NPO法人フローレンス(東京・千代田)が7月31日に行った記者発表会にて、医療的ケア児専門の看護師によるシッター事業「医療的ケアシッター ナンシー」を2019年9月1日よりスタートすることを発表した。
記者会見には、弊団体代表・金澤も娘の菜生ちゃんとともにパネラーとして登壇し、自らの体験・思いを発表した。
NPO法人フローレンス とは
みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団。
「訪問型病児保育」「障害児保育」「小規模保育」など、今までにない新たなサービスを創造している。
医療的ケア児の分野では、これまで、「障害児保育園ヘレン」(2014年~)、「障害児訪問保育アニー」(2015年~)を運営し、これまで都内でのべ100家族以上の障害児親子の生活を支えてきた。
それらの運営を通して、
- 働いていないお母さんたちは休まることなく介護をしている
- 医療的ケア児を受け入れる学童施設が圧倒的に不足している
- ”義務教育”対象である年齢の子どもたちも、特別支援学校にも通学できず、障害児の受けられる訪問授業は週6時間しかない。
という保育事業だけではカバーしきれない課題が浮き彫りになり、その問題解決のため今回の「ナンシー」立ち上げに至った。
当事者家族の想い
会見では、金澤が自身の医療的ケア児の育児の現状と、サポートの必要性を語った。
娘の菜生ちゃんは、今年6歳。
呼吸や栄養を医療機器のサポートを必要としながら生活している医療的ケア児だ。
1日2・3回必要になる医療的ケアを両親や訪問看護師以外にできる人がおらず、日常のほとんどのケアを母親が担当している現状があった。
お母さんが菜生ちゃんと離れられる時間は訪問間看護師さんが来てくれる90分だけだったという。
そんな生活の中で、母親の休息時間(レスパイト)や母子分離の時間が必要だと強く感じた。
その体験から1年前に障害児訪問保育アニーの利用を開始。
平日日中の外出時間を捻出し、現在はアンリーシュの活動に専念できている。
今後就学を控え、今まで使っていたサービスが終了する事や、学校への付き添いが必要になってくるという新しい課題に直面している。
その解決策の一つとして、ナンシーのような新しいサービスが今後社会に浸透していく事を期待している。
医療ケアシッター ナンシーのサービス概要と今後の展開
利用対象者
- 対象:23区内在住。0~18歳までの児童(ヒアリングにおいて預かりが可能と判断された医ケア児・障害児)
- 利用可能日:月~金(土、日、祝および年末年始を除く)
- 利用可能時間:9:00~18:00うち3時間程度
- 訪問回数:週2回程度 ※すでに利用している訪問看護やヘルパーと併せて併用が可能
9月より、看護資格を持つ4名を雇用しサービスをスタート予定。年度内に9名まで雇用を広げ、東京23区対象に約30家庭でサービスを提供できるようにする予定だ。
費用について
- 利用料:法律の定めに従い算出。なお、自己負担は所得に応じた負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス料に関わらず、それ以上の負担は生じない(交通費別途)
訪問看護や児童発達支援など複数の公的支援制度を組み合わせ、例えば年収500万円の世帯であれば月4,600円以内で利用できる。
*自費で訪問看護を利用した場合、1時間あたり約5,000円~7,000円の費用がかかる。
今後の展開
サービスイン1年で都内30家庭のモデルケースをつくり、各家庭のニーズにオーダーメイドで対応していくことを目指す。
それと同時に、全国で数万あると予想される医療的ケア児とその家族のニーズを代弁し、全国にこのモデルが広がっていくための提言活動を推進していく。