2月17日に湘南で開催された「ICTフェスティバル」にアンリーシュ として参加し、病気・障害がある方が利用できるコミュニケーション装置を見学・体験してきました。
いろいろな講演、発表とともにコミュニケーション機器を中心にした展示会が行われていました。
目次
ICTフェスティバルとは?
ICTフェスティバルとは、NPO法人ICT救助隊さんと湘南リハケア実行委員会さんが主宰、NECさんが協賛しているイベントです。
難病や障害を持つ方を対象としたコミュニケーションの支援機器を中心に10以上のブースが出展され、最新の機器が展示されていました。
言葉が離せない方が使うコミュニケーション装置の紹介
神経・筋肉に症状が出る難病では、徐々に体が動かなくなったり声を出すことが難しくなっていきます。
また、喉頭気管分離術など必要な治療を通して声を失ってしまう事もあります。
そういった人たちに向けて、現在様々なコミュニケーションツールが開発されています。
その多くは体の一部の動きをセンサーやスイッチ(ボタン)が感知し、パソコンやタブレットに文字が入力できる。それによって相手とコミュニケーションを取ることができるというものです。
スイッチやセンサーも指・足・視線・脳波など、使う方に合わせて様々なバリエーションがあります。
例えばこちらの伝の心は、センサーを使用し、視線で文字を入力・読み上げてもらうことで自分の気持ちを言葉にできます。
また文章を作るだけでなく、DVDやテレビなどの機器の操作といった機能も搭載されていたり、本をめくる装置ともつなぐことができます。DVDを観たり、インターネットや電子メールを利用したりとコミュニケーションだけでなく、生活全般のサポートが可能です。
障害があってもゲームを楽しむことができる
こちらはスイッチで楽しめるゲームコーナー。
青ボタンが左折、赤がダッシュ、黄色が右折ボタンになっていました。
ボタンは指の力が弱かったり動かしにくい人でも使いやすいよう、とても軽い力でクリックできたり、クリックできる範囲が広めに作られています。
小学校低学年くらいのお子さんが、とても器用にボタンを操作し、次々と障害物を倒していて驚きました。
隣には、視線で遊べるシューティングゲームも展示されていました。私が入院中の頃は、ゲーム機で遊べない子供達はタブレットで代用したりDVDを見たりして過ごしていました。
今後はこういったゲーム機が普及して子供達の手元に届いていってほしいと感じました。
3Dプリンターでオーダーメイドのケア用品を作る
「その人らしさ」や「カッコよさ」を支える機器や技術を紹介する。そんなテーマのもと、コミュニケーション装置以外にも生活に役立つ製品やおしゃれに関するものなども紹介されていました!
こちらは、3Dプリンターを使った作業療法の実践的な取り組みを行なっている『ファブラボ品川』さん。
3Dプリンターを使って、患者さんに合わせたオーダーメイドの自助具が簡単に作成可能です。
自助具とは、心身機能・身体構造上の理由(身体障害)から、日常生活で困難を来している動作を、可能な限り自分自身で容易に行えるように補助し、日常生活をより快適に送るために、特別に工夫された道具である。 (例 グリップを太くし握りやすくしたスプーン、ピンセット箸、ボタンエイド、コップホルダーなど)
自分自身では出来ないと諦めていたり、人に依存していたことが自助具を使うことにより可能になると、物理的に生活の幅が広がるだけでなく、精神的にも積極性が出てくるなど、自律生活を高める効果が期待できる。
-出典: Wikipedia
専用のソフトでパソコンで設計し、3Dプリンターで出力するだけで素材・サイズ・重さなど完全オーダーメイドで作成することができます。
ファブラボ品川では、定期的にワークショップも行なっており、小学生でもその日中に作品を完成させて帰るくらい簡単にできるそうです。
現在は3Dプリンターもかなり安く手に入れることができ、最終的に各家庭で自由に作れるようサポートしていきたいという想いを聞かせて頂きました。
おしゃれをもっと手軽に
こちらは片手で髪を縛ることができる髪ゴム。
現在は改良中とのことですが、ボタンや磁石を使うことで片手でも簡単に髪の毛を縛ることができます。
ボタンの部分が髪の毛を噛んでしまうなど少し使い方にコツは必要でしたが、片腕が上がりにくい・ゴムで結ぶ複雑な指の動きが難しい方達にとって、新しい選択肢の一つになることがとても楽しみです。
まとめ
コミュニケーションに特化したアットフォームな展示会でゆっくりと体験が出来たり、話を聞くことが出来ました。
たくさんの製品を同時に試すことができたり、すぐに疑問点を投げ掛けられるこの機会はとても貴重なものだと思います。
主催者のICT救助隊 理事長今井啓二さんと仁科恵美子さんと名刺交換を行いお話を聞かせて頂きました。
病気・障害によってコミュニケーションの手段を失ってしまう不安を、ICTの力を使って少しでも軽減していくサポートを行なっていきたいという想いにとても共感しました。
また、最近はSMAなど小児分野においてもコミュニケーション装置が注目されていること、就学近くの年齢でないと支給されず、もっと幼少期の頃から取り入れるよう働きかける必要があるなど様々なお話を聞かせて頂きました。
最新のコミュニケーション装置は、コンパクトだったり、手持ちのパソコンやタブレットにインストール出来たりととても便利に、より身近になってきています。
難病の方だけでなく、吃音や失語症の会話補助や高齢者の方とのコミュニケーションツールなど、幅広い場面で役に立つのではないか、と感じた1日でした。