この記事は、アンリーシュパートナーズ様(毎月定額寄付)の提供記事です。
上間 さわ 様 よりご支援をいただき、完成いたしました。
日頃より貴重なご支援を賜りまして、ありがとうございます。
皆さんは、普段自宅で何種類くらいのお薬を管理して日常的に飲んでいますか?
自宅で医療機器と共に生活する子供たち「医療的ケア児」を育てるご家族は、普段から10種類以上のお薬を管理して子どもたちに服用させていることも珍しくありません。
外からは見えずらい家族のお薬の悩みを、ご家族の体験談をベースに昭和大学薬学部の学生の皆さんと一緒に考える授業を行いました。
大量で複雑な管理
今回ご協力いただいたのは、7歳の染色体異常を持つお子さんのお母さん。
普段は胃ろうからの注入・吸引・酸素療法を行なっています。
1歳になる前に退院し、在宅生活がスタート。
初めての注入や日々状況が変わるてんかん発作の治療などにてんてこ舞いの日々だったそう。
そんな生活の中で大きなプレッシャーとなったのが薬剤管理です。
11種類の散剤と2種類の水剤に加え、栄養剤・吸引薬剤など管理する量は膨大な上に、1日複数回の調剤と服用を正確に行う必要があります。
疲れているときに服用させる薬を間違えてしまう・生活の中で服用時間がズレてしまうなどの困り事を打ち分けてくれました。
- 色が近い水剤を誤って投与してしまうことがある
- 投与時間を守るために、外出など日常生活に制限が出てしまう
- 災害などの非常時用に保管用薬剤がほしい
- 種類や投与方法が複雑で、家族間の共有が難しい
薬剤師の立場でできること
今回は薬学部の学生さんたちに向けた授業だったので、ご家族の現状を知った後薬剤師の自分だからできることは何だろう?ということを考えていただきました。
などたくさんのアイディアが飛び交いました。
アンリーシュ でもお薬カレンダーや自宅での調剤の工夫などをこれまで多く発信していますが、「もっと早く知りたかった!」という家族の声が多く、退院前に身近な医療従事者からこういった情報を伝えていくのはとても大切です。
また、「薬が効いているかが判断できず、どんどん種類が多くなってしまう」と言った悩みもよく寄せられます。
自宅での生活が大半を占める患者家族は、薬の効果測定を家族の証言から判断する場面も多くあります。しかし、家族は経験も知識も乏しく、正しく伝えることが難しいことが現状です。
「どうでしたか?」「よくなりましたか?」と言った一般的な問いではなく、「呼吸は楽になりましたか?」など薬剤の効果が測れる問いかけと、薬剤効果の判断において医師との架け橋になることが求められていくのではないかと感じています。
受講者の声
今回は昭和大学薬学部の学生さんたちと、医療的ケア児家族の生活と薬剤に関する悩み事についてディスカッションを行いました。
医療的ケア児家族は、大量で複雑な薬剤管理が必要な家族が多くいます。
家族の生活のリアルを知ることで、家族と一緒に歩みを進めてくれる医療従事者が増えていくことを願っています。
また、ペイシェントジャーニーマップなど新たなことも学ぶことができたので、今後の実習や学習に活かして、将来は医療的ケア児にも寄り添うことのできる薬剤師になりたいと思いました。