケアについて

「医療的ケア」についての質問をしました。

パパBさん
特に何も思う事はなかったですね。昔は医療的ケアについて関心がなかったですが、今も医療的ケアを特別という想いはありません。それが我が家にとって普通なので。
パパBさん
幼稚園の頃、注入を拒否されたことがありました。自分の子どもが社会に受け入れられない現実を知り、とても悲しくなりました。その時からママにお世話を任せっきりにしていた事を考え直し、自分でも医療的ケアを手伝うようになりました。
パパAさん
最初は絶望しました。だけど今は特に何も…もう慣れましたね。
パパCさん
病院って病気を治すところというイメージで、子どもが寝たきりで鼻チューブをつけて帰ってきた時には絶望しました。病院に放棄されたんだと…。
この子はこの状態で、家で生活していくんだ」という事を受け入れるのは難しく、ずっとこのままなんだなと理解するまで時間がかかりました。

割とすぐに受け入れられたパパと理解が追いつかなかったパパ、さまざまでした。
「医療的ケアがあるのが普通」という事を受け入れられるまでの時間の違いはあるけれど、
いずれは理解し、自分の役割を見つけられている印象でした。

「家族への想い」や「今後への想い」

パパBさん
子どもの育児や医療的ケアを全てママに任せているので、苦労をかけているなと思います。
子どもが小さい頃は大変なことが多かったので、これから家族で色々楽しいことをしていきたいと思っています。
パパCさん
周りのパパ達が積極的に医療的ケアに関わっているのを目にして、すごいなぁと思いました。
だけど自分には少し無理かな…と感じている部分もあり、私はその分しっかりと家族を支えたいと考えています。
これからお金も必要になってくると思うと、家族に苦労をさせない為にも自分が外でしっかり働く事で、
何の心配もいらない状態で毎日を過ごしてほしい…そう願っています。
パパCさん
社会は弱者に優しい」という考えに固執しないようにしています。これから日本という国が豊かになっていけば、そこに期待していいのかも知れない、だけど苦しくなることも考えられる…そうなると弱者だけに優しくなれるとは思えません。
そうなった時に国にしか頼れない状態にしたくはない。その為にもしっかりと自分たちでやっていけるよう準備をしておくのも必要だと思っています。

まとめ

医療的ケアの子どもの面倒をみるのは、ママの方が多い印象があります。
しかし、最近は病院へ連れてきているパパやご夫婦で病院に来ている家族を見かけることもあり、
パパの育児参加も積極的になってきたと感じる事がよくあります。

今回のインタビューでも、パパはパパなりに子どものことを考え、
やれる事をやろうという想いが伝わってきました。

精神的にも肉体的にも不安定になりがちな医療的ケア児の子育て。
お互いに協力し合いながら出来ると良いなと思いました。

パパにはパパならではの悩みや葛藤もあり、苦しい想いをされている方も多いのではないでしょうか。今後、パパたちの交流も盛んに行われると良いなと感じます。

アンリーシュでは、過去にパパの活動や想いを投稿してきました。
そちらも併せて見ていただけると嬉しいです。

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tomoko
ライター:tomoko
アンリーシュ運営メンバーとして活動。
兄と妹、真ん中に13トリソミーの医療的ケア児、葵結(あおい)を育てる3児の母。
医療的ケア児を育てながらお仕事を。在宅で出来る活動にチャレンジ中!!

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