【レポート】千葉県医療的ケア児等支援地域協議会を傍聴

こんにちは! あきよし(@akiyoshi_maru )と申します。

5歳の医療的ケア児をもつ父親です。

アンリーシュの「4月26日(金)、千葉県庁(千葉市中央区)で、医療的ケア児等の地域支援協議会が開催される」との記事を見て、傍聴してきました。

当日の会場には、千葉県関係部局および県内自治体担当者等も含めて50~60名の方々が集まり、千葉県の医療的ケア児を取り巻く現状や課題について議論され、厚生労働省や他の都道府県の動きなども報告されました。

千葉県庁に足を運ぶのは初めてで緊張しましたが、私たち医療的ケア児とその家族を支えてくださる、各種制度やサービスの最前線で陣頭指揮する立場の方々の考えや課題認識を知ることができて、とても勉強になりましたのでレポートさせていただきます。

医療的ケア児 の就学を学ぶ「永田町子ども未来会議」

2019年2月15日

千葉県医療的ケア児等支援地域協議会とは

千葉県障害福祉事業課が事務局となって、県内の「保健、医療、福祉、保育、教育」などの分野で、医療的ケア児とその家族を取り巻く、各種制度やサービスを提供してくださる関係者が一堂に会して、医療的ケア児等に関する施策の推進や課題検討等の場として設置されたものです。

主な議論の項目

 当日の議題は、2つありました。

(1)平成30年度小児等在宅医療連携拠点事業の実施結果について

(2)重症心身障害児者及び医療的ケア児者の実態調査の結果について

難しそうな内容ですが、

1つめは、「重症児、超重症児を受け入れる訪問看護師向けの研修会」や「医療的ケア児とその家族へのさまざまな支援を調整する“医療的ケア児等コーディネーター”養成研修会」を実施したこと。

2つめは、「千葉県内の重症心身障害児者と医療的ケアが必要な児者の実態調査」の結果報告がありました。

はじめて耳にしたキーワードも多く、メモもなかなか進まなかったので、主に議論になった項目ごとに整理してみました(順不同)。

さまざまな制度やサービスを提供してくださる方々の立場や視線から、どのような意見やキーワードが出ているのか、千葉県の医療的ケア児についての取り組みが、どのようなテーマを中心に議論されているのかなど、参考にしていただけると幸いです。

各テーマのごとの議論詳細

医療的ケア児の概要

・医療的ケア児は全国で18,951名。うち呼吸器の子は3,834名(2018年度厚労省調べ)。

・呼吸器装着の低年齢化が進んでいる。

・年間約1,000人医療的ケア児が増加。うち400人は、呼吸器を装着している。

・NICU、PICUから退院の子の4割が呼吸器をつけて地域に出て生活。

・医療的ケア児の増加には、医療技術の発達等さまざまな背景があるが、退院後、地域に出て生活をスタートさせている。これらの子と家族の支援体制の整備は急務。

医療的ケア児の保育園受け入れ

・千葉県内でも医療的ケア児の保育園受け入れが出始めている。例えば、千葉市では、2019年4月から民間保育園に業務委託して医療的ケア児の受け入れがスタート。

・他方、重度心身障害児受け入れの際、親の切実な要望に押される形で動かされて、専門家からすると、やや危ない印象を受けるケースもあると聞く。十分な配慮・注意も必要(制度としてきちんとワークさせる必要がある)。

・市区町村の保育園で医療的ケア児の受け入れを整備しても、医療的ケア児がいなければ機能しない。小さな自治体の公的サービスとして、非常に難しい。

・医療的ケア児の増加傾向は、当面続くものと思われる。必然的に、一般保育のような受け入れ体制を整備してほしいとの声もあがる。一方、保育担当部署は経験も知識も乏しい。特別支援学校等では、あたりまえの文書書式やノウハウを共有できるとよい。

埼玉県朝霞市で4月から 医療的ケア児 の居宅訪問型保育事業がスタート

2019年2月21日

レスパイト施設の整備

・NICUから人工呼吸器や酸素をつけて自宅に戻るケースが、当たり前の時代になりつつある。受け皿の整備が必要。

・昼間のレスパイトサービスは、市町村単位でもやっと増加しつつある印象。一方、夜間レスパイトは、未だサービス提供がとても難しい。

・東京や大阪の大都市部も、ニーズに対する短期入所施設は圧倒的に少ない。千葉県は、人口に対してさらにベッド数が少ない。

・地域でレスパイトの仕組みをうまく機能させている事例は、ほとんどない。全国で模索しているのが現状。

・「老人介護施設で(医療的ケア児者の)受入れ体制を整備できないだろうか」と、かなり具体的な相談が寄せられたこともあった。実際、現場では「胃ろう・気切児なら受け入れもできそう」との声も上がっている。

・他方、公的サービスとして展開するには、課題も多い。受け入れできそうなのは、あくまでも、「〇〇ちゃん、〇〇くん」と、保護者の顔と必要なケアと特徴がすぐにわかるような間柄のイメージ。皆、必要なケアや特徴は、十人十色であることは、十分認識。

・サービスの質を確保するためにも、はじめての利用者でも「誰でもすぐに受入れる」というのは、正直、不安。

・千葉県リハビリテーションセンターでの短期入所受け入れの仕組みは、他の地域でも参考になる。チェックシートなどで可視化して、全国展開できないか。今後も、成功・失敗含め、たくさんの情報・事例収集や連携が必要。

・県内の医療機関でレスパイトを担えないか、という議論もある。急性期とレスパイトは役割が異なるので、単に予算が付けばよいという話ではなく、対応が難しい面がある。

もみじの家

【医療的ケア児と家族を支える 】短期入所施設 もみじの家

2019年3月28日

千葉県重症心身障害児者及び医療的ケア児者の実態調査報告書

・「就学前に医療的ケアを卒業する層」が一定程度いる。この層は、就学前までに医ケアが取れることが特徴で、疾病の程度が大きく異なる。

・いわゆる「歩ける医療的ケア児」は横のつながりが少ない。医療的ケアを卒業できることも要因。つながりが少ないので、市町村や県までなかなか声が上がってこない。その逆も然りで、情報も伝わりにくい。特に小さな市町村になるほど、情報が少ない。

・これら軽度障害の医療的ケア児は、他グループと少し異なったニーズがある。県の施策として、資源配分を再考する必要がある。

・医療的ケア児に関する調査は、三重、群馬、青森、大分でも実績がある。東京は、規模が大きすぎるため、詳細なデータが無い。今回、千葉県が実施した調査は、重度心身障害児者の詳細データが、きれいに取れている点が特徴で優れている。

・千葉県は、重症心身障害児者向けの施設が非常に少ない。また、仮に施設に入所しても、不安や心配の声が寄せられていることも、強調しておきたい。

医療的ケア児地域コーディネーターの取り組み

・医療や福祉に関する知識、関係機関との連携、各種制度やサービス利用に関する手法や知識・技術を学び、医療的ケア児等への支援を総合調整する「医療的ケア児等コーディネーター」を養成する研修を実施。

・多職種連携で福祉職員と看護師が一緒になってのグループワークや、呼吸器利用者とその家族を講師として、本人や家族の想いを知る実践型研修など、密度の濃いコンテンツが好評であった。

・医療的ケア児等に対する「地域コーディネ―ター」の取り組みは、三重県が先進的に取り組みを進めている。
各圏域に協議会を設置して、コアメンバーが情報を連携して、実効性のある取り組みを推進。三重は、県自体がコンパクトで医療圏域・施設もきれいに分散・分布しているという好条件もある。

・長野県も保健福祉圏域で、2次医療圏域ともうまく連携して取り組みを推進。

・千葉県内のどの圏域にどんな困っている家族がいるか、支援を必要としている子と家族がいるか、みてくれる人が絶対に必要。
小さな自治体で相談できる人がいない。取り組みに感謝する一方、継続して取り組みを拡大してほしい。

・制度を整備するにしても、千葉県は大都市圏と小都市自治体の格差が大きい。市町村単位で制度を機能させることは極めて困難。県内の各地域で課題を抽出し、戦略的なエリア区分と施策が必要。

訪問看護師育成研修等の取り組み

 ・小児を対象とした訪問看護ステーションが少ない現状に加え、重症児、呼吸器装着児や超重症児に対する看護実践には課題が多いため、関心の高い看護師を対象にした研修を実施。また、NICU等からの在宅移行に特化した研修も実施して非常に好評であった。

・千葉県は、全国の中でも訪問看護事業に力を入れている。他都道府県に先んじて、現場ニーズに応じた研修ノウハウの蓄積を進めている。ほかの都道府県の参考に資するレベル。

・早期にリハビリを行うことで、重症化が軽減されることもデータで示されている。今後、千葉県として、理学療法・作業療法等、リハビリに特化した研修プログラムも検討されることに期待。

・県内の訪問リハビリテーション事業所は増加傾向。次のターゲットは、訪問リハビリのプログラム拡充も考えられる。医療的ケア児と家族のニーズに応じたフォローをしていきたい。

おわりに

会議室のいちばん後ろで、約2時間にわたる生の意見が飛び交う議論を間近で聞きながら、途中、思わず涙が零れそうになってしまった部分もありました

医療的ケア児の調査をとりまとめた、千葉リハビリテーションセンター愛育園・石井光子園長の

アンケート調査票の自由記入欄に、小さな字で欄外まではみ出して書いて寄せられた、約2,000件ものたくさんの切実な声をひとつひとつ読みました。今すぐにでも、このお母さんの携帯に電話して、こんな制度やサービスがあるよ、相談して、と伝えたい衝動に駆られる気持ちを抑えながらの集計作業でした。どうかこの調査結果を各自治体で活かしてください。」といったコメント。

まさに数か月前、自宅ダイニングテーブルで妻と一緒に長々と書き綴ったアンケート調査票が、目の前で受け止めてもらっている驚きと湧き上がる感謝の念に、思わず、メモをとる手が止まってしまいました。

今回の傍聴では、はじめて耳にするキーワードや、知らなかったこともたくさんありました。すべての医療的ケア児のママやパパが、国や地方自治体の医療福祉政策・施策に精通して参画していくのは、なかなか難しいことだと思います。

それでも、都道府県や市区町村の中で、さまざまな施策や課題検討の議論が、どのように行われているのか。私たちが困っていることや悩みの声を、どのような方法で、どこに届けると、具体的な制度やサービスとして形にしていくことができそうか。

全国各地の医療的ケア児とその家族のコミュニティの中で、その仕組みに触れる機会や気軽に相談・アドバイスしあうことが出来る繋がりやコミュニケーションが増えてくれるといいな、と感じました。

(参考)全国都道府県における医療的ケア児等支援に係る協議会などの一覧が掲載されています。

厚生労働省-医療的ケア児等とその家族に対する支援施策

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/index_00004.html