【作文】絆 ーあなたが教えてくれた事ー 金澤裕香

 

【アンリーシュ作文コンテスト2020】開催中!

こちらのコラムでは、アンリーシュメンバーによる「私たちの絆」をテーマとした作文を連載していきます。

「絆 ーあなたが教えてくれた事ー」

金澤裕香

 

私には、重度の障がいと医療的ケアが必要な「なお」という娘がいます。

6歳になる年に亡くなってしまいましたが、彼女は私にたくさんの事を教えてくれました。

その中で一つ、今も私を支えてくれているのは、「在宅の主治医の先生との絆」です。

今日は、人とはちょっと違う「医療的ケアが必要な娘の子育て」の中で、主治医の先生から学んだ事をお伝えします。

まず、私と先生との出会いは娘が生後半年の時、ようやく退院し、自宅に帰ろうというタイミングでした。

当時、私は娘の子育てに深い虚しさを感じていました。

なぜなら、娘を笑わせる事ができなかったからです。

絵本を読んでも、音楽を聞かせても、体遊びをしても、地蔵のように娘は表情を変えません。

今考えると、分かりやすく笑わなくても、娘なりの表現をしていたと思うのですが、当時の私にはそれをキャッチする余裕がありませんでした。

私がベッドサイドから離れても、平気そうにしているため「私がいる必要があるのだろうか…」と子育てに全く手応えのない日々を送っていました。

そんな時、退院に向けて、在宅主治医先生として、初めて先生と面会しました。

病院に訪ねてきてくれて、娘を優しく見つめる先生に、私は思わず不安をぶつけていました。

「娘が好きな事が分からないんです。

どうしたら、娘の好みが分かるようになりますか?」

そう私は尋ねました。

すると先生は

「お母さん、ただ抱っこすればいいんですよ。

たくさん抱っこしてあげてください」

と応えてくれました。

その時は正直「そんなことか…」と少しガッカリしました。

でも、縋るような気持ちで、言われるがまま、毎日暇があれば抱っこしているうちに、私自身の気持ちが安まり、不思議と不安や焦りは消えていきました。 

その後、その先生とは6年間2人3脚で娘の病気と闘いました。

毎日毎日電話で話し合いながら、その日のケアを決める…

そんな献身的な先生のおかげで、娘は6歳の誕生日を迎える事ができました。

6歳2ヶ月を迎える前に、娘は亡くなりました。

娘が亡くなった時、たくさんの人が私達家族のもとを訪れて、頑張ったね・大変でしたねと声をかけてくれました。

そんな中、先生はうちの母にこう言ったそうです。

「可愛いお孫さんでしたね!おばあちゃん、幸せでしたね!」

母はその言葉にとても救われて、

何度も私にその話をします。

大変だったかもしれないけど、可愛い娘に恵まれて、私達は幸せです。

そう教えてくれた先生に、私は一生かけても返せないくらい感謝しています。

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4 件のコメント

  • 裕香ママへ
    菜生ちゃんのこと、知りました…

    私が初めて菜生ちゃんに会ったのは2014年の春でした

    どこか真の強さを感じさせ、可愛いなかにも凛々しさを持つ活発な女の子でした
    お出かけが大好きで、お外でアラームが鳴ったって、楽しむことの方を選ぶような好奇心旺盛な子だったなあ…と私の中で記憶しています

    お風呂も大好きでした
    いつも嬉しそうにシャワーのお湯を全身に浴びながら楽しそうにしていました

    私が菜生ちゃんとご一緒できた時間は、まだまだ小さかった頃のほんの少しでした
    でも
    “NAO”の響きを耳にした時、この先もずっとこの手が覚えている温もり…その存在を思い出すのだろうなあと思います

    ありがとうございました
    なおちゃん ありがとう♪

    訪問看護師

    • 原田さん

      お久しぶりです!
      金澤です。

      メッセージいただけて嬉しいです。
      菜生が亡くなる前後も、連絡いただいていたのですが
      私自身の体調も悪く、連絡が滞ってしまう日々が続きました。

      原田さんは、菜生が赤ちゃんの時からたくさん関わってくれていて、
      病気の相談をしたり、お風呂を試行錯誤したり
      思い出がたくさんあります。

      私も皆さんのことはずっと忘れず菜生の思い出と共にキラキラ輝いています。

      訪問看護師は本当に素敵なお仕事だと感じています。
      これからもたくさんのご家族の支えでいてください。

      金澤裕香

  • はじめまして。私の身近の兄も3歳の時から脳卒中の後遺症で重度の身体障害で重度の発達障害者です。自分の意思で歩くことも食べることもできません。なので、誰かの力がないと生きていけないのです。身近で兄と同じような障害者や医療ケア必要な障害者などはみることが多かったので幼稚園に入るまで障害者との壁あるのはわからなかったことが多いです。で、幼稚園に入ってから壁を知ってとてもショックを受けたことを覚えてます。兄のせいでいじめもありました。でも、兄を責めることもできませんでした。なぜなら、生まれたことに否定してますしお母さんにも否定してるように感じるからです。なので、少しでも支えるになるならで障害者の事をもっと学んで障害者と健常者の壁が無くなるような世界にしたいと思いました。今は、アルバイトでは発達障害児の放課後ディサービスのスタッフをしてますがたまに健常者の壁を感じることもあります

    • もえ 様

      コメントありがとうございます。メディア編集長の坂田奈緒子です。
      障がいを持つお兄様が身近にいらしたことで、もえ様のお考えや人生も大きく変わられたのですね。
      いじめられても、辛かった気持ちを「障害者と健常者の壁がなくなるような世界にしたい」という思いに変えて現在働かれていること、本当に素晴らしいと思います。
      今はまだまだ、障害者と健常者の間には壁があると私自身も感じています。
      でも、もえ様のように考えて働いているスタッフがいること、それに救われている人は本当にたくさんいらっしゃることでしょう。
      もえ様のような方に記事を読んでいただき、本当に嬉しいです。
      ぜひまたアンリーシュを見に来て下さいね。

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