「障害者」「マイノリティ」「福祉」…私たちはこんな言葉にどんな印象をもつでしょうか。
どこかマイナスなイメージであったり、同情の気持ちが見え隠れしてしまうかもしれません。
そんな従来の福祉の概念を大きく変えるイベント超福祉展が9月3日(火)~9月9日(月)の7日間渋谷にて開催されました。
私たちの想像を超えたテクノロジーや取り組みによって、「カッコイイ」「カワイイ」「面白い!」と思わず手にとってしまいたくなるような、新しい福祉の世界を体験することができます。
超福祉展とは
障害者をはじめとするマイノリティや福祉そのものに対する「心のバリア」を取り除こうと、
今年のテーマは「ちがいよ、街へ、未来へ、広がってゆけ」。
最新テクノロジーを使った様々なプロダクトの展示・体験はもちろん、シンポジウムやワークショップ、参加型のイベントも数多く開催されており、五感を使って楽しむことができました。
ヒカリエの他にもいくつかの場所で、イベントが同時開催されており、渋谷を歩き回りながら新しい福祉に触れることができます。
最新テクノロジーやアイディアが詰まった展示会
渋谷ヒカリエ 8F 8/COURT/CUBEでは知ろうをテーマに20を超える展示品が紹介されていました。
一つ一つが今までに見たことがない、最新テクノロジーや斬新なアイディアが詰まった製品ばかり。
特に印象的だったものをご紹介します。
actcoin
ソーシャルアクションカンパニー株式会社が提供するactcoin(アクトコイン)は、ブロックチェーンを使って社会貢献を可視化する新しいプラットフォームです。
超福祉展のようなイベントに参加する。自らボランティアとして関わる。
そんな社会貢献は、より良い社会作りを進める中で必要な一方で、個人の取り組みの可視化や評価は難しい一面がありました。
このactcoinは、そんな状況を改善するため、ブロックチェーンを使って個人の社会貢献活動をコインという形で見える化することで、社会活動に参加する人を増やす事を目的にしています。
ログインすると、SDGsに紐づいた様々なプロジェクトが一覧で表示されます。
イベント参加であったり、ボランティアの募集や寄付など内容は団体によって様々です。
興味のあるプロジェクトに参加すると、そのプロジェクトごとに設定されたコインを獲得することができます。
このコインが溜まって行くことで、自分の社会貢献活動が可視化され、さらにユーザー同士で、その人がどんな団体にどれだけ参加しているかを見ることができます。
代表の佐藤 正隆さんにお話を伺うと、今後は溜まったコインを様々な形で還元する仕組みを作って行くそうです。
ボランティアや福祉イベントに興味のある方は是非登録してみてはいかがでしょうか。
超福祉絵本展
ヒカリエの会場に着くと、真っ先に子供達が楽しそうに絵本を広げているスペースに目が止まります。
絵と言葉のライブラリー ミッカが、「みんな違うのかもしれない」「言葉のない世界」など、超福祉にちなんだ5つをテーマに100冊の絵本を展示し、ライブラリーとして自由に手に取ることができます。
「素晴らしき変人」というテーマでは、天才達の子供時代を描いた絵本や、不思議な生き物についての図鑑などがあり、子供達に混じって夢中で読んでしまいました。
これからの福祉に向かって、私たちができること
渋谷ヒカリエの他にも、渋谷キャストやハチ公前広場など、様々な場所で新しい福祉の形が紹介されていました。
印象的だったのは、出店者に若者が多いこと。20代後半~30代の人たちが会社やNPOを起こし、それぞれの視点から福祉の限界に挑む姿が印象的でした。
「スライドリフト」という、電動アシスト全方向車椅子を用いて、ドリフト走行等のテクニックで競い合う車椅子レース用の車椅子開発者の方とお話しした際、
「これからの福祉は、今までの福祉と全く概念が代わり、助ける・助けられるという区別もなくなっていく。その際、私たちがどう福祉と向き合うべきなのか、今から考える必要がある」とおっしゃっていました。
この超福祉展を通して、むしろ福祉用品を使うことに憧れる時代がやってくるかもしれないと感じました。
私たちは、障害・病気・マイノリティ・老いに対して、漠然とした不安を抱えています。
しかし、それらに正面から向き合い、理解し、積極的に受け入れて行くことで、新しい世界や思いもしなかったメリットに出会えるかもしれません。
医療的ケア児の分野においても、医療的ケアが最新の医療としてポジティブに受け入れられるような雰囲気・場作りに挑戦していきたいと、今回のイベントに参加して感じました。
小学生がVRで視覚障害の人の世界を体験していたり、絵本のワークショップを通して個性について学んでいる姿が印象的でした。